雪粉
いつの間にか雪粉に
変わって
ちりぢりになってしまっていた
悲しそうに泣くのは
大切だった誰の声
伝えたかったことを
伝えきれずに終わった最期のとき
一緒にいたはずだった
ただ懐かしさが
胸を透かして
容赦なく痛めつける
遠い遠い理想のなかを
私はまだ歩いているつもりでいる
あっちでは素敵なサクラが
見えているというのに
ここはどこまでも
虚しいばかり
削り去られた紙吹雪が
私の足を遅らせる
一人にしないでと
声は震える
いつの間にか雪粉に
変わって
ちりぢりになってしまっていた
白く成る
まるで私一人だけ
取り残されたよう




