初バトル?
我ながら危険な質問をしてしまった。
つい口をついて出てしまったのだ。
が、私の『しまった!』という思いは杞憂だった。
「え?2年のこのイベントで私との婚約保留にしてぇ、皆の好感度が一定越えてたら私の聖属性の魔法が覚醒して強くなるでしょ?それで~…このパーティで私とシグルス様が婚約したって勘違いしたリュシルファ様が闇落ちするじゃない?で、3年生の進級イベントでジグス様が学園の庭師として潜り込んできて私に助けを求めてきたらジグスルート確定なんじゃない。まさかマジで知らないの?てか他の攻略対象は?」
「…ディディ、こいつは何を言ってるんだ?」
お兄様が当然の反応をする。
私は全力でトボけた。
「さぁ…『一年早い』と何度も言うから早くなければと思い尋ねただけなので…でも1年後でもシグルス様と婚約など有り得ないでしょう」
「ちょっ…ディルアーナ!?私が変な人みたいになるじゃない!」
もう既に充分変な人で手遅れだから大丈夫と脳内で返してるうちにマリアは二人の騎士に拘束された。
「貴重な聖属性の使い手だし学生の身ゆえ目溢ししてきたが不敬が過ぎるな。言動も怪しい。裁きの判定を待つがいい」
「え?シグルス様?ねぇ!?何これ!こんなルート知らないし私ヒロインなんですけど!?」
マリアは拘束されながら鳩が豆鉄砲受けたかのように目を白黒させている。
魔法を放とうとしてきたが如何せんレベルは最弱。
拘束しているシグルス様の護衛騎士は難なく弾いた。
しかし扱いには困っているようである。
「あの…私、土魔法と水魔法が使えまして『石化』を部分がけすることも『眠り霧』で眠らすことも出来ます」
と声をかけてみた。
「おぉ、我々の魔法を令嬢にかけると強すぎる可能性があるので是非お願いします。眠らせて下さい」
「『眠り霧』は周辺に影響がありますから私が周りへの効果を防ぎましょう!」
騎士の一人が短い詠唱をし終えると同時に『護りの業火』が私たちを囲う。
回復魔法以外を無効化する魔法だ。
もう一人が騎士二人の顔周辺に『浄めの風』を放つ。
これは状態異常を無効化する魔法。
そして私に向かい頷いた。
『プロテクション!』
マリアも攻撃無効の聖魔法を放つ。
これは防護魔法で相対属性ほどでないがどの属性に対して優位に立つ性質の聖属性なのでかなり強力なものとなる。
が、如何せんお母様を守るのに頑張ってた私と魔力訓練すらしていなかったマリア、レベル差がもの凄くあるのだ。
あっさりマリアの魔法は弾かれ「うそぉ…」という嘆きの声を最後にマリアは眠りについた。
「いや、素晴らしい魔法ですね」
『護りの業火』を放った騎士が感嘆の声で褒めてくれた。
私の魔法を無効化したことで業火が消えたのだ。
火魔法に強い水魔法とはいえ騎士の魔法を打ち消せたのは素直に嬉しい。
こうしてずっとマリアが望んでいた初のバトルをした?が私の圧勝で終わったのだった。




