第071話 師匠と呼びなさーい
俺達は山を登り、鳥やトカゲを倒していく。
昨日よりも数が多く、午前中だけでトカゲ4匹と鳥を5羽も倒すことができた。
そして、昼食を食べ、さらにトカゲを倒すと、下から男性冒険者3人組が登ってくる。
「よう。トカゲ狩りか?」
リーエが魔石を回収していると、1人の男性冒険者が声をかけてきた。
「ああ。そんなところだ」
「じゃあ、もっと上に行くか」
男性冒険者はそう言って、軽く手を上げて挨拶してくると、そのまま仲間と共に上に登っていった。
「初めて他の冒険者に遭遇したな」
「強そうでしたよね。それにあっさりしてました」
声をかけられた時は絡んでくるかと思って、ちょっと身構えたんだが。
「あれは確実にCランク以上よ。当たり前だけど、高ランクで実力がある人ほど、余裕があるし、最低限の交流しかしてこないわ」
そういう人間が高ランクに行くんだろうし、余裕があるから無駄なことはしないか。
逆も然り。
「やはり絡んでくるのは低ランクか?」
「そうそう。EとかDランクが多いわね」
俺達か。
「ヴェルナー様、また来ましたよ」
リーエが言うようにまた男性冒険者3人組が登ってくるのが見えた。
「ヴェルナー、今日はもう上がらない? ローテーションがあるのかは知らないけど、今日は昨日と違って、多くなるかもしれない。獲物の取り合いはトラブルのもとよ」
「そうだな……何時だ?」
「14時を過ぎたところ」
ちょっと早いが、明日の準備もあるし、さっさと帰るか。
「わかった。撤退しよう」
「ええ」
「了解です」
リーエが魔石を回収し終えたので下山する。
道中でやはり他の冒険者ともすれ違ったし、今日は昨日とは違うようだった。
そして、町まで戻り、ギルドにやってきたのだが、時間が時間なため、他の冒険者の姿が見えない。
待たなくて良かったと思いつつ、受付嬢のもとに向かう。
「おや? 今日は早いですね?」
受付嬢が意外そうな顔で声をかけてきた。
「ああ。冒険者の数が増えてきたんだ。昨日は一組だったのに今日は多い」
「天気ですね。今日は曇りでしょ? よくわかってないですけど、晴れの日より曇りの方があの山は魔物が出やすいんです。あと、空を見上げた時に太陽が目に入らないので鳥の魔物が確認しやすいということがあります」
なるほどな。
地元の冒険者はそういうことを知っていたからか。
「かち合うかと思って撤退してきた」
「良いと思います。では、精算しましょう」
「ああ」
リーエが魔石を出すと、受付嬢が奥に持っていく。
そして、すぐに戻ってきたので明細を見てみると、合計が7万5000ソルだった。
昼過ぎに終わったことを考えると、十分な額だ。
「明日はどうされますか?」
「それなんだが、明日の朝にはここを発つことにした。知り合いの商人と一緒に行くんだ」
ダリアね。
「ほうほう? でしたら依頼にしてはどうですか?」
「金銭は発生しないんだよ」
「それでもあなた達の実績になりますよ。あなた達は護衛依頼を任せるほどの実績がないですが、今回はその商人さんの指名依頼ということになります。護衛の依頼は結構なポイントですし、確実にランクアップが早くなりますよ」
へー……
「それ、良いのか?」
「実際に護衛の仕事をするわけですし、別に問題ないと思いますよ。むしろ、もったいないです」
ふーん……
「ダリアってどこにいるんだ?」
イレーネとリーエに聞いてみる。
「さあ? 仕入れって言ってたし、どっかの店じゃない?」
「ダリアさんのことですから夕方前には戻ってくると思います」
食堂が込む前に夕食を食べるか。
「夕方でもいいか?」
受付嬢に確認する。
「別に明日の朝でも良いですよ。ウチは4時から空いてますので」
早っ……
「わかった。ちょっとダリアに相談してみる」
「それで良いと思います。まあ、無理を言うものでもありませんから」
「ああ」
俺達は用件が済んだので缶詰屋に行き、少しだけ補給をすると、宿屋に戻る。
宿屋のエントランスには娘さんがおり、箒で掃き掃除をしていた。
「あれ? おかえりなさい。早いですね」
「今日はちょっとな」
リーエが弁当箱を返すと、娘さんがカウンターに置いた。
「明日はダリアさんと出るんですっけ?」
その会話をした時にこの子もそこにいたからな。
「ああ。世話になったな」
「いえいえ。お弁当はどうします?」
「良いのか?」
「500ソルですけどね」
せっかくだし、もらうか。
「頼む。それとダリアは戻ってるか?」
「いえ、昼に一度、戻られましたけど、また出かけられましたね。多分、16時くらいには戻ってくると思います。あの人は時間にきっちりした人なんでほぼそうです」
そんな感じはする。
「ちょっと話があるから戻ってきたら呼んでくれるか? 俺達は部屋にいる」
「わかりました」
娘さんが頷いたので部屋に行き、ソファーで一息つく。
「ふう……この部屋も今日が最後か」
「良い部屋でしたよね」
「ホントよねー」
安いし、店員の人柄も良く、良い宿屋だった。
「夕方までちょっと魔法の開発をするかな」
「私もちょっと練習をするわ」
「では、お茶を淹れましょう」
リーエは暖炉の火をつけ、お茶を淹れてくれたので温まりながら魔法を作っていく。
イレーネもリーエに教えてもらいながら光の矢や魔力操作の練習をしていった。
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