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魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~  作者: 出雲大吉
第2章

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第077話 では、胴体を捌いてみましょうか


 翌日、俺達はリーエに起こしてもらい、6時には宿屋を出て、東の方に歩いていく。

 まだ6時だというのに周囲には多くの人が歩いており、さすがだなと思った。


「皆、朝早くからすごいわね」

「俺達も二日連続で早起きだぞ」


 一昨日は4時半で昨日は3時半だ。

 もはや早起きどころではないレベル。


「偉いものね」

「まったくだ」


 うんうん。


「はいはい。多分、明日もですよ」


 そうか……

 明日にはここを出るから早起きになるのか……


「頑張りましょう」

「そうだな」


 今日も早く寝るかと思いながら歩いていき、東にある門を抜けた。

 すると、まっすぐ伸びている街道を挟むような深い森が前方に見える。


「どっちが迷いの森だろう?」

「どっちもじゃない?」

「かなり深そうですね」


 この道はどこに繋がっているんだろうか?


「どうする?」

「とりあえず、街道を進んでいきましょうよ。それでどこかで森の中に入ればいい」

「そうするか」


 俺達は街道を進んでいき、森までやってきた。


「森の中に魔力反応がありますね。複数が固まっているので冒険者だと思います」


 リーエが左の方の森を指差す。


「俺も感じるな。浅いところにいる」


 3人いるが、そこそこの魔力だ。


「この時間の冒険者ならそこまで悪い感じじゃないと思うけど、この町では極力、接触を避けましょう」


 森は広いのにわざわざトラブルになりそうなところに首を突っ込む必要はないからな。


「誰もいないところにするか」

「奥ですね」


 俺達はさらに街道を進んでいく。

 道幅も広いし、土の舗装だが、しっかり固められているので歩きやすい。


「冒険者が多いな……」

「いますねー……」

「私はわからないんだけど、そんなにいるの?」


 イレーネが首を傾げる。


「浅いところにいる」

「あちこちにいますね。それに魔物もいます。魔物が多い森というのは間違いないようです」


 稼げる森だな。


「そりゃトラブルも多くなるわね」

「だろうな」


 俺達はそこから30分くらい歩いていき、ようやく周囲に冒険者がいないところまでやってきた。


「魔物は?」

「いるな……初めて感じる魔力だ」

「オークほどじゃないですけど、そこそこの魔力です」


 俺とリーエが右の方の森を見る。


「迷いの森よね? 戻ってこられる魔法はある?」

「大丈夫だ。飛べるし、どうとでもなる」

「とはいえ、一応、目印を作っておきましょう」


 リーエがその辺に落ちている石を拾うと、魔力を込めた。

 そして、その石をその辺にポイッと投げる。


「何をしてるの?」


 イレーネが首を傾げた。


「その石に私の魔力を込めたんです。なので、あの石の魔力を探れば帰ってこられるわけです。まあ、1日も持ちませんけど」


 魔力が放出されていくからな。


「へー……便利ね。そういうのがあれば迷子もなくなりそう」

「イレーネさんはどこにいてもわかりますよ。例外もありましたけど」


 捕まった時な。

 魔力をジャミングする手錠でまったくわからなかった。


「一緒にいれば問題ないだろ」

「ウチのご主人様が束縛系になっちゃいましたね」

「どちらかというと、心配性の親って感じじゃない?」


 どちらにせよ、あまり良い印象はないな。

 まあ、仕方がないことだ。


「イレーネが幸薄いのが悪い」

「薄幸の美女ですね」

「悪くない評価ね」


 美女だけだろ。


「いいから行くぞ」

「そうね」


 俺達は右の森に入り、魔力を感じる方に歩いていく。

 すると、前方に人がおり、背を向けていた。


「ん? 冒険者……ではないな」


 だって、どう見ても腐っているし。

 あれはアンデッドだ。


「ゾンビね……」


 イレーネがちょっと嫌そうな顔をする。

 まあ、アンデッド系の魔物は俺達がいた世界にもいたのだが、好きな奴はいない。


「こちらに気付いていませんね」

「ゾンビは動きも感覚も鈍いのよ。ただ、とんでもない生命力を持っているから倒したと思っても襲ってくるから危険な魔物よ」


 腕を切ろうが、下半身が吹き飛ぼうが、前に進むのがアンデッドだ。


「いかがしますか?」

「この距離でこちらに気付いていないわけだし、どうとでもなるな。イレーネ、例の矢を試してみろよ」


 ゾンビまでの距離は30メートルも離れていない。


「そうね。やってみるわ」


 イレーネが弓を構えた。

 すると、光の矢が現れ、狙いを定める。


「かっこいいですね」

「ありがと。せいっ!」


 イレーネが矢を放つと、ゾンビの心臓を貫いた。

 しかし、ゾンビは倒れることもなく、こちらを振り向くと、ゆっくり歩いていく。


「精度は悪くないけど、威力が微妙かな……まあ、普通の矢なんだけど」

「色々とエンチャントをしてみると良いですよ」


 正直、矢にそこまでの威力はないからな。

 鳥や人を殺すには十分だが、ああいう生命力の強い魔物や大型の魔物は厳しい。


「エンチャントねー……」

「エンチャントがわかるんですか?」


 確かに意外だ。


「魔道具を作る際の技術でしょ。聞いたことはある」


 さすがは魔道具が発展した世界だな。

 しかし、エンチャントがあるくせに魔法がないって……まあいいか。


「イレーネ、ゾンビが近づいてきているが、どうする?」

「魔法でやってちょうだい。斬りたくないし」

「そりゃそうだ」


 ゾンビに手を向けると、エアカッターを出す。

 すると、ゾンビの首が吹き飛んだのだが、平気で歩いていた。

 とはいえ、数歩歩いたところで前に倒れ、動かなくなる。


「では、魔石を採取してきましょう」


 リーエがいつものように魔物のところに行き、ククリナイフを取り出した。

 そして、ゾンビの解体を始めたのだが、はたから見ていると、サイコ幼女だ。


「リーエはすごいわね……」


 リーエはまったく気にしている様子はない。


「マッドなご主人様が作りし、ホムンクルスなんで」

「なるほど……」


 いや、納得するな。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

本日、私の他作品である『左遷錬金術師の辺境暮らし』のコミック第1巻が発売となりました。

ぜひとも手に取って読んでいただければと思います。(↓にリンク)


本作共々よろしくお願いします!

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