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強化倍率∞(インフィニティ)~武器しか強くならない俺が、気づけば○○していた~  作者: 伝説の男前
第9巻 最終強化編

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第4話「空間という約束」

 光速、重力という二つの根源的な概念への理解を経て、レンは、最後の壁――空間そのものへの理解へと、挑戦を進めていった。


「空間……これまでの二つとは、また異なる難しさがありますね」


 ヴェルミナが、資料を前に、思わずため息を漏らした。


「光速や重力は、まだ“数値”として捉えられる部分がありました。ですが、空間そのものは、それ自体が“舞台”であり、対象化することが、極めて困難です」


「はい……正直、これまでで一番、理解に苦労しています」


 レンは、幾晩も資料と向き合いながら、空間という概念の本質を、探り続けていた。


「レン、少し休んだらどうだ」


 ガイウスが、心配そうに声をかける。


「大丈夫です。ただ、今回ばかりは、本当に難しくて……」


 そんな中、レンの元に、思いがけない来訪者が現れた。


「レン、久しぶりだな」


 獅堂グレンが、不敵な笑みを浮かべながら、研究室に姿を現した。


「グレンさん。今日は、どうしたんですか」


「お前が、また難しい顔して唸ってるって聞いてな」


 グレンは、レンの資料を、興味深そうに覗き込んだ。


「空間、か。俺には、小難しい理論は分からねえが……一つ、聞いていいか」


「なんですか」


「お前が最初に、俺の剣を強化した時――あの重力の渦の中で、剣を“繋ぎ止める”ように強化したよな」


「はい」


「あれって、結局、剣と俺との“空間的な繋がり”を、強化したってことじゃねえのか」


 その言葉に、レンは、はっとした。


「……そうか。空間も、単なる“場所”としてじゃなく、存在同士の“距離”や“繋がり”を規定する、約束事として捉えればいいのか」


 レンは、勢いよく資料をめくり直した。


「グレンさん、ありがとうございます! ヒントを、もらえた気がします」


「はっ、俺は難しいことは分からねえが、役に立てたなら何よりだ」


 グレンの何気ない一言が、レンの理解を、大きく前進させることとなった。


 こうして、レンは、空間を「存在同士の距離、そして繋がりを規定する約束事」として、再定義していく研究を、本格的に進めていった。


「ドルシスさん、この理論、確認してもらえますか」


「うむ……面白い視点だ。空間そのものを“繋がりの総体”として捉えるのであれば、その強化は――次元の崩壊を防ぐことにも、繋がるかもしれんな」


 ドルシスの言葉に、レンは目を見開いた。


「次元の崩壊……それは、どういうことですか」


「わしの故郷が滅びた原因の一つに、空間の歪みによる、次元構造の崩壊があった。もし、お前の理論が、空間そのものの安定性を高められるのであれば――それは、宇宙全体にとって、極めて重要な意味を持つことになるだろう」


 レンは、深く息を吸い込んだ。


「分かりました。この研究、必ず完成させます」


 こうして、レンの最終章となる研究――空間そのものへの理解と強化が、いよいよ、その最終段階へと進んでいくこととなった。


(第5話へ続く)


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