最終話 『花と嫁』
これまで読んでいただきありがとうございます。初めての連載作品でしたが、読んでくださる皆様のおかげで満足のいく作品をここまで書いてこれました。次回作は、学園ラブコメものを書てみようかと思いますので、ぜひ読んでいただいて、皆様のストレスや現実での辛いことを吹き飛ばせる、そんな小説を書いていきたいと思います。改めてありがとうございました。
【ねぇ。私が家出した時のこと、覚えてる?】
【あー……あったな、そんなことも。】
【リアクション薄いな~。】
目の前の扉が開かれる。
拍手喝采のその中に、凛花はいた。
【―――私は今でも覚えてるよ。】
純白のドレスに身を包んだ
花嫁姿の彼女が歩みを寄せる。
一歩ずつ、
こちらへ向かってくる彼女を前に。
昨日の会話が脳裏をよぎった。
【泣いてる私の手を取って、 “ひとりにしない” って言ってくれたことを。】
【一生忘れない、だって―――】
僕の前まで来て、
その顔を上げた。
【私が、新太を好きになった日なんだから。】
瞳と瞳が交差した。
「凛花。」
優しく微笑みかけ、
右手を伸ばした。
「新太。」
そっと彼女の手を取ると、
じんわりとした温もりが肌を流れた。
二人並んで前を向く。
『これより、新郎新婦様の―――』
アナウンスに従って式は進む。
緊張で喉が渇いた。
浅い呼吸を、
何度したか分からない。
だけど。
顔に熱が灯るのだけは、
よく分かった。
***
「それでは新太様、凛花様。」
「「はい。」」
「二人の幸せなる未来を願って、誓いのキスを。」
顔を覆ったベールに手を掛ける。
ふわりと捲ったその先に、
凛花の素顔が現れた。
「……っ。」
瞳は潤み、
頬は上気している。
ブライダルメイクも相まって、
いつも以上に綺麗だった。
高まる心拍数。
震える指先。
そんな自分に喝を入れ、
彼女の肩へ手を置いた。
藍色が揺らぐ。
「……」
身を委ねるように、
凛花が目を閉じた。
背伸びして近づく彼女の唇。
合わせるように、
少しだけ屈む。
響き渡る歓声の中。
僕らは静かに口づけを交わした。
もう二度と離れないように。
もう二度と放さないように。
長くて短い一瞬を、
二人で刻み込むように。
やがて唇が離れる。
鮮やかな花びらが宙を舞った。
”もう二度と、ひとりにはしない”
その約束を胸に。
凛とした花みたいなお嫁さんと、
二人の物語を紡いでいく。
その物語の名前は―――
『花と嫁』
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。本作は私にとって初めての連載作品でしたが、読者の皆さまのおかげで、最後まで書き上げることができました。感想や応援、そして作品を読んでくださった一人ひとりに、心から感謝しています。次回作は学園ラブコメに挑戦してみようと考えています。少しでも皆さまの日常を彩り、現実の辛いことや嫌なことを忘れられるような、そんな作品を書いていけたら嬉しいです。改めまして、本当にありがとうございました。




