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第一話 天使?



「起きてくださーい。選択の時間ですよー」


 どこからか活発そうな少女の声が聞こえてきた。

 やれやれ、どうやら今日もエロ動画を再生したまま寝落ちしてしまったらしい。どれ、スマホの電源を落としてもうひと眠りするとするか。一人遊び(オナニー)の後はどうも眠くなって仕方がないな。ふぅああ。


「あれ、スマホどこやったかな」


「スマホはあっちの世界に置いてきましたよー。どうせ向こうの世界では使えませんから」


「いや、それは困る。俺のスマホの中には数年分の思い出(オカズ)が詰まってるんだ」


 って、なんで会話が成立してるんだ。俺は自分の部屋で一人遊び(オナニー)をしていたはずだ。一人暮らしだから誰かが家の中に入ってくる事もないはずだし。


「お、やっと目を覚ましましたね。待ってましたよ」


 恐る恐る目を開けてみると、見知らぬ少女の姿が目に映った。やけに透明感のある少女だ。歳は十七前後だろうか。真っ白なローブを着ていて、頭の上には漫画などで良く見る天使の輪チックな物を浮かべている。どういう仕組みになってるんだ、その輪っか。


「えっと、君は? それに、ここはどこだ」


 俺は努めて冷静な態度を保ちながら目の前の少女に訊ねてみた。


「ぷぷ、あんな恥ずかしい姿で逝っておきながら、よくもそんなに常識人っぽく振舞えますね。逆に驚きですよ。ぷぷぷ」


 目の前の天使チックな少女は俺の質問には一切答えなかった。しかし、俺はなんとなくだがこの状況を理解しつつあった。奇妙な空間、天使風の少女、思い出せる最後の光景。俺はてっきり激しい一人遊び(オナニー)疲れで寝落ちしたと思っていたのだが、どうやらそういう訳ではないらしい。それに、この天使チックな少女の頭の上に浮かぶ天使の輪もどうやらパーティーグッズとかではないようだし、まさか――。


「もしかして、俺、死んじゃった?」


「はい、それはもう見事な果てっぷりでしたよ。二つの意味でね。ぷぷぷ」


 天使もどきの少女はそう言ってまた笑う。ちょっと嫌な感じだな。仮にも天使のような恰好をしておきながら、人の死をそんな笑いものにしなくたっていいだろう。


「じゃあ、ここは天国? なんとなく地獄には見えないんだけど」


「何言ってるんですか、どっちも違いますよ。ここは天国でも地獄でもないです。ここは交差点と呼ばれる場所です。天国とか地獄とかはまだこの先にあります」


「交差点?」


「そうです。交差点です。あなたの魂はまだ旅の途中なのです」


 俺は辺りを見渡す。どうやら少女の言う『交差点』は俺の知る『交差点』とは随分と違うらしい。この空間には道も無ければ、果ても見当たらない。どこに何が交差しているのだろうか。


「俺はこれからどうなる」


「それはあなたの選択次第って感じです」


 不敵に笑う天使的少女。俺はまだ自分の死をきちんと受け入れられていないというのに、この天使のような悪魔のような少女は、そんな俺の感傷的な気分など一切気にも留めてない様子だった。


「あなたの選択肢は二つです。新たな世界に生まれ直すか、天国と呼ばれる場所で魂の浄化を待つか。その二つ」


「天国は楽しい所なのか?」


「さぁ、どうでしょう。私はそこまで好きじゃないです」


「その新たな世界って所はどうなんだ? 結構いい所なのか?」


「あなたが今まで暮らしていた所よりかは楽しい所だと思いますよ」


 いまいち信用したいと思えないんだよな、この子。よくよく見れば、頭の上に浮かんでいる天使の輪のような輪っかも安っぽい感じがするし、白いローブも所々が汚れてるし。


「話が戻って悪いんだが、君は何者なんだ? 天使ってやつなのか? それとも悪魔ってやつなのか? 何のために俺の世話をしてくれてるんだ」


「見た目で分かるでしょ、私は天使ですよ。何言ってるんですか。失礼ですね。それに、何の為って聞かれても、これが私の仕事なんです。面白いーーじゃなかった、迷える魂を見つけ、その魂を正しい場所に送り届けているのです」


 自称天使を名乗る少女は不満気な表情で言う。天使ってのも人間みたいに色々な奴がいるんだろうな。それこそピンからキリまで。


「で、どうするんです? 転生します? 天国に行きます? 私はどっちでもいいんですよ。早く決めてくださいね」


 こんなに大事な選択だというのに、自称天使の少女は俺を急かせた。さらに、


「私なら転生しますけどねー。絶対その方が楽しいと思いますし。それに、転生って若者の間でも流行ってるんですよ。知ってます?」


と、あからさまに片方の選択を引き立て始め。さらに、


「しょうがないですね。今転生してくれるなら超レアなスキルを与えてあげましょう。今だけですよー。こんな事、滅多に無いんだから」


と、詐欺師のようなやり口で転生へ誘導し始めていた。




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