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メイソン襲来3

目を覚ますと昼を過ぎていて、お腹も大分減っている。

ギルドのロビーに出ると、プランさんがいる。


「あら、ラムさん、お疲れさま。あんた頑張ったそうじゃないの」

「徹夜で頑張りましたよ。ははは」

「リーザも感謝してたよ。あんたがいなかったら、もう無理だったて。命の恩人だってさ。私からもお礼を言わせて。本当にありがとう」


プランさんが深々と頭を下げてくる。


「いえ、俺はリーザさんとトールさんが頑張ってるのを見て、自分も少しでも二人の助けになればと思って、一徹しただけですよ」

「何言ってんだい、命までかけて薬草採りにいったくせに。そうだ!リーザから伝言を預かってるよ。今日はみんなで打ち上げやろうだってさ」

「わかりました」

「時間は仕事終わりの鐘がなったら、歓迎会やったお店に集合してくれってさ」


取りあえず昼飯を食べてから、ポーション作りを開始いしする。

正直、ポーション作りは今日は休みたかったが、なにぶんお金がない。

入ってきたお金は、装備を揃えたり、日々の食事で消えている。

ハイポーションを二個程納品し200G受け取り、武器屋に向かう。

昨日、男四人にやられたのを教訓に、携帯出来るナイフを買いにきたのだ。

前回に買った短剣は名前の通り短い剣なのでそこそこの長さがある。

日常生活で持ち歩くには大きくてめんどくさい。

前回来た武器屋でナイフを物色する。

刃が隠せるタイプや、シンプルで町の中でも携帯している人が多い物、刃が波打っている物もあったり、種類が豊富にある。

今回は腰に付けるタイプで一番小さい物を選ぶ。

短剣スキルがあるのでナイフや短剣なら手に持つだけで、スキルが発動する。

ならば軽くて携帯しやすい方がいい。

代金100G払って店を出る。

まだ鐘は鳴っていないが港に向かって歩いて行く。


「ラムさーん!こっちこっち」


ギルドを越えてマーケットの辺りでリーザさんに声をかけられる。

笑顔でこちらに小走りで近づいてくる。

納品も無事終えられた、肩の荷が降りたのだろう、今までで一番ドキッとした笑顔だ。


「ラムさんお疲れ様です!今から港に行くんですか?」

「ちょっと早いですけど向こうで待ってようかと」

「あー!ちょうど良かった。それなら買い出し手伝ってください」

「もちろん良いですよ」


港にあるバーベキューの出来るビアガーデンのような場所は持ち込みが自由に出来る。

マーケットで好きな食材を買って持ち込むことが出来るのだ。

二人で海鮮が売っている区画に向かう。


結構カラフルな魚がならんでいる。

赤、青、黄色、緑

この貝、俺の頭くらいの大きさあるな!


「貝、大きいなー」

「ミルク貝て言うんですよ。私はあんまり好きじゃないんですが、好きな人にはたまらないみたいですよ」

「あ!この海老なんてうまそうですよ!」


見つけたのは手が長くて茶色っぽい手のひらサイズの海老だ。

「手長海老ですね!お値段も手頃で美味しいですよ!」


海老はまだ活きていてピンピン跳ねる。

リーザさんも持ってきた篭に入れてもらう。


「ラムさんこっち来てください!」

「おお!すごいきれいな魚ですな!」


リーザさんについて行くと虹色の魚がいる。

カナブンなんかで光の加減で色が変わる昆虫がいるが、色合い的にはそれが近い。


「食べた味は普通なんですけど、猫島周辺でしか獲れないのでこの港の名物になってるんですよ」

「猫島てここから近いんでしたっけ?」

「猫島から一番近い港がこのベルクド港なので、猫島以外ではこの町でしか食べれないんですよ!ラムさんが食べたことないならこの魚も食べましょう!」

「お!いいですね!」


魚屋で虹魚の他にも魚を数匹買う。

他の魚が一匹1G位なのに、虹色魚は20Gしたのですごく高い!

ベルクドの町には温泉もあり観光客も多いので、この町でしか食べられない魚なので需要は高いらしい。


「後は~お肉も欲しいですよね」


リーザさんの考えこむ仕草も可愛らし。

すぐにタンタンタンと軽い足取りで進むリーザさんの後をついて行く。

肉屋のテントにソーセージがいっぱい吊るしてあり、肉の塊も同じ様に吊るしてある。


「こんにちは!おじさん今日は何の肉がありますか?」

「お!リーザちゃん、相変わらす美人だねー。今日は生肉だと鶏とウサギと猪だね」

「じゃあー、今日は奮発してウサギにしようかな。あとそこのソーセージも下さい」

「いいことあったのかい?今包むからちょっと待っててな」


ウサギなんて食べたことないけど、どんな味なんだろう。

鶏とウサギと猪だとウサギを選ぶことにちょっとビックリした。


「はい、お待たせ。20Gにまけとくよ」

「おじさん、ありがとー!」


リーザさんとの楽しい買い物を終え港に下って行く。

港のバーベキュー型のビヤガーデンに着くと、トールさんが手招きしてくれる。

もうトールさん、プランさん、レントさんが集まっている。

レントさんは三十代位の男性で、いつも三角帽子を被っていて、見るからに魔術師のような風貌なのだが、全くしゃべらない。

リーザさんとプランさんは会話出来るらしいが、俺とトールさんは全く出来ない。

リーザさんが言うには、表情の変化を見ながら何を言いたいのかを察して会話をするらしい。

今回の飲み会で仲良く馴れたらいいな。


「じゃあみんな揃ったから、乾杯といきますか」

「「「「かんぱーい!!」」」」


トールさんの掛け声と共に飲み会がスタートする。

早速、買ってきた肉や魚を焼き始める。

虹色魚は皮の下は白身魚で脂ものっていて美味しいが、普通の魚が一匹1Gで虹色魚が20倍の値段は高い。

希少価値が高いこととその見た目から、お祝い事などでも食べられる為、価格が高くなっている。

ウサギの肉は鶏肉に近いけど鶏肉の味がしない肉だった。

要はウサギの肉の味ってことだ。

美味しいご飯を食べながらメイソンの悪口をいいながら酒を飲む。

飲み会も進んでくると、リーザさんの絡み酒が始まる。


「ほらほら、今回一番頑張ったんだから、いっぱい飲め飲め!」

「リーザさんも、さあもう一杯どうぞ」


二人でお酒を勧めあい二人でどんどん飲んでいく。

ただ残念なことに俺もリーザさんもお酒に強く無いため、すぐに酔ってぐでんぐでんになる。

二人でワイのワイのやってると、リーザさんの胸がちょいちょい当たってくる。

俺が鼻の下を伸ばしているとプランさんがリーザさんを引き離しにやってくる。


「リーザ、あんたもいい年頃なんだから、あんまベタベタしないの」

「ふぇ~ごめんなさい~」


プランさんに席を変えられ、リーザさんはトールさんの横に座らせられる。

今度はトールさんに絡み始めるリーザさん。


「ラムさんもあんまりデレデレしないの!」


プランさんに怒られました。

ちょと、酔って調子にのっていました。

反省しなくてはいけない。

リーザさんにはトールさんがいるし、リーザさんも好きだが、トールさんも好きなので、二人の仲を邪魔したくない。

その後、直ぐにリーザさんが潰れ、俺もあまり寝ていないので、

限界に達して、打ち上げは早々にお開きとなった。

飲み会の席では誰もノットさんの話をしなかった。

ノットさんにはみんな信頼があったんだろう。

それだけにノットさんの裏切りはみんなの中で相当大きいショックを与えたんだと思う。

俺はノットさんの事が気になりながら、リーザさんの胸の感触を思いだし眠りについた。


次の日は早く寝たこともありスッキリ目が覚めた。

いつもの様に屋台で朝食を済ませてギルドに出社する。

こっちに来てから休みが無いんだが、この世界に休みはあるんだろうか?

まー、錬金術師の働き方はまったりしているし、休みの日の予定も無いので休みが必要な訳じゃないが。


「おはようございます」

「ラムさん、おはようございます」


朝からリーザさんの笑顔が眩しい!癒されるうううーー。

この笑顔が他の人のものになっちゃうのかーー。

リーザさんと昨日の飲み会について話していると、トールさん、プランさんも加わり話が盛り上がる。

今回のメイソンの嫌がらせと昨日の飲み会を通じて、みんなとすごく仲良くなれた。

扉がバンと開けられ、みんなが一斉に振り向くと、怒りの形相のメイソンと冒険者四人組が立っている。


「お前ら!どんな卑怯な手を使ったんだ!!」


いきなり怒鳴り込んでくる。

その顔からはいつもの人を見下した薄ら笑いは消えていている。


「ポーションの材料もない!作る奴も居ないのに納品出来るはずがないだろうが!!!」

「私達、頑張ったんです!」


リーザさんが凛とした態度でメイソンに立ち向かう。


「ふざけるな!ふざけるな!頑張ればどうにかなるわけないだろうが!私がどれだけ金を使ったと思ってるんだ!!冒険者ギルド、素材ギルド、引き抜きに金が掛かっているんだぞ!」

「そんなこと知りませんよ!私達にどれだけ嫌がらせするんですか!!この豚やろう!」


!!!、リーザさん、ぶち切れちゃったよ、、、

まー、こんだけのことされて、逆ギレされれば、そりゃあ怒るわ。


「ぶ、ぶ、ぶ、豚ただと!!!優しくすれば付け上がりおって!」

「ぶーぶー今、鳴いてたじゃないですかー」


メイソンの顔が更に真っ赤になっていく。

このままだと血圧が上がり過ぎて倒れるんじゃないか、太ってるし絶対高血圧だよね。


「お前達の悪事を暴いてこのギルドを潰してやるからな!」

「それはこっちの台詞です!悪い事をしてるのはあなたでしょうが!」

「ふざけるな!ふざけるな!」

「メイソンさん落ち着いてください。ここは一旦帰りましょう」


御付きの冒険者四人組に引きずられながら、外に連れていかれる。

本当にうるさいし、ムカつく!


「リーザさん!かっこ良かったですよ!ガツンと言ってやりましたね!」

「ラムさん、私、言ってやりました!」

「「イエイーイ!」」


リーザさんと二人でハイタッチを交わす。


「ただ、あまりメイソンを怒らせ過ぎると今後が心配だよ」


トールさんが難しい顔で指摘してくる。

確かに一昨日も冒険者四人組に囲まれてボコボコにされたばかりだ。

俺は油断さえしなければスキルでなんとか出来るかも知れないが、トールさん、リーザさんが襲われるとなると心配だ。

いっそ俺の毒餌のスキルでメイソンを毒殺出来ないかな。

その後は何事もなく一日が過ぎていく。

今日はハイポーションを十二個納品して、1200G貰った。

ヤバイ、超金持ちだ、、、

ついに布団を買う時が来たな。

明日は家具や服なんかを揃えるかー。

替えの服は一着しかないし、未だに床に寝てるし、部屋には毛布一枚しかない。

いつもの様にリカの食堂に行くが酒は控えておく。

当分は危険探知スキルを常に使用して辺りを警戒する。

買ったナイフも常に持ち歩いている。

久々に銭湯に行って汚れを落とす。

毎日、井戸で洗ってはいるが、湯船に浸かってお湯で体洗うのは気持ち良いよね。

すっかり忘れていたが石鹸も明日確認してみよう。

ギルド員宿舎に戻ると、トールさんが血相を変えて走ってくる。


「ラム君!リーザが家に帰ってないって!見てないかな?」

「俺はギルドを出る時を最後に見てないです」

「そうか、、、」

「もしかして、メイソンな奴が、、、」

「分からないけど、一緒に探してくれないか!」

「俺も心配です、直ぐに探しましょう!」


馬鹿か!メイソンが冒険者を使って強行に出ることなんて、分かりきっていたのに、なんで俺は呑気に風呂なんて行ってたんだ!

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