14.災獣、再来
筋肉は裏切らない。
ハッスル、マッスル、キャッスル、決する。(言いたかっただけです)
王国侵攻のため、エルフに助けを求めにやってきたのはいいがこの素晴らしい光景は一体なんだ!?
俺と同じかそれ以上の猛者たちがたむろしているではないか! エルフの幼顔と長い耳以外はキレキレのバキバキだ。
「おお! 君たちちゃんと鍛錬を怠らず己を磨いていたんだな」
「これはこれは、いつぞやの! このようになったのもすべてあなたのおかげです。今では王国に屈せずに地道に生きています」
「なら、今こそ立ち上がる時だ。エルフに優しい国家となるべく戦おう」
「なるほど、了解した」
そういうと話していたエルフが指笛を鳴らすと巨大なドラゴンが彼に向かって降り立った。
「君はあの時のエルフか!? というかドラゴンもとても大きくなったんじゃないか?」
「はい! あの時は言いそびれてましたが改めて僕、レオンと言います。あの時のギギーはタイラントドラゴンの成竜となりました!」
「それは心強い。早速侵攻作戦を開くため早速だが一緒に来てもらおうか」
「なんか、雰囲気変わりましたね。信頼してくれているような優しさがでてきたというか」
「そうかもしれないな。......他の者はどうするんだ?」
「信頼のおける親衛隊で行きます。作戦は僕が後で伝えておきます」
「分かった」
ドラゴンの背に乗せてもらい、研究所に戻りジョックスに作戦を仰いだ。内容はいたってシンプル、正面突破だ。俺はこれが一番正々堂々としていて好きだ。
「よし、行くぞ!! 全隊、王国へ向け侵攻せよ!」
俺、レオンとドラゴンのギギー、内部からグレイブ、先陣を切る師匠......そして、後衛指揮のジョンジョックス隊長を据えてキンバリー王国へとたどり着く。そこには魔獣と化した住民たちがファクターXであるローガンを守るように俺たちの前に立ちはだかった。グレイブは魔銃で応戦するも敵が多く、大きいため師匠と俺のタッグで蹂躙し、その援護に回ってもらった。レオンは空に舞う災獣ドラゴンを打ち落としていき、戦場は多くの命を奪った。人間は生きていないのか?そう思い、監獄や城の周りを見ても人間はいない。探すのに夢中になっているとキンバリー城から巨大な黒い女騎士が現れた。あれは、クェイサーなのか? 顔は騎士風のヘルメットに覆われていてわからないが巨大戦ができるとしたら彼女しかいない。レオンに手を掛けようとした瞬間、俺はパンプアップして彼女の手を掴んだ。
「やめろ! おまえ、クェイサーだろ? 俺だ、ジム・コミットだ!」
『......』
「思い出せるほどの思い出なんて一つもないけど! このままお前を殺したくはない! だから、ゲーから自由になるまでじっとしててくれ!」
その思いが届いたのか、彼女を動かすエネルギーが届かなくなったのかはわからないがクェイサーは機能停止した。
「かならず、お前を助ける......」
俺はあのイカレサイコ眼鏡を血眼になって探しまくった。城の中を捜していると偶然にもゲーとローガンを見つけることができた。ローガンは初めて会った時以上に大きく、6枚の翼を広げて輝いていた。
「ゲー! 今すぐクェイサーを自由にしろ!」
「およおや、無生物に情が沸くとは変わった人間だな。破壊して自分好みにすればいいだろ」
「それは無理だ! 俺は筋肉しか信じないから科学はわからん! だが、あいつは......クェイサーとは俺が見てきたあの姿だからこそあいつだと言える。彼女を解放してもらうぞ」
ゲーとの頭の痛くなるような話を展開しているとローガンが横から入ってきた。
「人間、抗うな。粋がるな。すべては無意味なんだよ。この世界に救う価値のあるものなどない」
「お前はそう思ったかもしれないが俺はそう思わない! お前に聞きたいことがある、魔獣から人間に戻る方法はないのか!? 」
「あるべき姿に戻っただけだ。言っただろう、人間とは醜くくありながらも美しいと。この姿を見ろ、これを美しいと言わないでなんと言う?」
「貧相な体つきだな。背筋鍛えておかないとその羽は役に立たないんじゃないか?」
「お前はいつも俺をいら立たせる。 ここはお前に任せるぞ、ゲー」
「お任せを」
そういうとゲーは隠し持っていた薬瓶を飲み干した。すると、彼の姿が文字通り大きく変わり、蛇のような姿となってその巨大なしっぽを使って俺を軽く締め付けてきた。
「フフフ。 貴様には私の研究によく貢献してくれたね。だが、これでその関係とはおさらばだ!!」
はぁ。だからこいつは信用してはならなかったのだ。リードの死体もローガンに横流ししていたに違いない。俺は少し力を抜いた後、怒りを筋肉に込めてゲーのとぐろを引きはがした。
ゲーVSジム・コミット!!
筋肉は長いものには巻かれない!(誰がうまいこと言えと)
次回「勝鬨」




