第33話:神権あるある
大和の演説から1年ほど経ち、人々の生活は、やはり大きく変わった。
魔人や竜人の領土と近く、ヒュム族の住む土地の中でも特に争いの絶えない不毛の地だった希望の里に、人々が集っている。
集落程度のものだった里も、周辺の開拓が進められ、今や街のようになってきた。残念領主のもとを去った人々が集まり、活気に満ちた生活を送っている。
魔法やダンジョン攻略について学ぶことを望む人々や、ダンジョン攻略に挑戦する者も増えた。つまり、オレとロココさんは大忙しだったわけである。嬉しい悲鳴だ。ダンジョンのある洞窟の女神であるアマテラへの信仰も高まり、彼女は終始絶好調のご様子。
そのせいか、アマテラさんは美しさと神秘さに磨きがかかった。少年っぽい体型だったのに、今は中学生くらいの年齢層にまで、神体も変化を遂げている。神体の発達度を自由に調整できるようで、気分によって少年(幼体)モードに戻ったりもしている。
何かおかしい気もするけど……アマテラに美味しとこだけをもっていかれてるような...
でも、おかげで神樹も育った。
そしてオレも、神威格上げを2度行い、神体は成長を遂げてはいる。
格上げの度に昔の記憶の断片のような者が浮かんだが、相も変わらず、記憶は戻っていない。そしてなぜか、見た目は12歳程度のままだ。アマテラが成長したことを考えると、納得いかない。
それでも、新しい神権を獲得することができたし、非開示だった神権の一部も、情報が開示された。なんと、禁断型の神権というカテゴリーが登場したのだ。
禁断…! 胸が熱くなる響きである。
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【神権一覧】
基本的神権:すべて獲得済み
①全方向型写実投影機へのアクセス→[世界○見得]
②神樹へのアクセス
③ヒュム族への天啓→[夢で逢えたら]
④加護の付与
発展的神権:現在、②③④⑤を獲得済み
①ヒュム族への神権貸与
②精霊召喚
③生物創生
④神殿増設
⑤神の御業は貴きかな→[オーパーツ]
⑥生まれ変わりて予言者となる→[英雄爆誕]
禁断型神権:現在、獲得無し
①量的信仰心の強制徴収→[全世界が泣いた]
②質的信仰心の強制徴収→[青貼る]
その他の神権:神威不足により開示不可
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新たに登場した発展的神権⑤は、要するに、アイテムを創る力だ。
この時代に見合わないアイテムを生み出すことができるので、オーパーツと呼ぶことにした。
アイテムは、神殿増設(ダンジョン含む)で人々に配れることも確認済みである。
これで、スマホや炊飯器といった、転生前の世界で使っていたアイテムを、オレが創ったり、配ったりできる。最近、時間があるときには、転生前のアイテムを生み出しては、どのように使えるかを試行錯誤してる。スマホなどのアイテムを使って、自分が楽しんでいるわけではない。決して遊んでいるわけではないのだ。これは、いつの日かロココ特製商品と勝負するための準備作業なのである。
発展的神権⑥については、まだ獲得はしていない。
どうやら神の預言者となる人物をヒュムの世界に送り込むことが可能なようだ。
そして、禁断型神権!!
現在のところ、①と②が開示されている。
①は人々の量的信仰心となる祈りを大量に引き起こすための神権で、何かしらのイベントを強制発生させられるようだ。とりあえず、[全世界が泣いた]と名付けておく。
②は、質的信仰心の獲得に繋がるイベントを強制発生させられるようで、とりあえず[青貼る]としておく。
「カイト様。獣人族の皆さんと精霊の相性は、やはり良いようですね」
そうそう…… 忘れてはいけない。
モニターの向こうに見える希望の里には、現在、各地から獣人族が集まってきている。
希望の里に住むヒュム族に獣人族が同盟を申込んだのだ。
それが認められたのは、半年ほど前のこと。他種族から虐げられた歴史をもち、自らの手で未来を切り開くことを誇りとする種族同士、気が合うのだろう。
そして、獣人族の再興のため、この里でダンジョン攻略を行い、種族に恩恵をもたらしたいと願う若者が、日に日に集まってきている。
「獣人族が来てくれて、ヒュムの人々も喜んでるみたいだしね」
召喚に応じた精霊が、そのままこの地に定住する数が増えた。
これは、獣人族の存在が大きいように思う。
真面目で実直な性格の者が多く、嘘や偽りのないところが、精霊たちのお気に召すのだろう。正直すぎてお世辞を言えず、ヒュム族とトラブルになることもあるようだが、種族間で相互の特徴を理解し、尊重できるようになってきた。
実際、ヒュムと獣人と精霊が手を取りあい、農作業や狩猟、牧畜等に取り組んでいる姿が、日常的な風景となっている。獣人たちは、ヒュムの人々に、特に農業や養殖などの領域で、恩恵をもたらす存在になりつつあるのだ。滅んだとは言え、豊かな土地を管理していたその知恵は、世代を超えて獣人たちの間に継承されているようである。
「それにしても、魔法の普及が進んでいる件…… 」
実は、獣人たちが移住してきたことによる一番の発見は、魔法だ。
なんと!ヒュム族以外でも、魔法が使えるようになっているのである…… 大和の願いは、ヒュム族に力をくれというものだった。獣人族は、願いの対象に含まれてはいないのだ。
となると、考えられるのは一つ。おそらく、あの鐘の影響だろう。
世界の理を変える音とは、いったい何なんだ?
ありがとうございました!
神権がほしい…




