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ぼっちになりたいお嬢様の千里眼

 

 スレイプニルはわたしの家、50階建てマンションのヘリポート付きバルコニーに着陸する。

 ドリルはスレイプニルから下りるとわたしに両手を向け、わたしはドリルに持ち上げられながら地面に下ろされる。

 空を飛んでいたからなのか残る浮遊感で足をモタつかせる。

 一条がスレイプニルから下りると、バルコニーの東側、わたし達が先ほどまでいた朝日ケ丘大学高等部にあるコーヒー豆畑を見やる。

 徒歩15分内の距離とはいえ、裸眼で見るには人間がアリのようだと言えるぐらい小さい。

 どうしたものか。と考えているとすると、どこから出したのかドリルが双眼鏡を持っていた。


「ドリル。双眼鏡を貸してくれ」

「唯衣ちゃんには色々見える眼帯がありますわ」

「どうやって使うんだ?」


 色々見える眼帯だと言ってたのに視界が真っ暗になっている。たぶん、使い方があるんだろうけど、毎度の事ながら説明書を読んでない。


「指紋と音声認識になっておりますので、望遠やサーモグラフィーや赤外線などなど、眼帯にふれながら見方を言うだけで色々見られるようになりますわ。もちろん、手動操作もありますから声を潜めたい時は……」


 手動は必要ないな。


「眼帯に触って望遠って言えばいいんだな?」

「はい。後は、見ている方向にあるモノを眼帯内に映し出します。唯衣ちゃんが見ているモノを中心に視点と焦点を合わせますので、裸眼と同じように考えてください」

「眼帯に触って……望遠…………うおっ!?」


 眼帯内に風景が映し出される。

 色々な建物に矢印が移動している。これはおそらく、わたしの視線の位置だ。

 視点を一点に焦点を合わせると、大きく、大きく、大き……なんか視界が大きくなったり『小さかったり』してるんですけど。

 ………………なんか。

 …………これって。

 ……うえっ!

 気持ち悪い!!


「酔う、酔う酔う!」

「馬鹿神。片方が裸眼、片方が望遠なら酔ってあたりめえだろうが。片目を瞑れや」

「なるほど!」


 わたしは片目を瞑って風景を見直す。


「だいぶ楽だ。普通に見えるぞ!」

「馬鹿神。眼帯してる方を瞑っちまったら普通にしか見えねえよ。裸眼の方を瞑れ」

「!?」

「もちろん、笑いを取るためのワザとだよな? そこまで馬鹿じゃねえよな?」


 も、も、も、もちろんワザとです!

 笑いを取る気は無かったけど、ワザとですよ!


 わたしは片目を瞑って眼帯内の映像だけを見る。

 矢印がチョロチョロと動いてる。どうやら矢印の場所を0.5秒ぐらい見ていたら大きくなるようだ。慣れるまで時間が必要だな。

 とりあえず、練習も兼ねてコーヒー豆畑へ視線を向けて、焦点を合わせるか。


「おおおおおお! スゲェ! はっきりくっきり見える! ドリル、一条!」


 2人の方に向いて、


「スレイプニルに予備の眼帯が入ってるから使え!」


 ドリルは、わたしの背後に控えていたスレイプニルのお腹を撫でると「眼帯2枚所望ですわ」と一言。すると、スレイプニルの後方、ポニーテールの影からポトッポトッと眼帯2枚落ちてくる。

 ドリルは眼帯を拾うと、眼帯を一条に向ける。


「一条さんの分の眼帯ですわ」

「この眼帯はどっから出てきたんだあ?」

「収納スペースからですわ」

「基本は椅子だし中身が機械なのはわかるけどよお、出す場所はソコしか無かったのかよ……」


 一条は文句を言いながら眼帯を受け取ると、鼻に近づけて匂いを嗅ぐ。


「一条、気になるだろ?」

「機械とはいえ、ケツから出てきたモノだからな」

「八王子グループにクレームを入れても、構造上の都合からケツにしか出入口を作れないと言われたんだ」

「形が生き物な以上は、そうなるだろうな」


 一条はため息を吐きながら、ドリルは気にした様子なく眼帯を装着すると、


「おぉ、こりゃあスゲェなあ。便利すぎんだろお」

「ここまでとは思いませんでしたわ」


 わたし達はコーヒー豆畑へ焦点を合わせる。


「ひよこちゃんと【黒血を継ぐ魔女】が何か会話してんなあ」

「なんか【黒血を継ぐ魔女】が筋肉オヤジに同情するような目を向けているな」

「そりゃあ同情するだろうなあ」

「唯衣ちゃん。コーヒー豆畑が荒れ荒れですわ」

「【黒血を継ぐ魔女】と闘ってあの程度なら上出来だ。……なっ!」


 眼帯内で拡大されて見えるコーヒー豆畑で、筋肉オヤジがパンツ一丁の【黒血を継ぐ魔女】にブレザーを向けている。


「なにしてんだ筋肉オヤジ!」

「紳士ですわ」

「あんなエロボディを前にしたら紳士もガン見だろ! ロリコンか筋肉オヤジ!!」

「ダンナはロリコンつうよりシスコンだあ」

「今だ! ブレザーを渡すと見せかけてエロチチをゴツい手で引き千切れ!! なにしてんだ!? 千載一遇のチャンスだぞ! あぁぁぁぁぁぁぁぁダメだぁぁぁぁ!」




 次話、五章は御曹司視点(花道)になり、終章はお嬢様視点に戻ります。

 元々はお嬢様視点だけの物語なので、御曹司視点には御曹司視点の良さはありますが、五章を飛ばして終章に行っても問題ありません。

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