第007話 あーあ……調子に乗るぞ
1時間くらい待っていると、オラースが戻ってくる。
「お待たせしました。どうぞこちらを」
オラースが俺とリーエに服を渡してきた。
それも俺の分には剣がある。
「剣まで買ったのか?」
「剣を持っていない冒険者はいませんよ」
「いや、金は?」
剣って高いだろ。
「金貨の方が思ったより高く売れました。こちらがお釣りになります」
オラースがテーブルに紙幣を5枚置く。
「5万ソルか?」
「はい」
ふーん……
「じゃあ、着替えてみる。変なところがないかちょっと見てくれ」
「かしこまりました。外におりますのでお声がけください」
オラースが一礼し、部屋から出ていったので服を脱ぎ、着替えていく。
「私は簡単ですね」
「剣ってどうやって着けるんだ?」
俺も着替え終えたのだが、剣をどうすればいいかわからない。
「まったく……ヴェルナー様は私がいないと何もできませんね」
リーエが腰に剣を着けてくれた。
「強そうか?」
剣を抜き、構えてみる。
「強そうには見えませんが、現地に馴染んだ感じはしますね」
「そうかい。しかし、この剣、安物に見えるか?」
「見えませんね。私の服も質が良いものです」
リーエは白を基調としたローブであり、ベルトで腰を閉めている。
さらには肩にかけるタイプのカバンを持っていた。
俺は白と黒の軽装であり、動きやすくて良い。
「それでお釣りが5万ソルか? 金貨がいくらで売れたんだ?」
「さあ?」
うーん……まあいいか。
「オラース、入ってくれ」
『失礼します』
オラースが部屋に入ってくる。
「どうだ?」
「どうです?」
「御二人共、お似合いでございます。ヴェルナー殿は凛々しいですし、リーエさんも大変可愛らしいと存じます」
リーエがドヤ顔だ。
この執事、できるな。
「俺はまだいいんだが、リーエはこれでいいのか? 可愛いが、冒険者には見えんぞ」
「リーエさんはまだ小さく、冒険者になることはできません。なのでお手伝いとか見習いとかそういう方向がよろしいかと」
冒険者になるのにも年齢制限があるのか。
「わかった。そのようにしよう」
「それとわかっていると思いますが、ホムンクルスを名乗るのは避けてください。娘さんか妹さん、もしくは、親戚の子辺りがよろしいかと」
確かにな。
「リーエ、どれがいい?」
「親戚の子にしましょう」
まあ、名前呼びだし、それが良いか。
リーエにお父さんとかお兄ちゃんって言われたくないし。
「じゃあ、それで」
「よろしいかと思います。それでは夕食の時間までごゆるりとお過ごしください。用意ができましたらお呼び致します」
「わかった」
オラースが再び出ていったのでお茶を飲みながら過ごしていく。
すると、茜色に染まっていた外が徐々に暗くなり始めた。
そこからさらに1時間くらい経つと、ノックの音が部屋に響く。
『ヴェルナー殿、リーエさん、夕食の準備ができました。食堂までどうぞ』
俺達は立ち上がると、部屋を出る。
「食堂は?」
「こちらです」
オラースに案内され、奥にある部屋に入る。
そこは10畳くらいの部屋であり中央には色とりどりの料理が並べられたテーブルがあり、すでにセシリアが席についていた。
「あら? 良い感じになったじゃないの」
セシリアが俺達の服装を見て、褒めてくる。
「どうも」
「……褒められたら褒め返すんですよ」
そうなの?
「セシリアも美しいな」
「口説くんじゃないですよ」
どうしろって言うんだよ。
「ありがとう。まあ、座ってちょうだい」
セシリアに勧められたのでリーエと並んで席につく。
「かなり豪勢だな」
「そうね。好きに食べてちょうだい。私は一切気にしないから」
そう言われてもね。
「ワインまであるのか」
「私は飲めませんよ。アルコール分解機能が皆無です」
「もちろんよ」
セシリアがオラースをチラッと見ると、俺とセシリアのグラスにワインを注ぎ、リーエの分にはぶどうジュースを注いだ。
「ぶどうジュースは好きです」
「それは良かったわ。では、乾杯しましょうか」
俺達はグラスを掲げた。
「「「乾杯」」」
ワインを一口飲んだが、変な感じはしないし、味も俺達がいた世界のものと変わらない。
「美味いな」
「ええ。どうぞ、食べてちょうだい」
俺達は食事を摘まみつつ、ワインを飲んでいく。
「料理も美味しいですね」
「ああ。多分、これらはこの世界の平均ではないだろうが、美味いな」
うん、美味い。
「口に合ったのなら良かったわ。ヴェルナーは優秀な魔法使いと聞いたけど、どれくらい優れていたの?」
ほう?
「リーエ、俺より優れた魔法使いがいたか?」
ほれほれ。
「いませんね。叡智の魔勲章を始めとする多くの勲章と栄誉、そして、功績を残された方です。魔法を放てば奇跡を起こして国を救う大魔導士とはヴェルナー様のことです」
うんうん。
「なんでカンペを見てるの?」
「お気になさらずに」
「ふーん……勲章とかよくわからないけど、すごい魔法使いなのはわかったわ。魔法ってやっぱりすごいの?」
すごいはすごいんじゃないかな?
「まあ、何もないところから火を出したり、水を出したりするからな。オラースには見せたが、認識をずらして透明人間になることもできる」
「へー……犯罪に使えそうね」
「それはもちろん、そうだ。しかし、当然だが、魔法を使った罪は普通の罪よりも重くなる。さらには便利な魔法を開発すればそれに対抗する魔法もすぐに生まれるんだ。俺も最初は一魔導兵としてキャリアが始まったが、そこで敵軍の魔法を破ったことから一目置かれるようになり、功績を上げていったんだ。そして、戦後に中央の帝都所属の魔導士になり、順調にステップアップしていったんだ」
うんうん。
「たたき上げだったわけね。もっと聞かせてよ。すごく面白いわ」
そう?
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