第8話「高次元宇宙への到達」
宇宙管理AIの導きを受け、レンたちは、ついに、これまでのどの領域とも異なる、宇宙の境界そのものへと向かう準備を整えていた。
「この先は、これまでの物理法則が、通用するかどうかすら分からない領域です」
ヴェルミナが、慎重な口調で告げる。
「はい。でも、これまでも、理解できないことなんてないと信じて、進んできました」
レンは、静かに、しかし確かな決意を込めて答えた。
完成した「終焉突破機・改」に、これまでの旅を共にしてきた仲間たち――ガイウス、レティシア、ヴェルミナ、ドルシス、獅堂グレン――が、静かに乗り込んでいく。
「皆さん、本当にありがとうございます。ここまで、付き合ってくれて」
「水臭いこと言うなよ、レン」
ガイウスが、力強く笑った。
「あんたが行くところなら、あたしはどこまでも付き合うわよ」
レティシアも、まっすぐにレンを見据えた。
「わしも、最後まで見届けさせてもらう」
ドルシスが、静かに頷く。
「面白くなってきたじゃねえか」
グレンも、不敵な笑みを浮かべた。
こうして、レンたちを乗せたスペースクラフトは、宇宙の境界――高次元の領域へと向けて、静かに発進した。
「宇宙の“外側”に近づくにつれ、これまでの物理法則の適用範囲が、急速に狭まっていきます」
ヴェルミナが、計器を見つめながら報告する。
「レン、大丈夫か?」
「はい……理解を、深めながら進みます」
レンは、これまで積み重ねてきた、光速、重力、空間への理解を総動員しながら、船体の安定を維持していった。
やがて、視界の先に、これまで見たどの光景とも異なる、幾何学的でありながら、絶えず変化し続ける、不可思議な空間が広がった。
「あれが……高次元の領域」
レンは、思わず息を呑んだ。
『ようこそ、レンよ』
高次元の存在の声が、静かに響く。
『貴殿がここまで辿り着いたこと――それ自体が、この宇宙にとって、大きな意味を持つ』
「ありがとうございます。……ここで、俺は、何をすればいいんですか」
『貴殿の理解を、この宇宙そのものへと、最終的に向けてもらいたい』
高次元の存在は、静かに続けた。
『この宇宙は、貴殿の理解と共に、絶えず成長し続けてきた。その成長の最終段階として――貴殿には、この宇宙という存在そのものを、より豊かで、調和的なものへと、導いてもらいたい』
レンは、深く息を吸い込んだ。
「分かりました。……やってみます」
こうして、レンは、これまでの人生の全てを賭けた、最終的な理解と強化――宇宙そのものへの挑戦に、いよいよ足を踏み入れていくこととなった。
(第9話へ続く)




