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魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~  作者: 出雲大吉
第2章

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第059話 イレーネさん、慣れすぎ……


 翌朝、起きてシャワーを浴びると、準備をし、食堂に向かう。

 時刻は8時半だったが、食堂には俺達以外の客はいない。


「おはよう。すぐに持ってくるからちょっと待ってて」


 おばさんが奥から顔を出し、そう言うと、すぐに引っ込んだ。


「誰もいないな」

「だいたい7時から8時に始動っていう人が多いからね。私はいつもこんな時間だったけど」


 そういやそうだったな。


 俺達は席につき、朝食を待つ。


「イレーネさん、体調はどうですか?」

「ん? 普通。お酒も残ってないし、魔力障害もない。あれだけやったしね」


 ずーっとムーブで何かを動かしていたな。

 色々と燃えたけど。


「逆にそこです。魔力を使いすぎると、倦怠感が出たりするんですよ」

「魔力欠乏症ってやつな」


 魔法学校の1年生がよくなるやつ。

 毎年、倒れる者が出る。


「全然、大丈夫ね。眠いのは眠いけど、それはいつものことだし」


 俺もちょっと眠い。

 リーエは早めに寝たが、俺はイレーネと話をしたりしていたから。


「リーエ、イレーネにそっち方面の心配はいらないと思う」


 魔力の量が常人と違うわ。


「そのようですね」


 その後、おばさんが朝食を持ってきてくれたのでぱぱっと食べた。

 そして、食堂を出て、受付に向かう。


「あ、お客さん、お弁当です」


 娘さんが籠を渡してくれたのでリーエに渡す。


「ありがとう。ねえ、冒険者ギルドってどこにあるの?」

「ギルドですか? 町の中央にありますよ。ここから南です」


 娘さんが左の方を指差した。


「そう。じゃあ行ってみるわ。あ、それと今日も泊まる」

「わかりました。部屋は引き続き、2号室をお使いください。お気を付けてー」


 俺達は宿屋を出ると、通りを歩いていく。

 やはり人通りが多いし、賑わっていた。

 そんな通りを進んでいくと、剣が交差する看板がかかった建物を発見した。


「ギルドだな。なんか久しぶりな気がするわ」

「随分前のように感じますね」


 実際はちょっと前なんだが。


「私は正真正銘、久しぶりね。実に2年」


 長いな。


「緊張するなよ」

「するわけないでしょ。行くわよ」


 イレーネが笑いながら中に入っていったので俺とリーエも続く。

 ギルドはマリティアのギルドと変わらず、奥には受付があり、手前には待合スペースがあった。

 ソファーやテーブルもあり、数人の冒険者が話をしている。

 イレーネは3つある受付のうち、一番若い女性の方に向かった。


「こんにちは」

「はい、こんにちは。お仕事ですか?」


 イレーネが挨拶をすると、受付嬢が笑顔で返し、聞いてくる。


「ええ。でも、その前に登録をお願い」

「かしこまりました。えーっと、2名ですか?」


 受付嬢はちらっとリーエを見た後に聞いてきた。

 やはりリーエは無理なんだろう。


「いや、私だけね。この人はもう登録をしている」


 イレーネが俺を指差す。


「わかりました。では、こちらに記入をお願いします」


 受付嬢が一枚の紙を取り出し、カウンターに置いた。

 マリティアで俺が書いたものとまったく同じ書類だ。


「ええ」


 イレーネは名前、年齢を書く。

 名前は当然、イレーネ・ランゲンバッハだし、年齢も20歳だ。

 次に得意なことで剣術と弓と書いたし、苦手なことで朝起きることと書いている。

 そして、最後のパーティーメンバーを書くところに俺の名前を書いた。


「ヴェルナー・ランゲンバッハさんはこちらの方ですか?」


 受付嬢が見てくる。


「ええ。家族でやるから」

「わかりました。ヴェルナーさん、冒険者カードをお願いします」


 そう言われたのでカードをカウンターに置いた。


「それでは少々、お待ちください」


 受付嬢はそう言って、書類と俺のカードを持って、奥に向かう。


「ぱぱっと書いたな」

「そんなに詳しく書いても仕方がないしね。結局は実績がものを言うのよ」


 まあ、それもそうか。


 俺達が待っていると、受付嬢が戻ってきた。

 そして、俺にカードを返すと、イレーネにもカードを渡す。

 イレーネのカードは当然、前に見た銀色ではなく、白色のカードだ。


「こちらになります。最初はFランクからになりますが、功績を上げていけばおのずとランクも上がります」


 イレーネはカードをじーっと見ると、満足そうに頷き、カバンにしまった。


「どうも」

「ギルドや仕事の説明は必要でしょうか?」

「いえ、ヴェルナーが知っているから大丈夫よ」


 まあ、聞いたから知ってはいるな。

 もっとも、イレーネの方が詳しいが。


「わかりました。それでは早速、お仕事をなさいますか?」

「ええ。そのつもりよ。ここはどんな仕事があるの?」


 さすがにそれはわからないからおすすめを聞く。

 マリティアのギルドのおっさんに聞いた通りだ。


「御二人共、剣術が得意とありますし、やはり魔物退治がよろしいかと思います。この町の周辺の主な稼ぎ場所は東の山と西の森になります。南北の街道沿いは安全ですが、その分、魔物が出ないのでおすすめはできません」


 そりゃそうだ。


「山と森ねぇ……」

「山は見通しが利きますので安心です。一方で山登りは疲れますし、滑落の危険性があります。森はその逆です」


 まあな。

 容易に想像が付く。


「出てくる魔物はどう?」

「森はゴブリン、コボルト、ウルフが主になります。奥に行けばオークやジャイアントベアなどの目撃情報もありますし、その他、様々な魔物がおります。山は鳥系やトカゲ系ですね。イレーネさんは弓が得意ということですし、鳥系を狙っても良いかもしれませんね」


 鳥なら魔法でやれるな。


「なるほどね……今日は森で良いかしら?」


 イレーネが確認してきたのでリーエと共に頷いた。

 ここは元Bランク様に任せよう。


「森に行かれますか? でしたら薬草などの採取もおすすめですよ」

「ええ。見つけたら採ってくるわ」

「お願いします。最近は採ってくれる方が減って、ウチも困っているんですよ」


 そうなんだ。

 若者の採取離れかな?


「ええ。じゃあ、行ってくるわ」

「お気を付けて。無理はなさらないでくださいね」

「わかってる」


 俺達は用件が済んだのでギルドを出た。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
若者は採取なんて地味な仕事はしないのさっ。 「そんなの子供のやること」とか言って
サブタイに偽り無しだね~ 受付嬢もすぐわかるレベル(笑)
冒険者の薬草採取離れは、あるある問題
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