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それぞれの形

すべてを通して本当に浅い話になってすいません。そして終わります。

この作品はスピンオフみたいなもので優奈の生まれ変わりの物語が聖女のものとなります

それから私たちとの関係が劇的に変化することはなかった。

西園寺と過ごしてみてよくわかったことはマイペースな人間なのだ。


「ふと、思ったんだけどね。俺は君が好きだと思うんだ。」


気の向くままに時折私に愛をささやいて、そんな西園寺に呆れもするが不安もない平凡な毎日を享受する。


それでもそんな西園寺が気にかけていたことは京本夫妻のことだ。

夫妻の関係は子供が生まれたところで変わりはしなかった。


子供を引き取るといったこともなく、京本とその使用人たちによって子供はすくすく育っているとのことは聞き知っている。

やはり優奈は子供に興味を持つことなく、ただ京本のもとで怠惰に暮らしている。


西園寺が苦言を呈したところで変わることもなく、京本も変わることも…なにも望んでいないようだった。

ただ京本は今宵も一人になってしまったバルコニーで優奈を見つめている。




そしてそんな京本の恋は実ることなく、その果実は地に落ちることになる。



それより数年後、京本優奈は殺される。

家族より縁を切られていた加奈子による犯行だ。


階段の上から突き落とされ、そのとき頭を強く打ったことが原因だ。


のちに京本の息子は悲しそうに語っていた。

あの日は母が一歩踏み出す日だったのだと。

いつもとは違う一日が始まると確証はないがそう感じていた。

そんな日だったと…


「もしかしたら、西園寺さまのような家庭を味わえる日が来るのではないかと夢見てしまいました」


だからこそ、だからこそ、くやしくて…

そういって俯いてしまった少年に慰める言葉も私には出てこなかった。


憶測でしかないけれど、母は父を愛していたのかもしれない…


一途で誰よりも静かに母を愛していた父と我儘で不器用な母

母様がもしも生きていれば、貴女は父に何を伝えていたのでしょう


叶わなかった想い、伝えられることのない言葉を知ることなく優奈が座っていた一人用の椅子に座り、静かに静かに西園寺は瞳を閉じて一日を過ごす。


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