ツインテール姐さん覚醒編 ――笑いで制圧、正義で統率 第2話 目立ってなんぼ、笑わせて勝ち――ツインテール姐さん、注目中毒になる
小学校二年生の春。
赤嶺美月は、すでに「普通の子」の枠から完全に外れていた。
低めツインテール。
小柄で可愛らしい顔立ち。
勉強もできるし運動もできる。
ここまでは“優等生”。
だが、問題は――
本人が“目立っていること”を完全に理解してしまったことだった。
ある日の朝。
教室に入るなり、美月は一瞬止まる。
(……見てるな)
クラスの数人がこちらを見ている。
その瞬間。
スイッチ、入る。
「みなさん、おはようございます♪
本日も元気指数は絶好調ですっ」
爽やか笑顔。
お天気お姉さんモード。
「今日は一日、楽しく過ごせそうですね♪」
教室、ざわつく。
「また始まった!」
「今日は天気や!」
先生、苦笑い。
(もう慣れた)
だが、その日はそれで終わらない。
一時間目。
静かにノートを書いていたかと思いきや、急に手を止める。
(間)
ゆっくり顔を上げる。
「……この問題」
低音。
任侠モードに切り替わる。
「筋、通ってるな」
先生
「算数やからな!!」
クラス爆笑。
休み時間。
美月は校庭に出る。
その動きが、もう完全に“意識している”。
・少し大げさに走る
・ちょっと派手に転ぶ(無傷)
・起き上がる時に決め顔
(見てるか?)
見ている。
めちゃくちゃ見ている。
「大丈夫!?」
「今のすごかったな!」
完全に注目の中心。
美月、満足。
「ええで」
この頃から、美月の中にある感覚が芽生えていた。
「見られる=楽しい」
そしてそれは――
どんどん加速する。
昼休み。
クラスで軽い揉め事。
誰が先に遊ぶかで言い合い。
普通なら先生案件。
だが――
「……待てや」
美月、登場。
(間)
「順番あるやろ」
空気が止まる。
だが今回は、ここで終わらない。
美月、ちらっと周囲を見る。
(……全員見てるな)
ニヤッ。
「ほな、今からジャンケンや」
仕切る。
「最初はグー」
完全に主導権を握る。
トラブル、解決。
その後。
蓮が言う。
「なあ……」
「なんや」
「さっきの、わざとやろ」
「何が」
「間とか」
美月は少しだけ考える。
(間)
「……まあな」
開き直り。
放課後。
当然、赤嶺製作所。
「おはよー!!工場長やで!!」
時間は夕方。
だが関係ない。
職人たちが笑う。
「来たな」
「今日は何モードや?」
「今日は全部や」
宣言。
作業中。
美月は工具を運びながら、急に言う。
「ヨークミテイテチョウダイ」
来た。
怪しいマジック。
「タネモシカケモ……ちょっとダケアルヨ~」
「あるんかい!!」
職人総ツッコミ。
だが笑いは取れる。
次の瞬間。
「今日は作業効率も上昇傾向です♪」
天気モード。
そのまま。
「……無理したらあかんで」
任侠モード。
人格が安定しない。
だが――
現場は明るい。
清一がぽつり。
「なあ」
「何や」
「この子な」
「うん」
「完全に分かってやっとるな」
花が笑う。
「そやで」
夜。
真人が言う。
「なあ美月」
「なんや」
「なんでそんな目立ちたがるんや」
美月は即答する。
「おもろいやろ」
「それだけか」
「それでええやろ」
正論。
学校でも、工場でも、家でも。
美月の奇行は増えていった。
だが――
誰も止めない。
なぜなら。
誰も傷つけない
むしろ助ける
場を明るくする
だから結論は一つ。
「……まあ、ええか」
先生は職員室で言う。
「赤嶺さん、最近ちょっと目立ちすぎで……」
「問題ある?」
「いえ……」
少し考えてから。
「クラスが一番まとまってます」
蓮は帰り道でつぶやく。
「なあ」
「なんや」
「お前、絶対目立つの好きやろ」
美月、即答。
「大好きや」
迷いゼロ。
こうして。
ツインテール姐さんは気づいてしまった。
人に見られる楽しさ
場を支配する面白さ
そしてそれは――
後に戦隊ヒロインとして
ステージに立つ資質へとつながっていく。
どれだけ変でもいい。
どれだけ目立ってもいい。
「見てる人が笑うなら、それが正解や」
それが、この少女のスタイルだった。




