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シアに告白

家の鍵が壊れて入れませんでした。鍵の業者を呼びました。壊すのに16万と言われました。高いと言ったら9万になりました。それでも高いので帰ってもらい、その日は家に入れず実家に帰りました。

次の日、ちゃんとした業者を呼びました。

壊さずに修理して8800円でした。

もし前日壊していたら壊すのに16万+新しい鍵の取り付けに7万になってました。

家に入れず焦っているからと足下みすぎ。

皆さん、悪徳業者にご注意下さい。

 ルリアを騎士にして、騎士の祝福を与えた。

いつもはフニャっとした笑顔なのに、ルリアが見せた女性の顔に驚いた。

もちろんルリアの唇はすごく柔らかくて、何度も何度も祝福を与えたい欲望に駆られる。

そんな気持ちなどシアの泣きそうな顔を見たら一気に冷めてしまった。

ルリアと戯れあって笑い合いながら部屋に戻ろうとすると、下唇を噛み締めるシアが窓辺に立っていた。

 

「ラム・・・ルリア・・・ご飯・・・」

 

 シアが小さな声でそこまで声を絞り出すと、金色の大きな瞳からポロポロと涙が溢れ落ちる。


「シア!あれは違うんだ!」


 シアに駆け寄り誤解を解こうとするが、逃げる様に二階の自分の部屋に入ってしまった。

二階のシアの部屋の扉の前で、部屋の中に居るシアに向かって話し掛ける。


「シア、聞いてくれ!誤解なんだ。あれは騎士に任命する儀式の一つで、任命者が騎士に祝福を与える儀式なんだ。騎士団の訓練場では出来なかった儀式の一部を行なっただけで、キスをしていた訳じゃ無い」


 隣に居るルリアにも誤解を解くようにお願いする。


「シア、先程ラムさんとしていたキスは祝福のキスです」

「分かってる。少し体調が悪いだけだから、二人でご飯食べて」

 

 部屋の中からシアのか細い返事が返ってきた。

そんな声で言われたら放って置けない。


「シア!扉を開けて顔を見せてくれ!」

「・・・」


 何度か呼び掛けるがシアからの返答はなかった。

どうしたものか・・・。

あきらかに俺とルリアの祝福の場面を見られて、シアがショックを受けている様に思う。

ルリアも俺と一緒に祝福の儀式であると言ってくれているので、儀式であると理解してくれていると思うんだが・・・。


 一度シアに話掛けてから、一度も喋らなかったルリアが、シアに向かって呼び掛ける。


「シアー、ちょっと話があります。私だけ入れて貰えませんか?」

 

 しばらくするとそっと扉が開かれる。


「ラムさんはここで待っていて下さい。私がシアと話をして来ます」


 ルリアの提案の通り、ここは女性同士で話してもらった方が良いと思う。

ルリアだけがシアの部屋に入って行った。

一人廊下に残された俺はシアが部屋に閉じこもった理由を考える。

ルリアとの騎士の祝福の儀式を見られて、キスをしていると誤解された。

誤解では無くキスをしていたのだが・・・あくまで儀式の一環だ!

 

 王都へ向かう旅の途中に俺はシアに告白された。

好きだと言われた。

だが俺はシアの気持ちに答えていない。

シアを奴隷から解放してからでないと、俺のシアが好きって気持ちを伝えたく無いと思ったからだ。

奴隷解放とシアへの告白は、雰囲気の良い場所でやろうと先延ばしにしていた。

シアが勇気を出して告白してくれたのに、答えを返していないから、余計にシアを不安にさせていたに違いない。

シアの誤解が解けて部屋から出てきたら、この場で奴隷解放を宣言して告白しよう。







 シアの部屋に入ったルリアは床にうずくまるシアを見つける。

ルリアはゆっくりシアに近づいて、シアの横に腰を下ろす。

二人に長い沈黙が訪れる。

先に口を開いたのはルリアだ。


「さっきのキスは騎士の祝福のキスですからね」

「分かってる」


 また部屋に静けさが戻る。

次はシアから話し掛ける。


「ねえ、ルリアはラムの事が好きなの?」


 ルリアは深く考えてから答える。

ルリアは今まで家族以外の男性を好きになった事がなかった。

勇者の騎士になる夢を叶える為に、がむしゃらに練習をしてきた。

だからヴィーラの様に男性と付き合った事など無い。

ルリアは一緒に練習する男の子から、告白された事は何度もあったが断ってきた。

別に男の子に興味が無いわけでもないし、女性が好きな訳でもない。

ただ単に剣の練習時間が減るのが嫌なだけだった。


 ちなみに一緒に練習する殆どの男達が、ルリアに好意を抱いていたが、教官であるルリアの父親と兄達によって阻まれた。

そんなモテモテのルリアにヴィーラは常にイライラさせられていた。

ヴィーラの方が美人ではあるが、隙の無い性格と完璧な美しさ、そして領主の娘である身分の高さから、高嶺の花過ぎて男達は最初から諦めていた。

それに対してルリアは誰とでも友達感覚で話すし、頑張れたが振り向いてくれそうな感じが男達を惑わせた。


 話は逸れたがルリアは多くの男性に囲まれて生活していたが、恋をした事はない。

最初、ラムに対して自分の中に芽生えた、もやもやした恋心に気付けなかった。

しばらくしてこれが恋心なんだと気付いたが、その時にはシアがラムの事を好きな事を知っていた。

だからルリアは必死になって自分の気持ちに気付かない様に努めた。


 ルリアはラムにドラゴンもどきの時に命を助けられた。

ポイズンフロッグを倒す為に一人で走り出した時に追って来てくれた。

ダークスネイク戦でもラムが居なければルリアは死んでいただろう。

そしてトット村でのラムは自分の命より弱きを助ける姿が勇者に見えた。

極め付けは高価なポーションを何の見返りを求めずに提供してくれた。

自分の元を去る相手に対してである。

ルリアはラムへの自分の気持ちを抑えるのは限界だった。


「私はラムさんの事が好き・・・」


 自身の気持ちを一度認めてしまえば、ラムに対しての気持ちはどんどん溢れ出して止められない。

ルリアは腕を直した時に、ラムの元に残ろうと決めた。

この人と一緒にずっと居たいと・・・。

勇者PTをクビになった騎士と、勇者PTを断った騎士では大違いだ。

だからルリアは自身の強さを示す為にヴィーラの試験を受けたのだ。

勇者PTに戻る事は出来なかったが、ルリアの強さを示す事は出来たと思う。


 シアの質問に対してルリアの中でぐるぐると色々な感情が渦巻く。

シアは大切な友達・・・。

だからハッキリ自分の気持ちをシアに伝えたい。


「私はラムさんの事が好き・・・。でもシアの事も大好き。だからまた前みたいに三人で暮らしたい」

「・・・私もラムもルリアも二人共大切だよ」


 うずくまって居たシアが顔を上げてルリアと顔を見合わす。

そのまま抱き合って二人は声を上げて泣いた。

なんで泣いたかはうまく説明出来ないが、複雑な感情が高まって涙が出てきた。

ひとしきり泣いた後に、今度は二人で大笑いを始める。

なぜ笑ったかも分からないが可笑しくてしょうがなかった。

いっぱい泣いて、いっぱい笑ったら二人の胸のモヤが取れて光が差していた。

 

「シア、負けませんよ」

「私も負けない」


 手を取り合って立ち上がった二人の顔は迷いのない清々しい笑顔だった。






 ルリアが部屋に入って行ってしばらくすると中から泣き声が聞こえた。

おいおい!いったい中で何の話がされているのか気が気でしょうがないぞ。

泣き声が止むと今度は二人の笑い声が聞こえる。

いったい何を話しているのか?

そんな心配をよそになぜか清々しい二人が部屋から出て来た。

二人の笑顔を見てホッとする。

うまくルリアがシアをなだめてくれたんだろう。

タイミングとか雰囲気とか言ってる場合じゃない!

俺はこの場でシアの奴隷解放を告げてシアに告白するぞ!

清々しい顔で出て来た二人に対して俺は宣言する。


「この場をもってシアを奴隷身分から解放する!」


 喜ぶと思って笑顔で宣言したが、シアの顔が徐々に絶望に染まっていき、大粒の涙を流す。


「ラムは・・・ルリアを選ぶんだね・・・」

「へ?」







いつも誤字訂正誠にありがとうございます!

ここまで読んで頂いた皆様、誠にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] >鍵が壊れて  錠前が壊れて? なんにせよご無事で何よりでした。  しかし、錠が壊れるかな? なんかヤラセっぽいのですが。鍵穴に接着剤とか詰めて自作自演で稼いでる輩だったりして……。  本業…
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