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婚約者を守るため、やる気を出しました……恋敵も俺の婚約者を守るそうです、意味がわかりません


 我が国の法律では、魔法をむやみに使うことを禁じている。


 王族と父上の許可を得たザラ王宮魔道士長を筆頭にした数名の魔道士以外は、むやみに魔法は使えない。

 魔道士が魔法を使っていいのは、治療魔法と魔法の鍛錬時、父上が許可した時、人命にかかわる時だけ。

 

 生活に魔法は必要ない、それが我が国の考え方だ。


 だが、いざという時に使えなくては魔道士が存在する意味がない。なので、魔道士はいつでも魔法が使えるように鍛錬をするのは義務である。


 俺はザラ先生の執務室の前に立ち、1度、深呼吸をしてノックをした。


「ザラ先生、アルベルトです」

「どうぞ」


 愛想もなにもない、無感情な声。

 扉を開けると、書類に埋もれながら、忙しそうに仕事をしている銀髪の大魔道士の姿。


「先生、よろしくお願いします」


 王宮魔道士長、ザラ・ブライトン、21歳。


 18歳で王宮魔道士になり、半年後にはトップに立ったスピード出世の超超エリート。

 男性だが、長い銀髪が美しく、息を呑むほどきれいな顔立ち。だが、ニコリともしない冷たい表情は近寄りがたく、王宮にいる女性達から「氷の魔道士様」と呼ばれている。


「ああ、王子。鍛錬でしたね」


 机の上に、積まれた書類の山は3つ。

 俺をチラリとも見ずに、ザラは書類に羽ペンをサラサラ走らせながら、言葉を発する。


「はい……あの、ザラ先生。ジェスターも鍛錬によく来ているのですか?」

「来てますよ。ジェスターは熱心ですね。なんでも、いざという時は大切な女性を守りたいとかで」


 書類を1枚仕上げ、次の書類に目を通し始めたザラが、興味なさそうな口調で話す。


 くっそー。俺の婚約者だっつーの。

 俺の存在、完全無視かよ。


「先生、SSクラス魔道士を俺が守ることはできますか?」


 俺がジェスターの事を憎々しく思いながら、質問を投げかけると、ザラは少しだけ顔を上げ、目をキラリと光らせた。


「ほお……王子の婚約者、クラリス・アルフォント嬢のことですか? 彼女はSSクラス魔道士に認定されましたからね。ああ、なるほど。ジェスターもクラリス嬢の為に鍛錬を頑張っているんですね。守れますよ。コントロールとセンスを磨けば」


 再び、書類を処理し始めたザラの言葉を聞いて、俺は俄然(がぜん)やる気を出す。


 ジェスターに負けるわけにはいかない。

 俺の婚約者は俺が守る。


「ザラ先生、鍛錬、よろしくお願いします」

「とりあえず、魔法を使って戻ってきなさい」


 へ?


「私はここにいますが、貴方の魔力、体力、動向、命、全て把握できます」


 え?


「では、行きなさい」


 は?


 ザラは左手に持った書類に視線を落としたまま、右手で指をパチンと鳴らす。


 俺は指の音を合図に、いきなりものすごいスピードで窓からふっ飛ばされ、目の前に見えてきた川に、圧倒的魔法の力で、思いっきり沈められる。



 はあああああああ!?




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