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絶対に恋したくない俺VS絶対に恋をしたい私【完結済】  作者: しゅしゅく
高校2年、夏休み
48/88

その47 side大野真里

ガールズトークは自分がうまくいってるとか関係なしにやっぱり楽しくて。


あの後、服を買いながら色々な話をした。

お互いのこと、友達のこと、夏休みのこと、週末の夏祭りのこと。


特に、夏祭りについては、浴衣を着るのかどうかから、当日の過ごし方まで結構詳しく話したと思う。


浴衣はこの機会くらいしか着ないし、折角なら着たいけど、全員が持っているのかわからないという話になった。


「私は、去年着たやつがあるし、サイズも大丈夫だと思う」


「私も、明梨ちゃんと去年行った時の持ってる。けど、男子はどうなんだろう?」


「そうね……誠は去年買わせたから確実にあるけど、タカリョーとか持って無さそうね」


「たしかに。木山くんも微妙かな?」


「ま、サイアク女の子だけ着てればいいんじゃない? 華があるのは私たちの浴衣だろうし」


「あはは……でも、みんな揃って集合写真とか撮れた方がいいよね」


「たしかに! せっかく仲良くなれたし、映えそうだし、いいね。多分持ってると思うけど、一応確認しとこっか」


そう言って、明梨ちゃんは慣れた様子でメッセージアプリを起動した。


私は、それをみて思い出す。

最近の優香ちゃん、ちょっと変だったよなあと。


優香ちゃんは真面目だし、優しいから、私がメッセージを入れると割と早めに返ってくる。

それがグループでも、個人でも。


「よし、グループに浴衣をもってるかどうかのアンケートを投稿しましたっと! みんな浴衣で記念撮影できたらいいね!」


笑いかけてくる明梨ちゃんに、うん、そうだねと返事をした。

でも、その会話の後も私の心のどこかに、優香ちゃんのことが引っかかっていた。


だから、明梨ちゃんと別れた後の帰り道で、優香ちゃんにメッセージを打つ。


『やっほー! 生きてる!? 優香ちゃんには珍しく、返信が遅いから、心配になって連絡しちゃった笑』


『迷惑だったら、ゴメンね……(>_<) 夏休みに入ってから、話せてないから寂しかったんだよお』


一つ前の私のメッセージはまだ未読状態だった。

だから、ちょっと気持ち悪いかもと思いつつ、こんな文面を送ったけど、優香ちゃんはこれを見たら確実に返事をくれるだろうと思ってた。


案の定、夜には返信が来た。


たまたまスマホをいじっていたタイミングだったので、すぐに既読をつける。


『ごめんね。忙しくて、返信忘れてた』


『寂しかったって、まだ1週間も経ってないよ?笑』


いつもの優香ちゃんっぽい返信。

だけど、いつもの優香ちゃんは、忙しくても返信を忘れることはないと思う。


やっぱり、気になる。


いつの間に、私はこんなに積極的にコミュニケーションが取れるようになったんだろう。

相手が優香ちゃんだからかな。


気づけば、こんなメッセージを送っていた。


『ねぇ、今電話してもいい?』


即座に既読がついた。

私がすぐにつけたから、待っててくれたのかもしれない。


そして、優香ちゃんはどこまでも優香ちゃんらしく、いいよと答えてくれた。


「もしもし? 優香ちゃん?」


「私よ。私以外が出たら困るでしょ?」


「それもそうだね。電話って、あんまり慣れないから緊張しちゃって」


電話の向こうで、苦笑しているのがわかる。


「緊張って、私と話すだけでしょう? 夏休み前は毎日話してたのに、今更緊張することなんてある?」


「いや、まぁ、そうなんだけどね」


本当にいつもの調子の優香ちゃん。

私が余計なこと考えているだけなのかもしれない。


でもね、何もしないで友達を放っておくことは、私がしたくない。


「寂しかったって言ってたけど、何かあったの?」


優香ちゃんの問いかけに、私は思い切って答える。


「あのね、あの、優香ちゃんさ……なんか、あったの?」


「え? どうして?」


心なしかうわずったような声だった。

私は、少し弱気になる心を奮い立たせて、続きを聞いてみた。


「夏休みに入ってから、というか、入る前から、かな。なんか、ちょこっと様子がおかしくなってるなって思っててさ」


「そうだったかしら?」


「うん。だって、優香ちゃんは、メッセージの返信とかマメだし、勉強だって元からコツコツしてるじゃない?」


「そうかしら。普通だと思うけど」


「優香ちゃんにとっては、そうだよね」


今度は私が苦笑してしまう。


「私にとっては、全然そうじゃないから、素直にすごいなって思ってて」


「あ、ありがとう?」


「あ、そう、それで、そんな優香ちゃんが焦って勉強はじめたり、返信しなくなったりしたってことは、何かがあったのかなって」


ちょっと締まらない言い方になってしまったけど、私が聞きたかったことは聞けた。


あとは、優香ちゃんがどうやって反応してくれるかなんだけど……。


やっぱり、この時間が怖い。

緊張する。


どれだけ時間を重ねても、一言で変わってしまう関係だってある。

だから、取り消しできない会話のやり取りは怖い。


待つ時間はそういう怖さを覚悟してても、長く感じたけど、優香ちゃんの返答はそれなりに早かった。


「そう、ね。あったといえば、あったけど……なかったといえばなかったよ」


「え、それはどういうこと?」


困惑する私に、曖昧に笑った優香ちゃんは答えた。


「ちょっと、話しづらいことがあったってことかな。大丈夫、もう終わったことだから」


「う、うん」


やけにきっぱり言われたような気がした。

でも、話しづらいことと言われると、それ以上突っ込めない。


でも、やっぱり絶対おかしい。

だから、私は約束することにした。


「そ、それならいいんだけど……そう、私だったら人に話したくなっちゃうこともあるから、明日も電話していい? 勉強の息抜きみたいな感じで。私も、寂しいし」


咄嗟に出た割には、まともな言葉だったんじゃないかな。

寂しいのは、本音だし。


優香ちゃんが、電話口で困ったように笑う気配がした。

そして、またあの優しい声で言った。


「うん、わかったわ。それじゃあ、おやすみ。また明日ね」

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