5月の公式戦 3
副審が第2セット開始の吹笛をした。
第1セットをSIEGにとられたパパクラブBは、副審の吹笛があってもなお監督(部長)が第1セットのことを話し続けている。
SIEGとの練習試合でも見られたが、話しが長い。
しかしこれは公式戦。
当然ながら副審が吹笛を小刻みにし、パパクラブBが早くコートエンドラインに整列するようにうながした。
パパクラブBの監督は、軽く左手を上げ「了解!」の旨のジェスチャーをしたが、まだ話が続いている。
さすがに主審が激しく吹笛を繰り返し、さらにやっと整列したパパクラブBのキャプテンを呼びつけ、第2セット開始の両チームの挨拶が行われる前にもかかわらず、今度遅延行為が見られたらイエローカードを出すと注意を受けた。
副審がサーブ順を確認し、主審の吹笛で第2セットが始まった。
サーブ権はパパクラブB。
主審のサーブ許可の吹笛でサーブを打った。
SIEGは、レフト#4イッちゃんがレシーブ。セッター#5フサエちゃんが#4イッちゃんにトスを上げた。
しかし主審の吹笛。
#5フサエちゃんのドリブルの反則だった。
最下部8部でハンドリングの反則を吹笛するのは、主審にとってもゲームを壊す可能性があるため、上部のチーム同士の対戦と比べ、中々吹笛することはない。
しかし、誰が見てもドリブル。主審もさすがに吹笛せざるを得なかった。
#5フサエちゃんも、自分がドリブルをしたという自覚があったか、素直に右手を上げた。
SIEG0-1パパクラブB
陽介は、「サーブレシーブは苦しい。頼むから早くこのサーブを切って欲しい!」と願った。
パパクラブBのサーブが続く。
山なりに飛んで来たサーブを、ハーフセンター#9じょんちゃんがオーバーでレシーブ。#5フサエちゃんは今度もレフト#4イッちゃんにトスを上げた。
やや短いトスを#4イッちゃんは、思いっきり打った。
しかしそのアタックはネット上方白帯に当たった。そしてボールは白帯を伝いパパクラブBコート前衛レフト側コートギリギリに落ちた。
両チーム共、そのボールがコート内に落ちたのか?コート外に落ちたのか?分からず、線審の方を見た。
線審は旗を振り下ろし、インのジャッジ。
一瞬間があったが、#4イッちゃんがガッツポーズ。続いてメンバーも#4イッちゃんの所に集まり、そして全員が肩に手を回し「せ~の、SIEG!」と声をかけ合った。
だが、パパクラブBのキャプテンが主審の所に行き、何か質問をしている。
陽介は、何を言っているのかは分からなかったが、その様子から線審はインのジャッジ。しかし副審はアウトのジャッジをしている。どちらが正しいのか?というような内容のように見えた。
主審が副審と担当線審を呼びつけ、話しをしている。
陽介は、その様子をただただコートの中で見ているSIEGのメンバーに、「体が冷めないように、動いて!、動いて!」と指示をした。
主審は、少し長めの話し合いをしたが、副審と担当線審が所定の位置に戻ったのを確認してから、あらためてSIEGの得点を認めた。
するとパパクラブBのキャプテンが再び主審の所に行こうとした。
しかし主審は、その行動を制してゲームを再開させた。
SIEGは再びコート中程に集まり、全員が肩に手を回し「せ~の、SIEG!」と声をかけ合った。
SIEG1-1パパクラブB
SIEGのサーブは、#9じょんちゃん。
冷静に考えてみるとSIEGは第1セット、3人しかサーブを打っていない。#2アシミちゃんのサーブが続いたとは言え、めったにない状況だ。
#9じょんちゃんは、思いっきりサーブを打った。
パパクラブBは、後衛ライトがコート中程にレシーブ。そして「ワン~!」と声を出す。セッターが走り込んで前衛レフトにアンダーでトスを上げる。そして「ツ~!」と声を出す。しかしそのトスは前衛レフトには上がらずバックレフトがチャンスボールをSIEGコートに返した。そして「スリー!」と声を出した。
SIEGはそのチャンスボールを、バックライト#2アシミちゃんがセッター#5フサエちゃんにアンダーでパス。#5フサエちゃんはレフト#4イッちゃんにトスを上げた。
#4イッちゃんは、第1セットでも見せた切れの良いアタックを打ち込み決めた。
#4イッちゃんは大喜び。皆も大喜び。全員で「せ~の、SIEG!」と大声を出した。
陽介は、#4イッちゃんのアタックを打つまでの過程を見て、「チョッと出来すぎじゃない?」と思った。
しかし、「弱小ママさんバレーチームに『出来すぎ』という状態は続かないこと。世間はそれほど甘くはないこと。」と、陽介は思い直した。
SIEG2-1パパクラブB




