第1項 水は決められた道を通る
鬆…大根や牛蒡などが時期が過ぎ中身がスカスカな空洞となること
事件には全て鬆が存在するスカスカとなった容疑者が嘘で塗りたくった架空世界が存在する、この物語は探偵である者がその鬆を発見する物語である
こんにちは、もしくはこんばんはの人もいるかもしれませんね
私の名前は『斐伊川 枢』、私はここ『瑞穂市』で探偵をしている者だよ、あーそうそう私を語るには重要な事があった私は『異能力使い』だ考えとしてはよくある異能力バトル系漫画と同じ考えでいいよ、で私の能力は『鬆入りを行う推理』本来は河川の我流天元みたいに当て字があるんだけど、私の能力は別に口に出さなくても発動できるから当て字を付けてないんだよね
X²²年9月21日
高層タワーの最上階で溺死体が発見された
その部屋は水が出るようなもの、蛇口やシャワー等々がない空間であった
『水がないなら不便だろう』そう思うかもしれないが、この都市『瑞穂市』は他の都市と比べ殺人事件発生率が4.8倍高い、その為『溺死対策ビル』や『焼死対策博物館』のような一方の能力者からの殺人を防ぐ目的の建物が多く存在する
「被害者は『灤河 罍罍』さん43歳男性、数ヶ月前から殺人現場である『ミズホツインタワー』で暮らしている人物だ死亡推定時刻は昨日の16時33分だ」
枢が手元の資料を見ながら言った
「枢さんこのビル…いや『ミズホツインタワー』は一方が『溺死・水死対策』もう一方が『焼死・火死対策』の高層タワーですよね?」
枢が経営している探偵事務所『不純物の濾過器』で働いている『多摩川 熙』がそう言った
「あぁ、だから絶対有り得ない『殺され方』なんだ」
枢が眉を顰めながら言った
「あーでは私の能力『皞々し煌々する光景』」で現場での殺人方法を転写しましょうか、犯人の容姿は描写されませんが殺され方はわかるので絞れるのでは?」
「する前に少し考察させてくれ、お前の能力は年に4回しか使えないだろう?」
「まぁ確かにそうですね、不可解な事件も解決するのが枢さんですからね」
熙は憧れの念を隠しきれないほどの声で言った
「最も怪しいアリバイがない人物はこの4人だ」
枢は持っていた資料を窓際に置いてあるホワイトボードに貼り付けた
鮭川 酒々井
身長:180.5cm
体重:58.9kg
性別:男
好きなもの:クッキー
酒々井本人は16時〜17時の間近くのゴルフ場『鳳凰カントリー♣︎』でゴルフをしていたと発言している
訥謨爾河 眠
身長:154cm
体重:43kg
性別:女
好きなもの:カツカレー
眠本人はミズホツインタワーの近くの漫画喫茶『空風BASE・O』で漫画を読んでいたと発言している
湊川 瑠璃
身長:171cm
体重:49kg
性別:女
好きなもの:三色団子
瑠璃本人はミズホツインタワーの中の部屋で読書を行なっていたと発言している
屏川 蝶番
身長:209cm
体重:81.4kg
性別:男
好きなもの:ちゃんこ鍋
蝶番本人は力士であるが今日はたまたまオフであった為ちゃんこ鍋屋『ゆっちゃん』でちゃんこ鍋を食べていたと発言している
以上4名である、全員がバラバラの場所におり不一致であったが全員共通している点が一つあった、それは『能力の開示』を行わなかったことだ、この町での能力の開示は言わば自身の護衛術を暴露しているのと同等である、その為開示しない事は普通であり枢と熙が能力を開示しあっている事自体が異常であった
「さて、まずは酒々井さんから考えようか」
「あの先に訊きたいのですが酒々井さんはミズホツインタワーとは数キロ離れているゴルフ場でゴルフをしていましたよね?どうして疑いの目を?」
「あぁ、それは単純明快、彼が『被害者の執事』だからだよ、日常生活の鬱憤も溜まっているだろう、だから念の為候補に入れているんだ、アリバイもないからな」
酒々井がゴルフを行なっていたゴルフ場『鳳凰カントリー♣︎』には防犯カメラが設置してあるが、それはダミーものであった
「っていうかこのアリバイのない最重要容疑者の人達は全員、被害者である『罍罍』さんの『従者』だぞ?」
枢は最も推理を行うことでの重要な要素『被害者との関係』を言い忘れていた
枢が事を無碍に言うと、熙は手に持っていたタブレットを落としそうになった
「って事は全員身内じゃないですか!早くそれを言ってくださいよ!」
熙は腕を組み不満そうにそう言った
「悪い悪い、あまりにも『当たり前』の事のもんで私の頭の中から零れ落ちていたよ」
枢は明らかにわざと自身の頭を叩きホワイトボードを隅々まで見て言った
「執事の酒々井、メイドの眠、秘書兼護衛隊長の瑠璃、そして力士兼ボディーガードの蝶番、これらは全て被害者の秘密をかなり知っている人物だ、そして全員が主人の陰で暗躍することが可能な人物たちだ」
枢は右手の中指・薬指・小指を折りたたみ顎に人差し指を乗っけながら言った
「ですが、従者なのであればある程度『忠誠心』があるのではないでしょうか?」
「いいかい熙これだけ言っておくよ『水は決められた道を通る』」
「ええその通りです、それがどうしたんですか?」
「話はまだ続くよ『だが水は稀に氾濫を起こすそしたら、水は決められていない道をも通り始める』」
枢は自身が思っている教訓の一つを熙へ言った
「では今回の場合主への『忠誠心』と言う名の『堤防』が一瞬にして氾濫したってことですか」
「あぁ、その通りだ、そしてその濁流が引いた後には、必ず『鬆』が残っている。中身を失ってスカスカになった嘘が浮かび上がってくるよ」
枢はホワイトボードから酒々井の写真を剥がし、ポケットの中に突っ込んだ
「さて、ゴルフ場へ行くぞ、ダミーカメラしかない広大な芝生の上でどう『道』を引いたのおか、この目で確かめに行こう、ま彼が犯人とは限らないけどね」
枢がニヤリと笑いながら言った
「…あ!枢さん!ちょっと待ってください!現場の資料もう一回確認させてください」
煕はタブレットを操作し、被害者の遺体写真を拡大する
「…この死体やはり変ですね、溺死なのに妙に綺麗すぎますね…普通水死体には水が入って泡を拭いたり、汚れていたりしますよね、ですが…この人の場合『綺麗すぎる』まるで『真水』だけで満たれて内側から丁寧に窒息させられている感じで…」
「……なるほどな、いいところに気づいたな、熙」
枢が事務所のドアノブに手をかけ、振り返る
その瞳にはすでに誰が『犯人』であり犯人の心の『空洞』を捉えたあのような鋭い光が宿っていた
「それがこの事件の『鬆』の一つだ、『普通じゃない』能力者が蔓延るこの街では普通の事かもしれないが、不自然なほどに清潔な死、忠誠心がまだ残っており、苦しみながら死んで欲しいが綺麗に死んで欲しいという心の残渣があったのではないか?」
枢は普段見せない、微笑みながら煕へ言った
「心の残渣…ですか」
「あぁ、ま続きは道中で話そう行くぞ、瑞穂市のルールは『殺される前に防ぐ』だが、我々のルールは『壊れたその後の断面を暴く』事だ、ゴルフ場と殺人現場どちらにも行こうか」
「わかりました!行きましょう!」
鬆…大根や牛蒡などが時期が過ぎ中身がスカスカな空洞となること
次回:第2項『水なき場所に溺死体は浮かばぬ』
実際に現場と被疑者が居たと思われる、ゴルフ場『鳳凰カントリー♣︎』に行ってみることにした、枢と煕そこで得られた鬆とは何か




