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欲しかった魔法

「え~と、何で俺が授業に参加するんでしょうか?」

「ここに居る生徒は、まだ誰も時空魔法を覚えていない。

 なので、時空魔法を見て使えるようになった人も見た事が無いのだ。

 そこで君だ。

 まだ『タイム』しか覚えてないという。ならば他のレベル1の魔法を覚えてもらおうと思ってね」

「それは意味があるんですか?」


見て使えるようになる。

それは街の魔法屋でも可能な事だ。

それを模様を見て何の意味があるのだろうか?


「ふむ。そこから説明が必要か。

 どうやら君は特殊な覚え方をしているようだね」

「ま、まあ、た、確かに、そ、そうですけど……」

「あぁ安心してくれ。そこを追求しようとは思っていないよ。

 さて、どんな意味があるのか、という質問だが。

 そうだな。生徒の中で答えられる者は居るかね?」

「はい!」

「ラクテ君か。では答えてもらおう」


ラクテ君。

君付けだが、女の子だ。

ん~、見た感じ貴族かな?

いかにも「勉強出来ます!」って感じの女の子だなぁ。

クラスに一人は居る勉強出来る女子だな。委員長タイプとでも言うのか?


「どの魔法でも同じですけど、その魔法を使うとその魔法に関わる精霊が近くに来ると聞いています。

 特に新しい魔法を覚える時には寄ってくる事が多い、と」

「うむ。正解だ。

 つまりタクヤ君に魔法を教える事で、この部屋に精霊が来るかもしれないのだ。

 その時に生徒の一人でも見初められれば、其の者も時空魔法が使えるようになる可能性がある」


ほほ~。なるほど。

それなら確かに人が覚える場に同席させるってのは理解出来る。

と言うか、俺も同席したい。

学校に居れば、そんな場面も多いんだろう。

やはり、潜入の必要があるな……。


「と言う事で、覚えてもらいたい。どうかね?」

「タダで知れるらなありがたい話です。是非参加させてください」

「はっはっは! お金の事と来たか! さすが商人について回る役者だけあるか!」

「……誰から聞いたんです?」

「見学の届けを出したろう? あれには書いてあるんだよ」


そうだったのか。

いい加減役者は止めたいんだがなぁ。

かと言って狩人にするのもな。へっぽこだし。

ストーカー? そんな職種は無い! 無いったら無い!


「ではこちらへ。

 君に教えるのは『アイテムボックス』という魔法だ」

「マジですか?!」

「落ち着きたまえ。どうやらどんな魔法か知っているようだね」


知ってるも何も、テンプレですよ!

異世界転生する人は必ず貰えるヤツです!

テンプレと言うよりも、もはや必需品ですよ!


ん? でもどうやって見て覚えるんだ?

あれって見えないだろ?

ほとんどの主人公は、騒ぎになるからとこっそり使ってるし。

ポケットの中に作って、ポケットから出したみたいに使うじゃん。

ん? って事は見えるのか? うん、わからん。


「では実践しよう」


学長がそう言うと、学長の目の前に黒い輪が出来た。

判りやすく言うと、フラフープを目の前に浮かべたって感じ。その中が真っ暗。

判りにくい? じゃあガラス面が黒い丸い鏡。

もっと言えば、電源の入ってない丸い液晶テレビ。

それが浮かんでる。


裏側に回って見てみたが、同じだった。

厚みは1cmくらいかな? 直径は50cmくらい。


「大きさは自由になるんだが、大きい物を出す訳では無いので、このサイズにした。

 さあ、これに手を入れ給え!」

「えっ?! 手を?!」

「なんだ、怖いのか?」

「怖いでしょ! 真っ暗な空間ですよ?!」

「大丈夫だ。手を入れたら手首から先が無くなるとか、手を入れたら誰かに握手されたとかならないから」

「それを聞いて、より一層不安になりましたけどね!」

「大丈夫だって。じゃあまず私が手を入れようじゃないか」


そう言って無造作に手を入れて、中から飴玉を一つ取り出した。

何を入れてるんだよ。


「これがアイテムボックスだ。この中に色んな物が入れてある。

 他人のアイテムボックスに触れる事で、覚える事が出来るのだよ。

 本当に大丈夫だから、手を入れてみなさい」

「わ、判りました」


恐る恐る手を入れてみる。

中は少しヒンヤリしてるか?

そうだなぁ、冷蔵庫に手だけを入れてる感覚?

何も触れないしさ。


「もう良いだろう。

 これで覚えたと思うぞ。使ってみたらどうだい?」


これだけでか!

よし、実践だ!

次話は18日の17時に投稿します。

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