第81話:記憶を取り戻す儀式計画での一枚
先輩女神とイブ姉さんを訪問した後、ラグナ師匠やポセイドンさんなんかにも相談したんだ。
もちろん、正神教の神々にもね。
もちろん、どのような危険があるかを伝えたんだけど。
そしたら皆、オレの安全が保障されないなら協力はできないって、言ってくれたんだ。
イブ姉さんに許可をもらって、万が一の時は時間を戻してもらうことを伝えたら、それなら大丈夫だろうと、皆、協力してくれることになった。
自分たちのリスクよりも、オレの心配をしてくれる神々の愛情に触れて、自分の社でちょっとだけ泣いた。本当に、持つべきものは、素敵な兄ちゃん姉ちゃんと、友神たちである。
ところで、記憶を取り戻すことは今回、実は目的ではない。手段だ。
過去の記憶については、もちろんあまり覚えてない。
だからだろうけど、あんまり執着心が湧いてないんだ。
オレは転生前の世界で、とても愛されていたらしい。そしてこの世界にも、先輩女神やロココさんの愛で転生させてもらったってことは、もうわかってる。
これだけわかっていれば、問題ない。過去の延長線上じゃなくても未来は創れるしね。
それに、過去のことは覚えてなくても、ある程度、自分のことは知ることができつつある。この星に来てから、色々と自分の感情に素直になるように心がけてきたからだ。
例えば、ディーテさんの膝枕やハグを役得だと瞬時に断言できるくらいには、恋愛とかに興味津々だってこと。ツクヨミさんに見つめられて照れるくらいには、恋愛経験がとぼしいらしい……
あと、イケメンは敵である。
これはこの世の真理なので、オレに限った話ではないだろうけどね。
そしてやっぱり、引きこもってゲームするのが大好き。
でも、友と沈黙の時間を楽しめるくらいには、他者に対する興味や関心がある。友と呼べる存在を嬉しく思う。ターニャやこの星の美しい自然をめでる心がある。
天装降臨や魔装降臨、そしてエルフや天使、悪魔といったRPGやファンタジー的な世界が大好きだ。若干、中二病っぽい点は、自覚済み。
ではなぜ、記憶を取り戻そうとするのか…
それは、ある可能性が捨てきれないからなんだ。
その可能性を検証することが目的で、過去の記憶を取り戻すことは今回、手段にすぎない。
「ロココさん、こんな感じでどうかなぁ」
「現状、万全のシフトではないかと」
「同じ意見で心強いよ!」
<いい感じボード>に、オレの記憶を取り戻す儀式のための役割分担を整理して表示してある。これだけの神々が協力してくれるのであれば、何が起こっても大丈夫だ。
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<儀式の場所>
☆ エデン第十天球の別荘(壊れてもいいから…)
<基本手順>
1.魔装降臨でネガティブ感情への耐性Up
2.トールのハンマーで魔装状態を固定化し、気絶しても耐性を維持する
3.ディーテに魅了してもらい、眠りの世界で記憶回復をねらう
4.先輩女神ガイアに記憶の球体を戻してもらう
<問題発生時の対策部隊>
☆ ラグナ・・・・・捕獲役
☆ ポセイドン・・・捕獲役
☆ ディーテ・・・・捕獲支援役
☆ トール・・・・・捕獲支援役
<マイナス感情エネルギー軽減部隊>
☆ ルシファー・・・ネガティブな感情の捕食
☆ ミカエル・・・・太陽で浄化
<緊急時用の待機部隊>
☆ イブと精霊クロノ・・・時間を儀式開始前に戻す
☆ 三大天使・・・・・・・イブとクロノの防衛役
<今回は非難>
☆ 土地神・・・マイナス感情の影響を受けてないように、いざとなったら従属関係を破棄できるように契約を更新。何かあった際は、ガイアと協力して、ヒュムを頼むよと依頼済み。
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ロココさんとテーブルを囲んで、ぼんやりと役割分担を眺める。
これからのんびりとコーヒーを飲みながら、二人でチェックを進めるんだ。
「まず最初。魔装降臨ならネガティブ感情に耐性が高くなるし、バフになる」
「感情が強すぎると気絶して魔装が解けるんでしたね?」
「そうなんだ。だからトールにアダマンタイトのハンマーを創ってもおうとしたんだけど……」
「ミョルニルで代替可能だとは、流石、ヒヒイロカネ製ですね」
「うん。魔装状態での高耐性を固定化してもらえる」
「でも急に暴れぬよう、ディーテ様のお力をお借りすると」
「そうそう。眠りの世界に落ちても、トールのおかげで解除されないことは確認済みなんだ」
実験も、事前に行った。
イブ姉さんの立会いのもと、イブ姉さんの検証のもと、すべてにOKサインをもらうことが、クロノの力を借りる、つまり、今回の儀式実施の条件になっているからだ。
どうやらオレは、とっても大事にされてるらしい。
嬉しくて、ついニヤニヤしてしまう。まぁでも、弟みたいなもんだろうけど…
あまりにも的確な自己補正に、つい自虐的な笑いが零れる…
「その状態で記憶をガイア様に戻してもらい、ネガティブな感情に備えるわけですね」
さすがロココさん、何かを察しつつも話題にしないその優しさに救われます。
「うん。でも、ネガティブ感情がバフになるから……」
「暴れたときの捕獲部隊を配置されたと。ご賢明です」
「ありがと! ミカエルとルシファーにも、最終手段として力の行使をお願いしてある」
「耐性の限界を超えて暴走した時に備えて、ですか?」
「うん。可能性は低いけど、二人の力は周囲の神々にも影響を与える可能性があるからね」
ミカエルの太陽は、結構危険な代物らしい...
記憶を取り戻すまでは、リスクはオレに集中させておく必要がある。万が一、他の神に影響が出て時を戻す事態になったら、本末転倒だからね。
「それで、最初は、お二人の力を使わぬ方向で進めておくと」
「そうなんだ。二人が力の行使を始めたら…… 」
「時を戻す準備を始めてもらうんですね?」
「うん。イブさんとクロノにお願いしてある」
「最悪の場合は、儀式前の状態に戻していただくと。なるほど」
どうやら、この儀式案は、オレとロココさんのチェックを突破したようだ。
「そういえば、土地神の皆さんは怒ってませんでしたか?」
「アマテラが怒ったよ。オレが危ない場面に立ち会えないのは嫌だってね。でも、サクヤさんや眷属たちの説得もあって、最終的には理解してくれたよ」
従属神と主神の間には、特別な繋がりがあるらしい。
オレか彼らのどちらかが、陰に極端に傾けば、互いに影響を受けてしまうとのことだ。なので、今回は、非難してもらうことにした。
アマテラ、アポロンさん、ツクヨミさん、オロチ君にシヴァっちには、オレの社にペントハウスのような素敵な巨大部屋を創って、儀式の間、そこに滞在してもらう予定になっている。ロココさんのところに派遣されている眷属さんたちと一緒にね。
「禁断型神権③の封殺陣を使って部屋を隔離すれば、きっと影響は最小限に抑えられると思うんだ」
本来は、ちょっとした封印用の神権らしいんだけどね。
禁断型だけあって多様は禁物とロココさんに注意されたので、今回は、大部屋で我慢してもらうことにした。これなら、発動は1回で済む。
「それでは、予定通り決行は2日後ということで、皆様に連絡を入れますね」
「ありがと!」
有能なロココさんのチェックを突破したわけだから、これでオレも自信を持ってプランに取り組める。
ロココさんのおかげだよと大感謝を伝えると、久しぶりに球体モードになって、ゴロゴロと隣の部屋にダッシュしていった。
照れ隠しだろうな。いや、あれは泣いてるのかもしれない。
ここは気が付かなかったふりをして、またあとで一緒に、晩ご飯を食べよっと。
今日もありがとうございました!




