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バレンタイン6


排除ってナニ?


物理的に?それとも…。


ニキ様に、



「アナベラ嬢的には今の状態のオルブロン、フォーカス様の世話を焼いては仲良くしているのが邪魔で仕方がないと思っている」


と告げられ、


『ナニソレ』


と思った。


それならフォーカス様を振り向かせる努力をしたら良いのに。


建設的だと思いますよ?恋愛ごとに努力ってとても大事なのだから。


等と思わず呟いたら、



「アナベラ嬢は人とは正反対の方向に無駄に努力してしまうタイプだからな」



と、ニキ様に教えられた。


何でも3歳と言う幼少期からフォーカス様にくっつきに行き、周囲に女性が来るものなら癇癪を起こして泣き出してモノを投げ付けたり、お茶をドレスに引っ掛けたり、その令嬢達に痕が付くような引っかき傷を付けようとしたりとお子様ながらも暴虐の限りをし、『子供相手だから』と言う理由をつけてやりたい放題。


そんなアナベラ嬢に周囲の大人達は当初、叱ったりしていた。だが、何度も言ってもヘコタレない・話を聞かない状態。更には下位の貴族相手だと歳を重ねるごとに横暴になっていき、彼女の両親以外は呆れ果てたり諦めたりしてスルーを決め込むことにしたらしい。


その後もずっとフォーカス様の周囲に居ようと、兎に角粘着し続けていて凄まじかった。それが此処数年、フォーカス様が市井に降りてからは大人しくしていたのだとか。



「噂では『一目惚れ』した相手に手酷く振られたらしいな」


「え、そうなの?」


「ちなみにケインだ」


「あ~…うん、何となくわかったかな」



ケイン様、ヤル時はヤル。


と言うか、言う時は言う人だ。


嫌なものは嫌。好きなものは好き。ハッキリしている人である。ケイン様当人はただの甘ったれだと言うが、私にしてみれば白黒明確にしている人だと思っている。

そういう人だから、コレは相当…。



「ま、ケイン曰く「毎日煩わしくて流石にシンドかったから、『贈り物のお菓子に毒を仕込む人とは将来伴侶にするのは無理』と、彼女の父親から何度も言い聞かせるようにして貰った」だとさ」


「毒って…」



それってヤバイ人なのでは!?



「ああ、アナベラ嬢は人外な料理人だからなぁ」



なんですかそれは?


人外ってナニソレ?



「例えばだな。レナは紅茶を入れる時はどうやる?」



え?


どうやるってどういうコト?



「普通にお湯を沸かして、それからポットを温めて、お茶の葉を入れて」


「まず、アナベラ嬢はソコから違っている」


「はい?」


「ポットに茶葉が入るのは良いのだが…色が気に食わないと言って、ポットにまぁ、なんだ。普通人が口にしないモノを突っ込んでおく」


「え」


「例えば、似ていると言う理由で、茶葉の代わりにタバコの葉なんて言うのもあったな」


「それって確か、中毒起こすのでは…」



主に急性ニコチン中毒で。



「一応その時は俺も居て、出されたお茶の匂いが異様で驚いてさ。普段親父達が吸っている煙草の匂いがしてオカシイから何をいれたか聞いて。速攻でそのお茶モドキを従者に言って捨てさせた」



ヒェェェ。


そりゃ幾ら温厚なケイン様でもご遠慮したくなるよね。


ちなみに何が入っているか聞いた従者は、聞いた途端その場に崩れ落ち、ガクガクと身体を震わせて顔面蒼白だったそうで。


恐らくだけど、その従者さん茶葉の中身のことを知らなかったのだろうなぁ。

そしてもし中毒を起こしたら、アナベラ様より側に居た従者が犯人だって言われそうで蒼白になったのかも知れない。



…ニキ様達から聞いたアナベラ様の性格から推測したのだけど、十中八九予想は外れていないと思う。



「え、でも一回だけなら…」


「他にも出されたクッキーが妙に彩りが豊かで、お茶の件から怪しくて可笑しかったので何を入れたか問いただしたら顔料だとさ。しかも猛毒で有名な…とか、ケインが言っていたな」


「それって白・緑・オレンジ色だったとかじゃ…」



ひぇぇぇぇ。


それって有名な毒だよ。いくら子供だからって周囲の大人は止めないの!?


もしかして既に幼児の頃から我儘な性格だったのかな?



「ああ。知らなかったら果物が練り込んで居るのかと思ったがなぁ。兎に角毒物入りだったのが分かって、暫くの間は毒殺の嫌疑があってウチの親父もケインの親父も巻き込んで、政治的にもかなり面倒なことになっていたな。当時はアナベラもまだ幼かったし、小さな子供のしたことだからって不問になったけど」



恐らく何も知らないで混ぜたのだろうと言うことだけど、一応アナベラ様の側に居た使用人を調べたらしい。



だって、ねぇ。



幾ら小さいからって、貴族の子女って普通は台所に立たない。


ついでに言うと、余程の事が無い限り顔料等には手を出さない。絵心があり趣味が絵を描くとか言うのなら分かるけど、アナベラ様のご両親は誰も絵を描いて居なかったので顔料等手に入る筈がない。


…そもそもこの世界、絵の具とか顔料って結構お高い。


そもそも素材が高価だったりするのだけど。


貴族なら何とも思わない桁かも知れないけど、庶民感覚がある私は値段を知って購入するのを諦めたわよ?手に入れたからといっても絵を描く気には為らないという理由もあるし。何せ下手だからね?人物画なんて我ながら酷い絵が出来上がるのだから。



ニキ様でさえ、「独創的だね………」なんて、言葉にするのに困っていた位ですからね?



ユリア様は「大丈夫、レスカより上手いわ!」と言っていたけど。


レスカ様割と超絶完璧人間だと思っていたけど、(俺様な部分は別として)絵とか芸術方面の美的センスはユリア様曰く皆無らしい。文字とか美しく書くのに予想外だなぁ。


ちなみに私の絵は棒人間。スイマセン、それ以上描けません。


丸描いて、胴体を描いてとやって居るのだけど、何処からどう見ても棒人間。せめてトイレのマークぐらいにはなりたい。スカート履かせようよ、私!


そして、レスカ様はそれよりもっと…うん、えっと。




……オカルトの宗教画かと思った。




なんと言うかね、本格的。写実的と言うのかな?とても上手いとは思うけど、だけどとてつもなくグロイ。何で画面に骨とかがいるの?とかね、正直鳥肌が立つ。

そういった意味での芸術センスがあるのかも知れないけど、ユリア様が怖がるので彼女の目の前では二度と描かないらしい。



…という事は隠れて画いているということだろう。



一体何を目指しているのでしょうか、レスカ様。


オカルト絵師にでもなる気なのでしょうか?


そして無駄に超絶人間なのだから、これ以上良く分からない属性を増やさないで欲しい。


絵柄は好きな人ならツボだと思いますけど。


私は嫌だよ?だってどう見ても思い付くタイトルが「地獄の使者」とか、「暗闇」「暗黒」など、何処からどうみても暗黒面の名前しか思い浮かばない。





うーん、また話がズレにズレた。


シドニー姉さん達のお店で置いてあって、絵の具を一つ購入するのに0の桁が多すぎて唖然としてしまったから。予想より0の桁が2つあるってどういうコト?ってね。


この世界、いや国かな?絵師になるのには途方もない桁が必要よね。前世でも画家であるフェルメールの家族が借金の泥沼に陥ったと言うのを何処かで聞いた気がするけど、この国でも同じことがあるのかも知れない。


今度もし、ウチに画家さんが訪れるコトがあったら成るべく画材は補充してあげよう。今の所は訪れる予定は無いけどね?でも一応貴族だし?何かの節目で絵を描いて貰うことがあるかも知れない。



兄さん次第だけどね。



ジーニアス兄さん、国から結構稼がせて貰って居るみたいだし。と言うか、兄さんの主がレスカ様だからレスカ様に稼がせて貰っているということなのかな?


寝る時足向けて寝むれないなぁ…。


とは言えレスカ様の住んでいる所の正確な場所知らないから、思いっきり向けていると思うのだけど。だって、私の部屋の足の向きって城側じゃないかな…。


うわーい、これはベッドの向きを移動すべき??


いやいや、開き直って足を向けよう。


そして今度、影でコッソリと拝ませて貰おう。


嫌がるかも知れないけれど。隠れてやれば大丈夫!


見付かったら…素知らぬフリで!



「しかしアナベラ嬢が、ねぇ…」


「ニキ?」


「いや、ほら。人から聞いた噂だけど、今度やらかしたらアナベラ嬢って厳しいと有名な修道院送りって聞いたからな。それなのに『本当に』やらかすのかなって疑問だよなぁ」


 * * *


中途半端ですがバレンタインの話は此処まで。

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