5月の公式戦 9
SIEGにとっての第2試合。
この試合に勝てば7部昇格が決まる(SIEGがが加盟している地域では、8チームで構成されている各部の上位2チームが昇格。下位2チームが降格するルールであった。ちなみにSIEGは8部(最下部)なので、下位2チームになっても、降格はない)。
SIEGの対戦相手は、『お達者会』。
チーム構成員全員が55歳以上で構成されている、いわゆるシニアチームだ。
SIEGは、全員が家庭婦人の資格を有する構成員だが、#4フサエちゃんを除くほとんどが未就学幼児がいる若いママさんのチーム。
『お達者会』構成員にから見ると、SIEGのメンバーは、場合によると孫の年齢に当たる者も多かった。
陽介は試合開始前、お達者会のメンバーとその練習を見て、SIEGのサーブが良ければ勝てると思った。
なぜならば、お達者会のアタッカーは、レフトのみ。しかもかなり年齢を重ねている御人に思えた上に、ほぼジャンプをせず(いやジャンプが出来るような年齢ではないように見えた)、ネットの下からドライブをかけて相手コートに打ち込む、いわゆるサブマリン打法(潜水艦をイメージしたようで、水面下(この場合はネット下)から攻撃する等の意味から、言われている(諸説あるようですが…))。だったからだ。
それにレシーブにおける左右の動きの反応が、鈍いように思えた(SIEGも人の事いえないが…)。
しかし、この陽介の甘い思い込みは、試合開始と共に打ち消された。
昇格を賭けた試合が始まる。
サーブ権はお達者会。
主審のサーブ許可の吹笛。
思いのほか早いサーブがSIEGコートに向かって来た。
SIEGは#9じょんちゃんがオーバーでレシーブ。セッター#5フサエちゃんが珍しくドリブルではない綺麗なトスをレフト#4イッちゃんに上げた。
#4イッちゃんは、低身長と高齢を考えての作戦か、ノーブロックのお達者会コートにアタックを打ち込んだ。
陽介を含めSIEGのメンバー全員が決まった!と思った。
しかし、そのアタックをお達者会のハーフセンターがオーバーで触り、コート中程右側に低く上がったボールを、バックレフトが倒れながら触りつなぐ。
そして3コンタクト目を、再びハーフセンターが倒れ込みながら必死にSIEGコートに返した。
SIEGは#4イッちゃんのアタックが決まったと、気を抜いていたところにボールが返って来たので、慌てて#1ユッケっちゃんがレシーブした。
だが、そのボールは直接お達者会コートにチャンスボールとして向かった。
お達者会は、「チャンス!、チャンス!」と言いながら、ハーフセンターが決して素早い動きではないが丁寧にセッターにパス。
セッターは、お達者会唯一のアタッカーであるレフトにトスを上げた。
そして、レフトアタッカーは数センチのジャンプをして、ネット下からドライブかけて思いっきりSIEGコートのバックサイド最深部にアタックを打ち込んだ。
SIEGのレシーバーは、そのボールを見送るだけだった。
恐ろしや、サブマリン!
恐ろしや、倒れ込みレシーブ!
陽介は、こういうバレーボールもあるんだ!と、驚愕した。
SIEG0-1お達者会
お達者会のサーブ。
やはり早いサーブがSIEGコートに向かって来た。
しかし第1サーブはネットにかかり失敗。
続く第2サーブは山なりの、ただコートに入れるだけのサーブだった。
SIEGは、#13バックレフトのオキヨちゃんがレシーブ。
優しいサーブレシーブのはずだったが、ボールはセッター#5フサエちゃんまで届かず、#5フサエちゃんが走り込んでレフト#4イッちゃんにアンダーで二段トス。
#4イッちゃんは、離れた二段トスを軽くはたき、お達者会コートに返した。
#4イッちゃんが返したボールは、お達者会バックレフトを襲った。
お達者会のバックレフトは、下がりながら苦し紛れに両手を振り上げボールに触れた。
コート中央後方に上がったボールを、バックセンターがトスを呼んでいるレフトアタッカーに、「行くよー!」と言ってアンダーで二段トスを上げた。
レフトアタッカーは、これまたサブマリンでSIEGコートバックサイド最深部を狙いアタックを打ち込んだ。
線審の旗は下を指し、お達者会の得点。
お達者会は、レフトアタッカーのところに集まりハイタッチ。
しかし、すでに息切れしているようにも見えた。
そもそも、コートバックサイド最深部にアタックを打ち込まれたら、それをレシーブ出来る技術はSIEGにはない。それにコートバックサイド最深部に打ち込まれないようにな守備体型を指導していない。
陽介は、しばし様子を見ることにした。
SIEG0-2お達者会




