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ルリアの腕の再生

 ジェネレイツポーションは見事にルリアの腕を再生することに成功した。

腕の再生ばかりでなく、古傷や肌荒れなんかも綺麗に直していて、ルリアの肌はツルッツルだ。

ルリアとシアが抱き合って涙を流している。


「ルリア、良かったね!良かったね!」

「シア、ありがとう!うえぇぇーん!」

「それにしてもジェネレイツポーションてすごい効果ですね!」


 リーザさんがルリアの腕や肌を触りまくっている。


「ルリアの肌、すっごいすべすべですよ!シミも無くなってますし!」


 リーザさん、そんな目で見てもジェネレイツポーションはあげませんよ!

確かに俺が見てもルリアの肌が綺麗になっているのが良く分かる。

透明感のある薄ピンク色の肌に瑞々しい張りが見て取れる。

ゴクっと思わず生唾を飲み込む。

触ってみたい・・・。

ただ単に触ったら変態だ。

だが再生した腕を確認する振りをして、触れば怪しまれないだろう。

今なら、シアもプランさんも触っている。


「あー、俺もポーション製作者として効果を確認したいから、ちょっと腕を見せて貰ってもいいか?」

「勿論です、見てください!ラムさんに直して貰った腕ですよ!」


 ルリアが涙を流しながら右腕を差し出す。


「凄いな!本当に綺麗に再生してるんだな!」


 腕を確認する振りをして撫でまわます。

気持ち良い!なんてすべすべの肌なんだ!

こんな気持ち良い肌なんて触った事ないぞ!

全く引っかかりもなく、フワッと柔らかく、それでいて瑞々しい。

片手では満足出来ずに両手でルリアの右腕を触っていく。


「ちゃんと治っているみたいだな。腕の感触や違和感はないか?」

「はい!大丈夫です。筋力が落ちてしまうかと心配したんですけど、しっかり筋力もあるんです!以前より調子が良いくらいですよ!」

「そこまで凄いポーションだとは驚いたな!」

「ありがとうございます!ありがとうございます!」


 ルリアが涙を流しながら何度も何度も俺にお礼を言ってくる。

ルリアの腕に頬ずりして、もっと堪能したい気持ちを抑え込む。


「ルリアの腕が治って俺もすごく嬉しいよ!」

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

「もう、ルリアの気持ちは分ったから!十分に伝わったからな」


「ツンツン」

「ん!?」

「ねえ?ラム。いつまでルリアの腕触ってるのかな?」


 肩を突っつかれて振り向くと笑顔のシアと目が合う。

シアは笑顔だが何故か俺の危険探知スキルが反応している。


「いや、ポーションの効果の確認だよ・・・確認・・・」

「それにしては触り方がいやらしくありませんでしたか?」


 リーザさんも笑顔なのだが、リーザさんの方からもピリピリと危険探知スキルが反応している・・・

ルリアに助けを求める。


「なあ!ルリア、腕が治ったかの確認だったよな!?」


 先程まで泣いて、あんなに感謝していたルリアが冷めた目で俺を見ている。


「私の感謝の気持ちを返してください」

「ははは・・・・・・・・・。すみませんでした・・・」


 ギルドマスターの俺が、自分の錬金術室の隅で正座させられている。

それもジェネレイツポーションを完成させ、ルリアの腕を治した筈なのに・・・。

なぜだ・・・なぜなんだ〜!


 



 腕の治ったルリアはデタリのと試合に向けて練習を開始する。

俺の家の庭でルリアと短剣を構えて向き合う。

ここ最近のルリアとの練習では、俺の方が押していて、昨日もほぼ互角以上の戦いが出来ていた。

さて、利き腕のあるルリアに何処まで迫れるか。


「さあ、ラムさん。何処からでもどうぞ」


 ルリアがいつもよりリラックスした雰囲気で剣を構える。

そう、いつもより力が抜けていて隙がある。

やはり久々の利き腕で慣れていないのか、それとも余裕なのか・・・。

仕掛けてみれば分かるか。

ルリアが見せている隙に問答無用で斬りつける。


「え?」


 気付くと俺の手から短剣がなくなっている。

地面に落ちた短剣を拾って再度構え直す。

やはり普段のルリアには無い隙がある。

先程は何をされたか判らなかったが、短剣を俺の手から落とす何かをした筈だ。

今度はルリアの最初にある隙を攻撃せずに、足で撹乱しながら、細かく突きを繰り出す。

再度、ルリアが剣を引き遅れた隙をついて深く踏み込む。

先程と違い油断せずにルリアの動きに注意を払いながら、短剣を横に払う。


「へ?」


 横に払った短剣をルリアの剣が受け流して、体勢を崩した時には、ルリアの剣が俺の喉もとに突き付けられていた。


「じゃあ、そろそろ、こっちからも攻めて行きますよ」


 ルリアが楽しそうに笑う。


「はっはは、お手柔らかに・・・」


 攻撃に転じたルリアは凄まじかった。

危険スキルを使って何とか避けてはいるが、こちらからは一回も攻撃出来ない。

利き腕のあるルリアは、まず剣速が速い。

そしてフェイントが多彩でどれが本当の攻撃なのか判らない。

さらに今までは右に回り込むと出来ていた隙が生まれない。

全く勝負になりませんでした。


「やっぱり、利き腕があるルリアは強いな。多少は勝負になると思っていた自分が恥ずかしいよ」

「ラムさんは凄いですよ!一年間、毎日練習すれば良い勝負出来ると思いますよ!」

「一年も掛かるのか・・・」

「なに言ってんですか!私がここまで強くなるのに、どれだけ練習したと思ってるんですか!ラムさんの成長スピードはズルですよ!」


 頬を膨らませて怒ったルリアが真面目な顔で向き直る。


「ラムさん、本当にありがとうございました。ラムさんのエクストラポーションで命を救われ、さらに腕まで直してもらって、どれだけお礼をしても足りません。必ずいつかこの御恩は返します」


 ルリアがスッと頭を下げた。


「ルリア、必ずデタリに勝って勇者の騎士の夢を取り戻せよ」

「はい!必ず私は勇者の騎士に戻ります!」


 ルリアと硬い握手を交わす。

やっぱりルリアの肌はすべすべで気持ちが良い。


「あ!」


 ルリアが顔を近づけて囁く。


「今ならシアもリーザさんも居ないので、私の腕触りますか?」


「へ?」

「恩人のラムさんのお願いでしたら腕を触らせるくらい何でもありません!むしろちょっと触って欲しいくらいです・・・」


 そう言ってルリアが恥ずかしいそうに俯く。

あれ?もしかしてルリアは俺に惚れてしまったか?

そうだよな・・・サプライズで高価なポーションをプレゼントされて、念願の腕が治って夢が叶うかもしれないんだ。

俺が女だったら惚れるよな。

ルリアが下を向いたまま右腕をスッと差し出す。


「そうだな。練習後の腕の調子も見なくちゃいけないしな」


 ルリアの差し出した腕を触る。

ルリアの肌は練習後の汗でしっとりしていて、俺の手に吸い付く様な肌触りで、先程より更に触り心地が良い!


「ラムさん・・・。ラム」


 ルリアがトロンとしたピンク色の瞳を俺に向ける。

これは更に触ってもオッケイのサインに違いない。

確か、二の腕はおっぱいの触り心地だと聞いた事がある。


「ゴク・・・」


 そっとルリアの二の腕に手を伸ばす。

俺の指先がルリアの二の腕に触れる。

もう、空気の様にそこに存在していない触り心地なのに、確かに触れている感触がある。

なんて神秘的な触り心地なのだ!


 ・・・俺はスッと腕を引っ込める。


「うん。剣の練習しても腕は問題ない様だね。よし、じゃあ、今日の練習はここで終わりにしようか。あれ?シアか、居たのかー。気づかなかったよ。ご飯できたかな?よしルリアもご飯にしよっかー」




 ・・・なぜ、自分の家の食卓で床に正座をさせられているのか。

なぜ、奴隷と従業員が食卓でご飯を食べているのを眺めているのか。


「ラム!」

「はい!」


 シアの冷たい視線が飛ぶ。


「すみませんでした・・・」


 ふっとシアの顔が緩む。


「もう・・・。一緒にご飯食べよう」


 なんだかんだ言ってシアは優しいんです。

 





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