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第189話:付与魔法使いは確認する

 西から東。エルフの里を囲むように広がる広大な森が炎に染まっていたのだ。森の方の空は黒煙に覆われ、複数で火災旋風が発生している。火事と形容するには、あまりにも規模が大きすぎる災害。夢ではないかと疑ったが、風が吹けばしっかり熱を感じる。どうやら、これは現実らしい。


「ど、ど、ど、どうしましょう⁉︎」


「どうって……こんなの逃げるしかないでしょ!」


 パニックに陥るセリアとユキナ。そりゃあ無理もない。森はどんどんと燃え広がり、確実にこちらに向かってきているのだ。このままでは炎と煙に巻き込まれてしまう。あれに巻き込まれれば、いかに身体を鍛えていようと人は簡単に死ぬ。


 だが、為す術がないわけではない。


「……上手くいくかわからないが、できる限りのことはやってみよう」


「ええええっ⁉︎」


「無理よ! いくらアルスの魔力量が並外れてると言っても、できることとできないことがあるわ! 逃げても誰も責めないわよ!」


 確かに、単純に魔法で不燃物を生成して鎮火するようなやり方では自然に勝てるわけがない。だが、こちらも自然を使えばどうだろうか?


「地下水を使うんだ。山の深部に溜まっている水を地表まで魔法で汲み上げるくらいなら俺の魔力量でも足りるかもしれない」


「そ、そんなことができるのですか⁉︎」


「できる……が、問題が二つある。まずは一つ目——シルフィ、百メートル下から汲み上げるとして、水は足りると思うか?」


 敢えてシルフィに尋ねたのは、場所は違えど長らく広大な森を管理してきた精霊の感覚を確かめるため。話にならないレベルの水量しかなさそうなら、土台無理だということになる。


「うん、足りると思う。ここは昔からよく雨降るし」


「よし、一つ目はクリアだな。じゃあ、ソフィアを探そう」


 『周辺探知』を使用。ソフィアの魔力の型を記憶から引っ張り出し、薄く広げた魔力で里の中を隈なく調べる。——すぐに見つかった。


「あの、アルス。どうしてソフィアさんを探す必要があるのですか?」


 疑問符を浮かべたセリアが尋ねてきた。


 確かに、状況は一刻を争う。こうしている間にも燃え広がっていることを思えば、すぐにできる限りのことをするべき。だが、そうとも言えない事情があった。


「地下水の汲み上げは……結構代償が大きいんだ」

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