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【第二部完】AIにリストラされた俺、異世界で「生成AI」を使いこなして成り上がる〜進化する相棒と共に世界をハックする〜  作者: ikura
(未定)

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翌日、王宮内の実務会議室にて、アステリア魔国とグランヴェール王国の状況を確認する定期会合が開かれた。

 出席者はアステリア側の内政大臣ヴァルガスと、軍部代表のゼノス将軍。対するは、カレンベルク領の使者であるケンジとリィザである。


まずは儀礼的な挨拶の後、議題は「魔素不足の現状と課題」へと移った。


「報告によれば、現在のアステリアにおいて魔素不足は発生しておりません。グランヴェール王も和平に賛成されていますので、カザド合意が維持される限り、今後も供給不安が起こることはないでしょう」


カザド合意――それは以前、ケンジがカレンベルク領の使者として魔王と直接結んだ暫定停戦協定である。


【魔族・人間 暫定停戦協定:カザド合意】


不可侵の誓約: 人間・魔族共に不可侵を誓約する。それを条件に人間側は魔素を大量消費する防衛システムを利用しない。


緩衝地帯の設立: カレンベルクを含む国境付近の街を「自由交易特区」とする。


定期的な会合: 数ヶ月に一度、魔族と人間の定期会合を行う。


ケンジが整理された資料を提示すると、ヴァルガス大臣は厳格そうな面持ちを少しだけ緩め、頷いた。

「然り。グランヴェール王国……特にカレンベルク領との交易は、我が国にとっても有益である。少なくとも、我が国からこの停戦を破棄することはないだろう」


「精霊樹からの魔素供給も安定しているようですし、今のところ軍事的な課題もなさそうですね」


ゼノスが軍部としての見解を補足し、実務的な確認は滞りなく完了した。その後、三ヶ月後の次回会合の予定を決定し、公式な議題はすべて終了した。


「さて、堅苦しい報告はここまでとしましょう。ケンジ殿、リィザ殿、茶のお代わりはいかがかな?」


ヴァルガス大臣が穏やかに微笑むと、会議室に香りの良い茶が追加された。公式な場から、実務者同士の「雑談」という名の情報交換の場へと変わる。ケンジは茶を一口すすり、何気ない様子で切り出した。


「ところでヴァルガス大臣。昨日少し街を歩いたのですが……至る所にゴーレムが放置されていますね。あれはやはり、魔素不足で動かなくなったものなのですか?」


ケンジの問いに、ヴァルガスは少し懐かしむような、あるいは諦めたような表情を浮かべた。

「左様ですな。今では想像もつかないでしょうが、数百年前のアステルは今より遥かに多くの魔素に満ち溢れていたのです。あのゴーレムたちはただの石像ではなく、街のいたるところで働き、民の暮らしを支えていた……と記録に残っております」


「当時は軍用だけでなく、清掃や運搬、さらには都市の気温調整を担うゴーレムまでいたという話だ。今はそのほとんどが、エネルギー源を失って沈黙しているがな」


ゼノスの言葉に、ケンジは相槌を打ちつつ、脳内のノアと通信を交わす。

(マスター、ヴァルガス大臣らの言葉を裏付けるデータを確認しました。全盛期のアステルは、現在の数百倍の密度で魔導回路が活性化していました。彼らは、あのゴーレムたちが『物理的な故障』ではなく、単なる『燃料不足』で止まっているだけだと思い込んでいますね)


「それほど多くのゴーレムが……。今はただの置物となってしまったのは、少し勿体ない気がしますね」


「ふん、勿体ないか。だが、動かす魔素がない以上はどうにもならん。あれは輝かしい過去の象徴であり、同時に我々の限界を示す墓標のようなものだ」


ゼノスが自嘲気味に笑い、会合はそのまま和やかな雰囲気で解散となった。

 王宮の廊下を歩きながら、ケンジの足取りはどこか軽かった。


「……リィザ、聞いたか? 『墓標』だってさ」


「ええ。でも、ケンジ……。なんだか、悪い顔してるわよ」


「はは、人聞きが悪いな。ただ、少しだけ『メンテナンス』の準備を急ぎたくなっただけだよ」


夕闇に沈む王都。ケンジは、動かぬまま佇むゴーレムたちの影を静かに見つめていた。

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