なんか付いてきました……だとしても、デートです。誰がなんと言おうとデートです!!!
コウム、ナニソレ? ヨクワカラナイ……
なんて冗談はさておき、公務を放棄することはできないので、ナクサスになんとか予定をずらすよう命じる。
最初はブツブツ文句を言っていたが、クラリスとデートだとわかると、俄然、張り切りだすナクサス。
「女性のことなんかこれっぽっちもわからない、気の利いた言葉一つも言えない、あの王子がクラリス様とデート!! これは、ナクサス、命にかえても予定を変更いたします」
いや、命はかえなくていい……が、その前に、俺のことなんだと思ってるんだよ?
まぁ、敏腕のナクサスのおかげで、公務の予定をずらすことができたから、うん、文句言うのはやめておくことにしよう。
そんなこんなで俺はクラリスとの約束の日を迎えた。
天気は快晴。デート日和。
なんてったって、初デートだ。
海が見える公園で待ち合わせの約束をする。アルフォント家に迎えに行くと、ミカエルにバレるからな。
クラリスが待ち合わせの場所に姿を現し、俺に気がつくと手を振った。
お互い、町歩きに適したラフな格好……クラリスは薄いブルーのワンピースに白い帽子に……あのペンダント……俺は攻撃されない事をそっと祈る。
「アルベルト様ーー」
にっこり笑ったクラリスが眩しくて、俺はこれからのデートに心を踊らせ……踊ら……せ……踊ら……本当に……なんで……今日の俺の護衛騎士がお前なんだよっっ!
エドワード・ブライトン!!
そりゃあね、俺は王子だからさ、町に行くときに護衛騎士がつくのは、まぁ、しょうがない。
でもさ、普通はさ、王子のデートの邪魔をしないように、こっそりついてくるんだよなぁ……って、おいっ! なに、がっつりクラリスと話してるんだよっ!
「アルベルト様の護衛騎士はエドワード様……?」
「クラリス、よろしくな」
「あの……て、天兄……いえ、エドワード様……まさか……」
「偶然だ。ぐ・う・ぜ・ん」
「もぉ!」
なんだか楽しそうに話している2人を見て、疎外感を感じる俺。
なに、2人で盛り上がってるんだっ!
テンニイ? 何それ? 偶然? んなわけあるかっ! 王宮騎士トップのお前が王子の護衛騎士を偶然やるわけないだろっ! お前に合った仕事しろっ!
「どこ行くんだ?」
「ん、と、文具店行って、カフェに行こうかと……」
「了解」
2人で話を進めるなぁぁ。
俺の存在……忘れてない?
俺はクラリスの腕をガシッと掴み、引き寄せる。
「行くぞ、クラリス。エドワード、お前は隠れて見張ってろ。デート中は姿を見せるな。命令だ」
仕方ない。あまり権力を振りかざしたくないが、邪魔されてなるものか。
「はい、王子」
エドワードはにっこり笑うと恭しくお辞儀をし、歩き始めた。そして、すれ違いざまに俺の耳元に低い声で囁く。
「クラリスに手を出したら、王子といえど許しませんよ?」
エドワードの本気の声に俺はゾクッとする。
お前、どっちの護衛騎士なんだよ!
やっとクラリスと2人になり……まぁ、どこかでエドワードが見てるけどな。
クラリスに目をむけると、薄っすら赤くなりうつむいていた。
「どうしたんだ?」
「アルベルト様がデートっておっしゃったので……デートだったんだ、と思いまして」
えええ……なんだと思ってたんだよ……
デートだろ、デート。俺達、婚約者同士なんだぞ。
「カップル限定ケーキ食べるんだろ? デートじゃないか」
クラリスの頭を帽子の上からポンポンと叩くと、クラリスは薔薇色に頬を染め、満面の笑顔を俺にむけた。
「はい、カップル限定ですものね。デート、ですね」
クラリスのかわいさに直視できなくなった俺は、そっぽをむき、クラリスの腕を再び掴むと、町の中心部にむかう。エドワードが見ている事も頭から吹っ飛び、俺はズンズン歩いていく。
なんだコレ、なんだコレ、なんだコレェェ。
やばい……かわいすぎなんだけど。
今日、俺、平常心でいられるかな……
お読みいただきありがとうございます。
とうとう、アルベルト念願の初デート。
保護者(天兄)付きですが!




