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凛花 side

次回最終回なんですが、その前にヒロインが主人公を好きになった理由を書いてみようかと思いました。そのドラマがあるからこそ、今までの話も最終回ももっと楽しめるんじゃないか、そう思って書きました。楽しんでもらえると、感動が少しでもあったら嬉しいです。

気づけば、いつも傍に新太が居た。


家が近所のおとなしそうな男の子。


親同士の仲が良くて、交流するうちに二人は “最高の幼馴染” になった。


それから毎日のように、彼を連れ回していた。


そんな日が続いたある日。


―――両親を事故で亡くした。


その日は二人の結婚記念日。


私を新太の家に預けて、

二人でドライブを楽しむはずだったのに。


飲酒運転のトラックと正面衝突。


そのまま帰らぬ人になった……らしい。


おばさんから告げられた時、

他人事みたいであまりよく分からなかった。


葬式で、冷たくなった二人に触れて、

ようやく理解が出来た。


―――私は、ひとりになったんだと。


それから声が枯れるまで泣いた。


やがて涙も枯れ果てた頃、

私の記憶はごっそりと抜け落ちた。


しばらくして、私は新太の家に引き取られた。


【亡くなった両親に代わって、私達が面倒を見る】


―――そういう話だった。


彼らは、荒んでボロボロの私を温かく出迎えてくれた。


特に新太は、

前にも増して私の傍に居てくれるようになった。


その優しさが心地よかった。


けれど同時に、

失う怖さが膨れ上がっていった。


私がいることで、

この幸せが無くなるんじゃ?


また、ひとりになるかも?って。


心に埋まった不安の芽は、

日に日に根付いていくばかり。


限界を迎えたある日のこと、

私はとうとう家出をした。


暗い夜道を駆け回り、

人気の無い場所で息を殺す。


―――誰も私を見つけられない、


誰も私の傍に居ない、


私はひとりぼっちなんだって、

そう思いたかった。


失う怖さに比べたら、

その方が何百倍も楽だったから。


「……パパ、ママ。」


真ん丸の月を見た。


「……会いたい、よ。」


涙が込み上げてきた時だった。


「凛花――!!」


遠くから声がした。


昔から傍で、

何度も聞いてきた声。


やがて、足音と一緒に近づいて。


「―――みつけたっ!!」


顔に当てられた懐中電灯の光。


まぶしさに薄眼で見ると、

そこには泥だらけの新太がいた。


「はぁ、はぁ……よかった、こんなところにいた。」


汗を拭いながら、

笑顔を見せる新太。


「ほら、いっしょに帰ろう。

母さんたちが待って―――」


パシンッ!!


差し伸べられた手を、

咄嗟に私は振り払った。


「凛花?」


困惑した様子の新太。


「……ほっといてよ。」


下を向いて顔を逸らした。


でないと、

抑えが利かなくなりそうだったから。


「……私がいるとダメなの。」


唇を嚙み占めた。


「どうして?」


彼の問いかけに、

小さく息を切った。


「みんな、いなくなっちゃうから。」


一度口から出た言葉は、

歯止めも効かず次々と飛び出した。


「パパもママも、おばさんたちも―――新太だってそう。」


《違う。》


「どうせまた、私をひとりにするんだ」


《こんな事、言いたいわけじゃない。》


「……だったら、最初からいらない。」


《もうやめてよ!》


「みんな嫌い。どっかにいってよ……。」


思ってもない言葉が、

ポツリと口をついて出た。


「……」


《私、悪い子だ。》


誰よりも臆病で怖がり。


そんな新太が、

必死になって私を探してくれてた。


嬉しいはずなのに。


ありがとうって言うべきなのに。


かえって彼を傷つけている。


「凛花……。」


新太の不安そうな声がした。


きっと私がそうさせた。


私は本当に―――


「だいじょうぶだよ。」


「……え?」


新太の手が私の手を包み込んだ。


「だって、凛花のそばには僕がいるから。」


にかっと笑った。


「ぜったい、ひとりにさせない。」


グイっと近づいた彼の瞳は、

星屑みたいに輝いていた。


「……ほんとう、に?」


「うんっ。」


彼は頷く。


「勝手に、いなくなったりしない?」


「しないよ。」


「これからも……いっしょに、居てくれる?」


体を震わせて、縋るように新太を見た。


「もちろんっ!!」


小指が突き出された。


「……約束、だからね。」


小指と小指が重なり合う。


「「指切りげんまん、嘘ついたら―――」」


静かな田舎の夜に、

二人の声がこだまする。


さっきまでの胸の靄が、

噓みたいに晴れていた。


代わりに浮かんだのは、

彼の太陽みたいな優しさ。


それと、


胸の奥で生まれた黄色の感情だった。


その日は、新太に手を引かれるまま帰路についた。


当然、みんなに怒られるって覚悟はしてた。


だけど、その逆だった。


おばさんたちは怒るどころか、

全力で抱きしめてくれた。


肌の温もりが心地よかった。


この人たちも新太と同じ。


私をひとりぼっちにさせないんだ。


―――その事実を噛み締めるように、

強く強く抱き返した。


これが私の一番の記憶。


幸せに溢れていて、

思い返すと熱が灯るような。


そんな記憶だ。


いつか新太にも見せてあげよう。


その時はきっと、今よりもっと近くで。


幼馴染以上の二人の関係で。


朝6時10分に投稿するように設定したつもりが、

確認したら18時10分になっていました。

ほんとに、すみません!!

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