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絶対に恋したくない俺VS絶対に恋をしたい私【完結済】  作者: しゅしゅく
高校2年、夏休み
49/88

その48 side大野真里

毎週水曜日投稿でストックがたまるまではやります。

電話を終えてからの私は、SNSでいろんな子に優香ちゃんが何か悩んでないかなという聞き込みをした。


もちろん、優香ちゃんにはわからないように、個別チャットで。

案の定、みんな、あんまり返事がないということを教えてくれたけど、悩んでいるかどうかまでは分からないみたいだった。


雪花ちゃんだけ、なにか知っているようだったけど、やっぱり本人の口から聞いた方がいいねという話になった。

それを聞いて、私の覚悟も決まった。


今日、電話で聞いてみて、話してくれるなら、真剣に聞いて、力になれるように頑張ろう。

話してくれなくても、聞くのはこれっきりにする。


優香ちゃんが何かを抱えていて、私との距離が少し離れてしまっても、私はその優香ちゃんと仲良くしよう。

叶うなら、優香ちゃんの力になれますように。


長電話になっても大丈夫なように、夕飯を済ませて、お風呂にも入った。

準備万端でスマホを手に取る。


優香ちゃんの都合が悪いと申し訳ないから、確認のメッセージをひとつ。

しばらくして、OKの返事が来たので、意を決して、通話ボタンを押した。


「も、もしもし?」


「聞こえてる。そんなにビクビクしなくてもいいのに」


「スマホで電話って、やっぱり慣れなくてさ……」


「真里ちゃんらしいけどね」


そう言って、優香ちゃんが電話口でふわりと笑ったのがわかる。

続けて質問が飛んでくる。


「昨日、あんな電話で寂しさは解消できたの?」


「うん、やっぱり、優香ちゃんと話すと落ち着くよ」


建前で用意した言い訳だったけど、これは偽りのない本心だ。

学校で毎日話していたから、話さないと落ち着かない気持ちになる気がする。


「そうなの? それは、ちょっと、意外ね」


「意外?」


「真里ちゃん、友達増えたし、加賀美さんもいるから、あんまり私のせいで寂しいとか、想像がつかなくて」


優香ちゃんの言葉こそ、私にとっては意外だった。


「何言ってんのー! 私にとっては、なんだろう、“知り合いのクラスメイト”が増えただけだし……明梨ちゃんともよく話すけど、クラスでは優香ちゃんとも同じくらい喋ってるよ!」


「ご、ごめんね」


わわ、なんか、勢い良すぎたのかな。

謝らせてしまった。


「いや、あの、怒ってるわけじゃなくて、私にとって優香ちゃんは大切だって言いたかったの」


「うん、ありがとう」


「本当にそう思ってるんだからね?」


腹を括った今日の私なら、普段言わないことも言える。

反応の薄い優香ちゃんにダメおしの感謝を伝えないと!


「タカリョーと一緒に、Tシャツの話を進めたときから側にいてくれて……私がタカリョーにフラれた時は励ましてくれた。あの時、優香ちゃんがいてくれなかったら、私、絶対に、手がつけられないくらい病んでた自信あるもん」


「そんなに?」


「うん、そんなに。だから、本当に感謝してるんだ。恋のライバルだけど!」


そう、本当に2人のおかげ。


だから、今度は私が……。


苦笑しているらしい優香ちゃんの声を聞きながら、ひと呼吸。


「あのね、だから、私は、優香ちゃんの力になりたいんだ。私なんかの力では足りないことばかりだと思う。それでも、何かできることがあるかもしれないから。だから、優香ちゃんが何かに悩んでいるなら、教えてくれないかな」


「真里ちゃん……」


「ダメなら、いいの。もう聞かないよ。私は、どんな優香ちゃんとも仲良くしたいもん。隠し事や悩み事を抱えてても、優香ちゃんには変わりないでしょ?」


口に出した素直な言葉。


私の心では、しゃぼん玉のように不安定でゆらゆらした言葉が飛んでいた。

突いたら弾けてしまいそうな、私の弱い言葉たち。

どうか、優香ちゃんに届いて欲しい。


そんな、緊張と不安の入り混じった空気は、優香ちゃんにも伝わっているみたいで、優香ちゃんの声も少し震えているように聞こえた。


「もし、だけど……もし、あなたが私の話を聞いて、失望したとして。今までの私のイメージや積み上げたものが、あなたの中で崩れてしまったとして。真里ちゃんは、どうすると思う? すごく、曖昧な聞き方で申し訳ないんだけど」


コミュ力のない私ですら、言葉に溢れる不安がわかる。

だからこそ、私は正直に真っ直ぐに応えようと思った。


思い出すのは、やっぱりクラスTシャツの製作の時。


「その時は、多分、私の知らない部分の優香ちゃんに出会えたんだって思うかな」


「知らない部分……」


「うん。ほら、Tシャツの時、クラスのみんなと話したでしょ? それでよくわかったんだけど、私には、他の人を理解するっていうのは無理だったんだ」


小さい相槌が聞こえた。


「私、どうしてもイメージで人を見てるんだなあって思ったの。だから、理解するなんて高度なことは無理なの。できない」


「でも、そのイメージが変わっちゃうんでしょう?」


不安そうな声だ。

でもね。


「イメージが変わるのって、別に私にとっては悪いことじゃなくて、絵に装飾を増やしたり、違う服を着せてみたり、背景を変えてみたりするのと一緒だと思うの。つまり、描ける部分が増えたっていうこと」


「なる、ほど」


「だから、私はもう人と話す時は、全部を素直に受け止めるように、全力でその人と向き合うようにしようって思ったんだ。私も素直でいるから、もっとあなたを教えて欲しいなっていう気持ち」


それは、多分、Tシャツに、全員のキャラクターを描く必要があったから。

みんなの個性が小さなことでもいいから知りたかったから。

そういう理由があって生まれた、今の私のあり方。


お陰で、何倍も生きやすくなった気がする。

怖がらなくなった気がする。

全部、2人のおかげなんだ。

だから。


「だからね。私にとっては、どんな優香ちゃんも優香ちゃん。私が私である限り、素直に受け止めるんだ。それで、きっと、私はどんな優香ちゃんとも今と同じ、仲良くできる関係性をつくりたい。これは私のわがままだけど、私は他にどうしたらいいのかもわからないし」


全部素直に話した。

全部まとめて、結局わがまま。

そんなのわかってる。


だけど、伝えないで後悔する選択は、今年はもう絶対にしないって決めたから。


「……そう。話してくれてありがとう。私は、あなたを尊敬するわ」


「へ? そんな、わがままなだけだし、私の方が尊敬してるよ」


「真里ちゃんがわがままなら、私はもっとわがままよ」


優香ちゃんはそう言って、自嘲気味に笑いながら、体育祭であったことを打ち明けてくれた。

書くことは決まってるのに、文字に起こすと時間かかりますよね。

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