第44話:神々の入浴風景
神々のことを調べていた際に入手した情報が元ネタです。
「はぁ… 風呂はいいねぇ」
「まったくです」
ポセイドンさんと、のんびり天井を見上げる。
銀河が空中に浮かびあがっており、壮大な景色が今日も心を癒してくれる。
「源泉かけ流し、弱酸性……」
ロココさんのイケボ泉質案内が、耳に沁みる…
「綺麗な銀河だねぇ」
「……えぇ」
神々の修練を5周ほど繰り返した後、そのお礼にと、皆をオレの社に招いた。
もちろん、食事も用意したんだけど...
おもてなしのメインは、この巨大な温泉だ。
土地神たちにも声をかけて、守護神と親交を深めてもらっている。
「それにしても立派だねぇ… 」
「…… ほんと、立派ですね」
誤解しないでほしい。変な意味ではないのだ。
目の前にいらっしゃるのだ。全長2mほどのドラゴンが…
日本酒をたっぷり注いだ大樽に、頭を突っ込んだドラゴンが、だ…
ガブガブ飲んでクハァーっと笑い、また頭を突っ込む。
たいへんご満悦である。
そう…… このドラゴン、ラグナさんだ。
よくわからないが師匠は超越者とやらで、龍の姿になれるとのこと。
今度、決めポーズを動画に撮らせていただく約束になっている。
さらに、その背中には現在、オロチくんを搭載中。
もちろん、龍神がドラゴンに抱き着いている理由はよくわからない……
なにかしら通じ合うものでもあるのだろう…
「あっちの方で騒いでるのは?」
「トールにアポロンさん。あと、シヴァっちです」
「なるほど」
トールとアポロン、ポセイドンは、もともと知り合いだったとのこと。
オレの社で再会した際、トールとポセイドンが、アポロンをハグした。
神威の落ちていたアポロンのことを、気にかけてたんだろうな…
ちなみに、アポロンの隣にいたシヴァっちとトールは、秒で親友になった。
うん…… 納得である。ノリだな、ノリ。
「うひゃー!気持ちいい…! ヤベーじゃんこれ!!」
「トールっち!次オレっちだってば!!」
……じゃんじゃんちっちと騒がしいけど、楽しそうで何よりである。
この3人、巨大ウォータースライダーが気に入ったらしい。
先ほどからエンドレスリピート中である。
そうそう。もちろん神々も皆、全裸だ。風呂なのだから。
幼体モードとはいえ、裸の付き合いに抵抗なしとのこと。
念のために確認してみたら、美しい肉体をさらすのは誉れなのだという。
そして、相手に嘘や偽りのなさを示すサインでもあるそうだ。
そう言えば、転生前の世界でもそうだった気がする。古代ギリシャの神々を彫った像は、基本全裸だった…
ちなみに、女神たちの風呂がどうなっているのかは不明だ。ロココさんが、いい感じでデザインしてくれたから、心配はないけどね。泡ぶろとか、岩盤浴とか、薔薇風呂とか、色々と工夫を凝らしてくれている。
……とは言え、気がかりが一つだけある。
人魚さんが一緒に浴室に向かって行ったのだ。
温水とか大丈夫なんだろうか? 熱に弱い気が何となくする。イメージだけど。
あとで確認した方がいい気もする。
もちろん他意はない。全くない。
「そう言えば、ポセイドンさん」
「なんだい?」
「ポセイドンさんの質的信仰心集めって、どんな方法なんですか?」
これ、先日聞き忘れてて、気になってたことだ。
ひょっとしたら、質的信仰心は放置してるんだろうか。
「教えてもらえませんか?」
「いいよ」
なぜか、視界の隅で、ドラゴン師匠が首を横に振っている。
どうしたんだろ?
「まずは、結婚式だね」
「結婚式ですか?」
「多重婚や同性婚も含めて、たくさんの式が開かれてるよ」
「なるほど」
式の最中に、神に祈る場面があるんだろうな。
幸せを誓う二人の願いを、神樹にアクセスして届けているのか。
さすが、愛の神だ。
「同じカップルが何回も式を挙げることもあるんだよ?」
「おぉ。さすがですね」
「あとは、セ 『カッコン…』」
??
丁度いいタイミングで、竹が岩を叩く音が割り込んで来た。
ししおどしの素敵な残響が室内にこだまする…
きっと気のせいだろう。
こんな中性的美少年の口から、笑顔であんな単語が放たれるはずない…
「なんとおっしゃいました?」
「だから、(禁止用語)だね」
「……え?」
「ほら、(放送禁止用語のため効果音で書き消し中)って言うじゃない?」
「や、あの……」
綺麗な顔、綺麗な声で次々と飛び出すマジカルワード…
ヤバい。内容がまったく理解できない。
「それにさ、もっと(放送禁止用語のため効果音で書き消し中)って」
「すいません。あの……. 」
「後さぁ…」
「や、もういいですわかりましたごめんなさいっ」
「そう?」
フフフと楽しそうに笑った美少年。
言っている方ではなく、聞いている方が、なぜこんなにダメージを受けるのか。
おかしい。
美少年という存在は、ダメージ反転設定なんだろうか??
だとしたら、なんとも理不尽な存在だ。
ちなみに師匠もドン引きしておられる。
だから止めておけといったのにと言わんばかりの表情である。
先に言ってほしかったよ師匠…
そういえば神様業について教えてもらった時も、ポセイドンさんの次に話し始めたのは師匠だった。ポセイドンの質的信仰心が話題になる前に、気を使って、語り手を引き受けてくれたのかもしれない。
「それはもう、強い願いが言葉になってるからね」
「……そうなんですね」
「相手への愛ゆえの願いだから無視はできないよ」
いや、ちょっと待てよ。
でも、ひょっとしたら…この神、こんなきれいな顔をして…
願い事を叶えるため、いろんな家にひょっこり訪問してらっしゃるんだろうか。
え!? こんなきれいな顔で!?
いや、まさかね……
でも――――…… ゴクリ
「あ、リストからテキストデータを抽出して神樹に届けてるよ」
「そうですか… 」
「あと、(放送禁止用語のため効果音で書き消し中)とかね?」
「……っ!!?」
「みんな気にしてるんだよきっと」
……何をだろうか。
「神々の基準だと小さい方がいいのにね」
「え!? そうなんですか?? 」
「そうだよ。色欲に屈しない強さがあると見なされる」
なるほど。転生前の神像の多くも、確かにそうだったな。
RPGゲーム風にいえば、誘惑に対する高い耐性を保持してる証ってことだ。
うむ。我ながら前向きな捉え方である。
「言われてみれば、転生前の世界でもそう考えられてました」
誘惑への耐性という伝承について伝えると、海神は驚いた表情になった。
「あと、転生前の世界にも皆さんと同じ名前の神様たちがいたんですよ」
「へぇ…… それは興味深い共通点だね」
「そうですよね。オレも驚きました!」
「失礼します。カイト様…… 」
「ん? ロココさん、どうしたの?」
「イブ様から伝言です。カイト様にお話があるとのことです」
「わかりました!すぐ行きます」
イブ姉さんの時間は貴重。
20時間説教の件を忘れてはいけない…
「じゃあポセイドンさん、お先に失礼します」
「うん。行ってらっしゃい」
ガバリと立ち上がった瞬間、ポセイドンさんが微笑む。
「カイトは、耐性た…「大丈夫です!」」
「そう? 」
フフフと、海神はいたずらっ子のように笑った。
だからなぜ神は、感想を言おうとするのか… 神様あるあるなのか?
最後まで読んでいただきありがとうございました!




