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渡りに船

「普通は理由とか聞いたりさ、疑問に思うはずなんだけどね」

「では、理由は?」

「聞いたから聞くんだ……。

 どうも君の周りには精霊が来やすいみたいだから、魔法の授業に出て欲しい。

 それ以外の時間は……何かしたい事があるかい?」


へ~。俺の周りには精霊が来やすいんだ。

それってもしかして神様関連かな?

だとすればありうる話だね。


しかし、やりたい事か。

テンプレを探して回りたいって言っても理解されないだろうし。

しょうがない、いつもの手でいくか。


「自分は役者なので、今後の役作りの為にも校内を見て回りたいですね」

「なるほど。でも見学以外では校内を回らせる訳にはいかないんだよね。

 どうしようかな…………あっ、そうだ。臨時の職員にすれば良いのか。

 用務員が人が足りないって言ってたから、してみない?」

「します!」

「また即答! なんか悪い事考えてるんじゃないかって思えるほど、来たがるよね」

「用務員ですか? どんな事をするんでしょう?」

「今更用務員の事を聞くんだ……。ま、まあ良いけど。

 簡単に言うと雑用だね。掃除したり不用品を片付けてもらったり。

 他には準備とか購買の仕事もあるね。

 求人は出してるから、次の人が決まるまででも良いからね。どう?」

「ではお願いします」


用務員か。これなら校内をウロウロしててもおかしくないね。

ありがたい。


「おっと、チャイムか。

 では今日はここまで。タクヤ君も居るし、次回も時空魔法について教えよう」

「「「はい」」」

「見学もここまでです。あっ、タクヤ君は一緒に学長室へ来るように」


契約の話とかかな?


商人さんは帰っていった。

俺だけ学長室へ。まあタヌキも一緒だが。


「契約の話ですか?」

「それもあるけど。タクヤ君は何かを隠してるよね。

 それを話してもらおうと思って」

「ナ、ナンノコトヤラ……」

「バレバレだって。それに時空魔法。

 普通は覚えた時に色々教えてもらうんだ。そこまで知らないなんてありえない。

 多分、隠してる事と関係あるんだと思ってる」


うっ! バレてるのか。

…………まぁ、良いか。話してはいけないとは言われてないからね。

ただ、話した上でそういうシチュエーションを作るのはダメだけどさ。




俺は自分の身の上を全部話した。

信じてもらえなくても良いくらいのつもりで。

ついでにタヌキにも復習のつもりで聞いてもらった。


「なるほどね~。そういう事か」

「あっさり信じましたね」

「長く生きてるとさ、そういう話は聞いた事あるからね」

「ちなみにどんな話ですか?」

「あぁ。1つは生まれながらにして全ての魔法を覚えている子供の話。

 何でも、聡明で子供とは思えない程、色々な事を知ってたらしい」


ありそう!! それ、間違いなく記憶を持ったまま来た転生者ですよ!


「その子はどうなりました?」

「魔法を封印されて、閉じ込められて一生を過ごしたらしいよ」

「怖い!!」


確かにそういう子供が居たら怖いけど。

ラノベではそんな事にならなかったなぁ。

あ、主人公が隠してたからか。

いや、隠すと言いつつ、結構披露してたような……。


「もう一つは、突如現れた狩人の話。

 若くして登録したのに、その時点で既に無茶苦茶強かったらしい」

「で、ど、どうなりました?」

「何処かのダンジョンに挑戦して戻ってこなかったらしいよ。

 多分、自分の力を過信して深く潜り、モンスターにやられたんだろうね」


その人達が神様が連れてきた、俺の前任者なんだろう。

悲しい話を聞いてしまった。

そうならないように戒めないとなぁ。

次話は22日の17時に投稿します。

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