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魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~  作者: 出雲大吉
第1章

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第028話 調子に乗ってまーす


 町中を歩いていくと、港からそう遠くない場所に剣が交差する看板のある建物が見えてきた。


「あそこよ」


 イレーネが建物を見て、立ち止まった。


「イレーネはどうする?」

「私は宿屋で待機しているわ。2日は足止めだし、あそこでいいでしょ」


 贅沢は言えないし、ベッドがあるだけで十分だな。


「じゃあ、部屋を借りておいてくれ」


 そう言って、財布を取り出すと、2万ソルを渡す。


「了解。登録が終わったら迎えにきてちょうだい。それで町の外に行きましょう」

「ああ」


 イレーネが宿屋の方に歩いていった。


「ギルドか……大丈夫かね?」

「大丈夫だと思いますよ。当初の予定通りです」


 それもそうか。

 本来ならイレーネはおらず、俺とリーエで冒険者になる予定だったのだ。


「行くか」


 俺達はギルドに向かうと中に入った。

 ギルドはそこそこ広く、奥には受付がある。

 受付の前の待合スペースにはソファーやテーブルがあり、10人くらいの冒険者がおり、それぞれのパーティー同士で話をしていた。


「ハンター事務所と変わらないですね」

「仕組みがほぼ一緒だからな」


 魔導帝国にいた時も依頼をするために何度か来たことがある。

 まさか依頼を受ける側になる日が来るとは思っていなかった。

 俺は依頼人の気持ちがよくわかるので良い仕事をしようと思う。


 俺達は奥にある3つの受付のうち、右のおっさんのもとに行く。

 真ん中と左は若い女性なのだが、ちょっと煌びやかすぎるというか、化粧が濃い感じの女性だったのだ。

 うん、苦手。


「すまない。ちょっといいだろうか?」


 おっさんに声をかける。


「おはようございます。どうされました?」

「冒険者になりたいんだ」

「登録ですね。それではこちらの書類を書いてください」


 おっさんが紙をカウンターに置いたので見てみる。

 そこには名前や年齢、それに得意なことや苦手なことなんかを書く欄があった。

 他にもパーティーメンバーを書く欄もある。


「このパーティーメンバーなんだが、後から追加もできるのか? 実は登録はまだだが、仲間がいるんだ」


 もちろん、白銀さんね。


「ええ。パーティーメンバーを追加することもありますし、逆に抜けられることもありますので後から書き換えられますよ」


 じゃあ、大丈夫だ。


「わかった」


 紙に名前、年齢を書くと、特技の欄で手が止まった。

 さすがに魔法とは書けないからだ。


「あ、そこもご自由に書いてください。こちらが仕事を紹介する際の目安ですので。登録したてならまだわからないことも多いと思いますし、空欄でも大丈夫です」


 ふーん……


「まあ、剣術にしておくか」


 軍にいたから剣も当然、使えるのだ。


「苦手なこと……人付き合い?」

「そういうのでも結構ですよ。それも大事な目安になります」


 マジで書くのか……


 仕方がないので人付き合いと書き、提出する。


「それでは少々、お待ちください」


 おっさんが紙を持って、奥の部屋に入っていった。


「あれでいいのかね?」

「まあ、人付き合いが苦手なのは事実ですからね」


 そういう仕事を回されても失敗するだろうしな……

 どういう仕事なのかは想像できないが。


 俺達が待っていると、おっさんが戻ってくる。


「お待たせしました。こちらが冒険者カードになります」


 おっさんが白いカードをカウンターに置いたので受け取る。

 カードには俺の名前と共にFランクと書かれていた。

 どうやら最低ランクはZじゃなくて、Fのようだ。


「これで仕事ができるんだよな?」

「ええ。仕事を受ける方法は2つあります。1つは受付に来てもらい、私共に相談することです。こちらも冒険者のランクや実力に見合ったものを紹介いたします。慣れてきて、それが面倒だと感じられましたらあそこにございます掲示板で確認してください」


 おっさんが部屋の左の方にある板を指差す。

 そこにはたくさんの紙が貼られていた。


「依頼票か?」

「はい。あそこに依頼内容、報酬、受注可能ランクが書いてあります。紙を剥がして、こちらに提出してください。もちろんですが、ランク以上のものは受けられません」


 そりゃそうだ。


「基本的に受付で相談する方が良いのか?」

「はい。それが安全です。また、ヴェルナー様はこの町の人間ではありませんよね? 旅の方ですか?」


 名前はさっき書いたから当然、知っている。


「ああ。港で足止めを食らってな。本当は今日の便でメラニカ王国のクレイナの町に行く予定だったんだよ」

「現在は港が閉鎖中ですからね……でしたら次はクレイナですね。クレイナのことは御存じですか?」


 知るわけがない。

 なんなら名前を聞いたのも今日だ。


「いや、知らない。連れの提案なんだ」

「そういう場合、地理や出てくる魔物など、わからないことが多いでしょう? そういう時に受付に来てくださると、注意点等も教えることができます」


 なるほど。

 それは大事だな。


「わかった。そのようにしよう。ちなみにだが、今の俺におすすめの仕事は何だ?」

「剣術が得意とありますし、最初は西の森の浅いところでゴブリンやコボルトを狙った討伐の仕事がよろしいかと思います。それで腕を上げつつ、慣れてきたら徐々に奥に行くのが定石でございます」


 つまり、森の奥には強い魔物がおり、儲けられるわけだ。


「わかった。魔物討伐は常設依頼だな?」

「はい。依頼票も不要ですし、魔石を持って帰っていただければいいです」


 イレーネの言う通りか。


「参考になった。では、ちょっと行ってくる」

「お気を付けて。毎日のように死傷者が出ている危険な仕事です。引き際を間違えないようにしてください」


 ふっ、誰に言っている?

 それは魔物の方に言うんだな。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
大魔法で焼け野原にして魔石山盛り持って帰りそう
成果を上げまくって調子にのってチンピラみたいな先輩に絡まれて、演習場で決闘だって流れになったら、魔法が使えないからピンチになりそう でも謙虚にやり過ごせる性格じゃないんだよな……
大量に討伐してやらかす予感が……W
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