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魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~  作者: 出雲大吉
第1章

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第004話 家庭科ゼロ点w


「なるほど……」


 セシリアは深く頷くと、オラースを見る。


「嘘を言っているようには見えません」

「そうね……」


 嘘じゃないっての。


「次元転移など、突拍子のないことかもしれない。しかし、事実だ」

「そう……」

「……すみません。簡単なもので良いので魔法を使っていただけませんか?」


 オラースがお願いしてきた。


「簡単な魔法? そう言われても数が多いぞ」

「危なくないものかつ、ぱっと見て、魔法とわかるものです」


 ふむ……


「スプリンクラーとかないよな?」


 天井を見上げる。


「スプ……それは何でしょう?」


 発展しているように見えたが、スプリンクラーはないか。


「火事が起きた際に天井から水が降ってくる装置だ」

「そういうのはございません」


 ないのか。

 いや、技術的にはできそうだな。

 風呂場にはシャワーがあったし、蛇口をひねったらお湯が出てきた。

 俺達がいた世界と比べると、かなり技術がある世界だ。


「では、火魔法でいいだろう」


 そう言って、手のひらを上に向けると、30センチくらいの火の玉が出てきた。


「お嬢様」

「ええ」


 セシリアが頷く。


「もういいか?」


 実は次元転移でかなりの魔力を使っているから残りの魔力が少ない。

 ここがどういう世界かわかっていないし、魔力は温存したいのだ。


「ありがとうございます。とても素晴らしいものを見させていただきました」


 オラースが礼を言ってきたが、お世辞にしてはオーバーだ。

 本当にたいした魔法じゃない。

 その辺のガキでもできるレベルだ。


「満足したのならいいが……」


 火の玉を消し、お茶を飲む。


「ヴェルナー様、娘さんも魔法が使えるの?」


 セシリアが聞いてくる。


「呼び捨てで構わない。また、この子は娘ではなく、ホムンクルスだ」

「ホ、ホムンクルス?」


 ホムンクルスを知らない?

 いや、少し特殊な技術だし、この世界にはないのかもしれない。


「魔法によって作られた人工生命体だな」


 そう説明すると、リーエがダブルピースをする。

 ただ、表情は無表情だ。


「人工生命体……人間ではない?」

「定義による。だが、この子は別にバケモノじゃないし、普通の人間と考えてくれていい」


 リーエがダブルピースをカニのようにチョキチョキした。

 もちろん、顔は無表情。


「そ、そう……あなた達が別世界から来たというのがよくわかるわ」


 そうか?


「すまん。変だろうか? 実はこの世界のことを聞きたいんだ。俺達は池に落ち、風呂に入っただけだからこの世界のことをほとんど知らない」


 水が冷たい、お風呂は温かい。

 これしか知らない。


「そうね……その話をした方が良さそうだわ」

「頼む。未完成の次元転移をもう一度使う勇気はないし、帝国に戻る気もない。ならばこの世界で生きていくしかないのだが、わからないことが多すぎる」


 実は挨拶がパンチとかいう文化は嫌だぞ。


「あなた達にまず伝えなければならないことが一つあるわ。それはこの世界に魔法がないということね。いや、正確にはあったけど、すでになくなっていると言った方が正しいわ」


 魔法が……ない?


「何を言っている? 正直、この世界は俺達がいた世界より発展していると思っている。暖房も乾燥機もウチの国にはなかった。あれは魔法だろう? まさか科学で作られた電化製品か?」

「ごめん。電化製品がわからないわ。でも、暖房や乾燥機が魔法の技術で作られたのは合っている。あれらは魔導具なのよ」


 やはり魔道具か。

 わずかに魔力を感じたからそうだと思った。


「ならば魔法はあるだろう。あれは相当な技術だぞ。俺も魔道具開発はやったことがあるが、あれだけのものはそう簡単には作れない」

「それを説明するにはこの国……いや、この世界の歴史を説明する必要があるわ」


 歴史……何となく想像がつくが……


「魔法使い狩りでもあったか?」

「似たようなものね。昔、魔法使いを中心とした大きな戦争があったの。それにより多くの町や村が犠牲になったわ」


 魔法は強大だからな。

 町1つを滅ぼす魔法だってある。


「その戦争はどうなったんだ?」

「痛み分けで終わった。問題はその後ね。人々が魔法使いは危険だと思い、迫害を始めた」


 中世の魔女狩りかな?


「それで魔法使いが滅んだと?」

「そう伝わっているわ」


 ふーむ……気になる点がいくつかあるが……

 まあ、今はいいか。


「では、俺達が外で魔法を使ったらどうなる?」

「魔法なんておとぎ話の世界のものだからまずは変な目で見られるだけね。ただ、それが本当に魔法とわかれば兵士が飛んでくると思う」


 マズいわけだ。


『殺しますか?』


 リーエが念話で聞いてくる。

 理由はそんな世界で俺達の魔法を見た者が目の前にいるからだ。


『やめろ』

『はい』


 うーむ……


「教えてくれて感謝する。俺達の世界では魔法なんか珍しいものじゃない。10人に1人はレベルの低い魔法を使えるし、魔導帝国という名の通り、魔法が身近なものだった」


 教えてもらわなければ絶対に使っていた。

 しかし、こういう世界なら物を収納する空間魔法ですら危ない。


「ええ。十分に気を付けてちょうだい」

「わかった。それと俺達にも生活がある。つまり金を稼がないといけないのだが、どういう仕事がある? 得意なのは魔法だ」

「魔法以外ポンコツなご主人様です」


 数学も得意だぞ!


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― 新着の感想 ―
すごい毒舌! ホム三原則とか、教えて無いんだね(笑)
少し調子に乗っちゃうのはご主人様に似てしまったのか‥‥
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