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マッチとポンプで異世界神様業  作者: ゆうと
第Ⅰ部:ダンジョン創設編
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第12話:開店準備は入念に

 

 さてさて。

 いよいよ始まるわけですが……済ませておきましたとも。

 土地選び!

「試作第一号は、火傷少年の住んでる集落付近にするんだ~」

 あの家族、なんだかんだで好印象なんだよね。お姉ちゃん弟を大事にしてるしさぁ。弟はちょっと小生意気だけど頑張ってお手伝いしてるし。お父さんもあれから反省してるっぽいしね。

 あと、集落の人も善良そうなんだ。挨拶したり、困ったら助け合ったりしてるんだよね。あったかいシチューを隣近所でシェアしてるシーンを見たときは………胸がジ~ンってなって超ポカポカした。でも、特別なことをしてるって感じじゃなくてさ。これが当たり前だろってスタンスで、助け合ってるんだよねぇ。集落みんなで、貧しさを乗り越えてるって言うの? だから神としても助けになりたいなぁって、素で思えたんだよね。

 だってほら……抵抗あるじゃん? 悪い人にダンジョンを悪用されちゃったりしたら嫌だしさぁ。

「ロココさんはどう思う?」

「よいご判断かと」

「だよね! 賛成ありがと!」

 お礼を伝えながらザリザリリ感を充電充電! 今日の感触(ザリリ)も最高ですよロココさん…!

「場所も決まったことだし……次はデザイン開始! とりあえずダンジョンの全体イメージを考えないとね」

「……なるほど」

「小手調べってことで、まずは全部で三階層。最終階層にスフィンクスの像を設置して、問題に答えられたらクリア。問題は……スフィンクスさんの像に彫っておけばいっか。あ、クリア者がでたらダンジョン閉鎖でリセット」

「閉鎖するのですか?」

「うん。試作段階中はね。新しい問題を用意して、ダンジョン再出現させることにしよう」

「なるほど。同じ問題ですと、人々の学びが生まれにくいからですね?」

「そうそう!」

 一問一答になって、答えを暗記した人がやってくる可能性がある。

 でもオレは、ダンジョンで暗記力を育みたいわけじゃないから。考える力を育みたいんだよね。

「あと大事なのは報酬だよねぇ。クリアのご褒美、何がいいかな?」

「そうでございますねぇ。やはりヒュム族の……少なくともこの集落で話題になる褒美がよいでしょう」

「だよねぇ。アイテムがつくれる神権があるといいのになぁ」

 ダンジョンのトラップとか宝箱とかは、神殿増設の神権で創れちゃうんだけどなぁ。どうやら、施設や簡単な道具はOKでも、ちょっと複雑なものとか、食べ物なんかはダメっぽい。

「まぁ、ない物ねだりは良くな……い?」

 あ……どうだろ? いやこれは……いけるかもしんない。むしろなんで気が付かなかったんだって話だ!

「ロココさん!」

「はい?」

 ジッと、素敵な背中の隙間を見つめる。

「そこから取り出したものを、ダンジョンに設置できるかな?」

「なるほど! そうですね。いやどうでしょうか……」

「試したことはないんだよね?」

「はい。ございません。でも可能性はあるかと」

「ほんとに?」

「多くの神々は、神殿増設を自らのお住まいに使っておられます。例えば、この屋敷の部屋増設や拡大などが可能です」

「え!? じゃあ、フルリメイクに専念する引きこもりルームも?」

「可能です」

「キタコレ!」

 思わずジャンピングガッツポーズを決めるのも仕方ない…! 最高の神権ゲットしてたオレグッジョブすぎる!

「カイト様?」

「……ゴホン」

 わざとらしく咳ばらいを一つ。冷静だよってアピール。

「で、大丈夫そうだんだよね?」

「はい。増設された部屋などに、私がとりだしたものを設置することは可能ですので」

「なるほど。<いい感じボード>と同じ感じか」

「はい。またこの力は、神様業をサポートするために授かったものですので」

「福利厚生含めて、ね?」

「左様でございます」

「じゃあ、この場合は?」

「ダンジョンは、信仰心を集めるという神様業に関わるものですから問題ないかと」

 確かに……可能性は高そうだ。ロココさんマジ有能です…! こらが可能なら、ご褒美として提供できるアイテムの幅が大幅に広がることになる!

「じゃ、次は何を置くか問題……ふむ」

 転生前の世界で流行ってたグッズを、ロココさんの四次元的な背中から取り出してもらって。それを報酬にするか。

 珍しいだろうし。希少価値が付けば、攻略の動機付けになるだろうから。

 でも……難しいよなぁ。う~ん……。例えばオレが、それと知らずに超高級名画をもらってもさ……放置するよね。価値を知らないわけだから。つまりヒュムも、自分たちがまったく知らない物をもらっても、同じことになると思う。価値がわからなければ意味はないわけで。捨てるか、売るか。あ、得るのは無理かも。売る方も買う方もその価値がわからないと、値段をつけられないわけだから。

 ま、仕方ない。何を置くかは、今後も検討を重ねることにしよっと。

 なにせ情報が足りない。ヒュム族が何を必要としているのか。二十代女性大人気コスメランキング! みたいなウェブアンケートがとれたり、それ系のアンケート結果がネット上に落ちてたりすれば、だいぶ違うんだけどなぁ……。

「う~ん……試行錯誤しながら情報収集を……」

 ……いや、待てよ。

 ふむ。

 そうだよ! ここだここ!

 こういう時こそ、世界○見得(みえ)の使いどころじゃん!

 つまりデータ活用のタイミングキタコレ!

「世界○見得、発動! 可能なら、ヒュム族の死因についてこの五十年間のランク上位十件を表示」

「オーダー、承りました」

 ロココさんの輝き、今日も美しいです最高です。

 でもそのピカリ光るのは……必須なの? 気分? それとも演出?

「次いで、確認できた死因上位の経年変化グラフを表示。年代別もお願い」

「承りました」

 あれ? ロココさん今、光らなかったような……。まぁ、ちいさなことは気にしない。

 でもこれ、ちいさなこと……じゃないかも?

 キャラの個性に関わるの重大案件のような気もするし。まぁ、今とっても楽しそうだし。光らなかったの気づいてないっぽいし。今はスルーしとこっと。

「これでいかがでしょうか?」

「大丈夫! ありがと!」

 さて……と。

 ふむふむ。

 ふむ。

 やっぱり………戦死か。

 これは他種族との抗争に関わりそうな理由だな。つまりこれを改善しようとすると、他種族との問題を複雑化する可能性があるな。

 ……ふむ。

 とりあえず今は、ここには手を付けないでおこっと。

「戦死を除けば……やっぱ栄養不良が気になるなぁ」

 子どもがたくさん犠牲になってるし。

 水や食物の安定供給、貧富の格差、人々の知識不足が原因ってとこか。当面はこれらの改善につながる物をご褒美にしてみよっか。

 いや……もっとお得感があっていい。

 ダンジョンに挑戦するだけで何かしら栄養価の高い食品を入手できるようにした方が、参加するメリットが大きいよな? いわゆる参加賞ってやつ。

 いっそのこと、開店記念セールの発想でいこっか! ドドンと配っちゃおっか! その方が宣伝効果もねらえるだろうし!

「よし! これで全体のイメージはできた!」

「さすがカイト様! 迅速なお仕事ぶりに感動いたしました」

「ロココさんと神権のおかげだよ?」

「光栄に存じます」

 やっぱり持つべきものは相棒だよね!

「あ、ついでに悪いんだけどさ……」

「なんでございましょう?」 

「でも……疲れてない?」

 どう考えても、ロココさん働かせすぎだよなぁ。神様業もそのお手伝いも、ブラックだよねぶっちゃけ。

「問題ございません。ご心配ありがとうございます」

「じゃあ……お願いしてもいい? 無理してない?」

「問題ございません」

 う~ん。さすがだ。

 仕事のバリバリできる有能サラリーマンっぽいスマイルまで完備してるとは。

「じゃあ検証しよう!」

「はい。まず、Q1.ダンジョン内にロココグッズが本当に設置可能か?」

「さっすが! そしてQ2.ヒュム族がそれを集落に持ち帰って使用可能か?」

 オレが何をしたいのか、理解して支えてくれる。

 そして思いっきり協力してくれる。

 ロココさん今日も最高です…!

「てか、ロココグッズって表現、いいね!」

「カイト様の命名センスには及びません」

 互いに微笑みあって、認め合って、支え合えるなんて……やっぱ最高の相棒だ。

 ロココさんとは、ずっとこんな関係でいたいな。





お付き合い頂きありがとうございました!

自分で書いておきながら、だんだんロココさんがほしくなってきました(笑)自己願望の表れだったみたいです。


<20210510:セリフ等加筆修正済み>



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