表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/51

かけもち監督? 9

 準備体操を子供帯と一緒に終えたメンバーに、「それでは、親子2人一組になって下さい。3人の場合はママが1人子供が2人になるように3人一組に、そして子供が来ていない人はメンバー同士で組みになって下さい。これからオーバーパスの練習をしま~す!」と陽介は言った。


 すると、フサエちゃんとイッちゃんが陽介に駆け寄り、「ウオーミングアップなしということでしたが、出来ればキャッチボールだけでも少しやらせていただけないでしょうか?」と言って来た。


 陽介は、「ごもっとも」と思いその申し出を受け入れ、「先ずはキャッチボールをしましょう!」と言った。


 しかし当然ながら、子供とママさんの組みは、大人と子供の肉体的力関係から普通のキャッチボールは成り立たない。


 陽介は、「子供と組みになっているママさんは、自分が投げる時にはコートの端まで走って下がり投げましょう!、そして子供が投げる時は急いで子供が投げられる距離まで走って行き、子供が投げたボールをキャッチしましょう!。子供が上手く投げられた時は必ずほめて下さい!それでは始めます。時間は5分です。」と言った。


 大人同士のキャッチボールならば、さほど疲れないキャッチボールも、子供と組みになっているメンバーには地獄のような5分だったに違いない。


 子供の親は威厳を見せるべく必死にキャッチボールをやっていた。ヘロヘロになって動けなくなってしまうような姿を見せないようにと思ったに違いない。


 5分間のキャッチボールが終わり、息絶え絶えのメンバーもいる中、陽介は「それではオーバーパスの練習をします。子供達は水を飲んで下さいネ!。」と言い、メンバーには「今まで練習をして来た過程の中で、オーバーパスをどのようにするか?、例えばおでこの前に手の平で三角のおにぎりを作り、それを少し横に広げてボールを包むようにキャッチしてボールを前に出す。ということを指導されたことがあると思います。したがって、そこまでは出来ることを前提にした上で、そのキャッチしたボールをどのように相手にパスをするかについて、説明します。」と言った。


 そして、「バレーボールにおける体重の移動は、上ではなく前です。両足を肩幅位に開きどちらか自分がやりやすい方の足を少し前に出して下さい。そして膝をかるく曲げボールをキャッチして下さい。そしてそのボールを押し出すように目標に向かって出すの同時に、一歩前に歩くようにして下さい。その時に体重の移動を上にしてしまうと力が上方に伝わりボールは上に上がってしまいます。ですから必ず歩くように体重の移動を前にして下さい。言っていいるだけでは分からないと思うので、僕がやってみせますね。」と言って、陽介はオーバーパスをして見せた。


 皆、「オォォォー」と言いながら感心していたが、給水を終えて何となく陽介の話を聞いていた子供達が、陽介の真似をしてオーバーパスをした。


 しかし、その姿が以外にも綺麗で良く出来ていたので、皆関心をしていた。


 陽介も、「君達は上手いね!、ヒョットするとママよりも上手いかもよ!」とほめた。


 だが同時に陽介は子供達に、「まだ君達には、このボールは重いから、いくら上手でも今はオーバーパスはしちゃダメだよ!、後でおじさんが君達と一緒に練習するから、チョッと待っててね!」と言った。


 そして「それでは大人だけで2人一組になって下さい。そして今僕が言ったことを念頭にオーバーパスの練習をします。決していい加減にやらないように!、そして妥協しないようにやって下さい。僕は子供達と練習しながら皆さんを見ていますから…。時間は先ずは3分です。」と言って、フサエちゃんに時間を計るように指示をした。


 陽介は、子供達をコートの端に連れて行き、「さっきはオーバーパス上手かったね!、おじさん驚いちゃったよ!、でもねさっきも言ったけどこのボールは君達には重すぎるから、絶対にこのボールでオーバーパスはしないでね!、ケガしちゃうと大変だからネ!」と諭し、「では、おじさんがボールを投げるから、さっきママ達に言ったように、おでこの前で両手の平で三角のおにぎりを作ってボールを掴んで見よう!」と言って、横目で大人のオーバーパスを見ながら、ボールを子供に優しく投げた。


 子供は何がどう楽しいのか、この練習を喜んでキャッキャと言いながらやった。陽介は上手に出来た子供は心からほめてあげた。


 しかし大人はぎこちなく、オーバーパスをやっていた。


 陽介から言われたことをやろうとしている姿は見受けられたが、辛そうだった。


 さもあらん。今まで基礎練習をしたことがないのだから…。


 3分経ったので、取り敢えず大人も子供も水分をとらせた。


 そして、チームのメンバーには、「3分って短そうに思えるけど、基礎的な体勢でパスを続けると結構辛いでしょ?」と言い、「しかし残念ながら、僕が見ていた範囲では最初の1分位は僕の指導通りやろうとしていましたが、時間が経つにつれ皆さん楽な体勢でやろうとしてました。もちろん僕に言われたことを守ろうと努力していた姿は見受けられました。しかしこれは仕方ないことなのです。子供はバレーボールを何も知らないので言われたことを必死に続けます。しかし大人は色々な文化や生活を経験して来ていますから最初は言う通りに出来ても、体が楽な事を覚えているためにどうしても無意識に楽な体勢でやろうとしてしまうのです。だから何も知らない或いは経験のない子供は上達が早いのです。」と言った。


 続けて、「では、ボールを使用してオーバーパスをするのは止めて、オーバーパスを出すための基本姿勢(両足を肩幅くらいに広げ、どちらか自分がやりやすい方の足を少し前に出し、膝を曲げておでこの前で作った両手の平を、一歩前に歩くの同時に前に押し出す)を、3分やってみましょう!」と指示をした。


 給水のため体育館片隅にある部屋に行っていた子供達は、どういう訳か戻って来なかった。


 陽介は少し心配になり部屋を除いたが、さすがに今どきの子供達。


 給水に行った時に、皆で携帯電話などのゲームをやり始めたようで、そっちに集中していた。


 陽介は、ホッとした気持ちでチームの練習を見ることにした。


 ところが、3分経った時、「キツーイ!」と言う言葉が多方面から出た。


 陽介は、「大変でしょ、基礎練習って。だけどこれが出来ないとバレーボールは楽しめないですよ。」と言った。


 そして、「次はアンダーパスの練習をします!」と言い、普段動かさない筋肉を動かし、足がブルブル震えているメンバーに指示をした。


 「はい。」と返事はあったものの、皆引きつった笑顔だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ