第152話 22時に寝る私は本当に良い子です
少しすると、魚介のパスタセットがやってきたので食べだす。
「うん、美味いな」
良い香りだし、いくらでも食べられる感じだ。
「このためにこっちのルートを選んだんだものね」
「私、この麺料理が好きですね」
パスタは帝国にはなかったが、前にリーフェル王国で食べた。
リーエは気に入っているようだ。
「私もパスタは好きですね。よく家でも作りますよ」
ロズリーヌは自炊もするようだ。
「やっぱり魚介が多いのか?」
「どうでしょう? 肉の方が多い気がしますね。数日に1回ってところです」
それは多いな。
「王都でも食べられるよな?」
「もちろんですよ。この町もですけど、王都から海までさほど離れていません。毎日のように港町から届いています。ぜひ、王都でも楽しんでください」
そうするかな。
「ロズリーヌ、明日はどうするの?」
イレーネが聞く。
「まずはギルドに行ってみますか。明日は買い物に行きますし、仕事はしません。ですので、混んでいる時間を避け、10時くらいにしませんか?」
「良いと思う」
俺も良いと思う。
「では、そうしましょう。ギルドで良さそうな仕事があれば明後日以降にやります。そうでないなら王都に行きましょう」
まあ、仕事は王都でもできるからな。
「そうね。そうしましょう」
俺達は夕食を食べ終えると、満員になっていたのでワインを頼み、早々に席に立つ。
そして、受付まで戻る。
「それでは私は1階なのでここで。明日、10時前にここで待ち合わせをしましょう」
「ああ。おやすみ」
「今日はゆっくり休んでくださいね。あ、ゆっくりってそういう意味じゃないですよ」
だからいらないっての。
子供(29歳)が頬を染めるな。
俺達はロズリーヌと別れると、2階に上がり、部屋に入る。
部屋は10畳くらいであり、ベッドと丸テーブルがある程度だった。
「風呂にするか」
「ええ」
「待ってました」
俺達はいつもの順番で風呂に入っていく。
そして、ゆっくり湯に浸かり、風呂を堪能すると、頼んでいたワインとぶどうジュースを飲む。
「ふう……良いわね」
「ああ。ワイン自体も久しぶりだ」
「やっぱりぶどうジュースです」
リーエも満足そうだ。
「明日はゆっくり寝られるし、最高ね」
「まあ、良いと思いますよ。さすがに見張りは疲れましたね」
リーエも珍しく遅寝をしても良いと言っている。
「そうだな」
俺達は話をしながらゆっくりと飲んでいく。
すると、リーエが22時くらいにはベッドに向かった。
「あー、良い感じにワインが回ってきた。なんか今なら何でもできそうな気がする」
イレーネがご機嫌だ。
ただ、俺も同じ感じだ。
久しぶりのワインなことと疲れからか、いつもより酔いが早い。
「イレーネなら何でもできると思うぞ」
「そうかしら?」
「そうだよ。何をやらせても一級品だろ」
「ふっ、まあね」
イレーネがドヤ顔で髪を払った。
綺麗な銀髪が舞っており、美しい。
「イレーネは本当に綺麗だな」
「なーに? 手を繋ぎたいの? 遠いわよ。王都ではソファーのある宿屋にしましょうよ」
ロズリーヌが地元の宿屋を知っているかはわからんが、聞いてみるか。
「そうだな」
頷き、手招きをすると、イレーネが椅子ごとやってくる。
そして、椅子をくっつけ、並ぶように座ると、どちらかともなく、手を握った。
「手を握ると落ち着くというか、ほっとするわね」
「ああ。イレーネがいてくれて良かったよ。俺の転移魔法は色々と失敗したが、結果的に成功だった」
「私もね。危うく破滅の道を進むところだったわ」
お互いに良かったわけだ。
「これからも一緒にいてくれ」
「もちろんよ…………キスする?」
「する」
俺達はキスをすると、そのままベッドに行き、少ししてから就寝した。
翌日、ちょっと遅めに起き、準備をする。
そして、1階の食堂に行くと、誰もいない中で朝食を食べた。
朝食を終えると、ちょうどいい時間だったので受付に行くと、ロズリーヌがいた。
「よう」
「おはよう」
「おはようございます」
「おはようです。昨日はゆっくりと眠れましたか?」
挨拶をすると、ロズリーヌが聞いてくる。
「ああ。ぐっすりだ」
「ええ。久しぶりのベッドだったし、昨日はよく眠れたわ」
「それは良かったです。では、ギルドに行きましょうか。案内します」
俺達は宿屋を出ると、ロズリーヌの案内で町を歩いていく。
やはり人が多いし、店も多く、賑わっていた。
「治安は良さそうだな」
「ええ。この町は良いですよ。というか、この辺の国はどこも平和ですし、ルミフィアみたいなところはないですよ。あそこが特殊なんです」
ルミフィアに集まっているってところか。
「戦争なんかもないのか?」
「ないですよ。あ、あなた達はリーフェルでしたね。確かにあそことコスタリナは仲が悪かったです。あんな国境、初めて見ましたよ」
あの国境壁な。
逆にここは国境がなく、いつの間にかあの森を抜け、マルーン王国に入っていた。
それはそれでどうなんだろうって思ったが、まあ、そういう地域もあるのだろう。
「ノーズランはどうだ?」
「あそこも平和ですね。というか、ゆっくりとした国民性ですし、あまり争いがない国です。何よりもこの時期は絶対に戦争が起きません。これからは雪の時期ですから話にならないんです」
あー、冬は無理か。
帝国でもそういう雪で苦労した歴史は多い。
「じゃあ、安心だな」
「はい。それに我々は我々の仕事をすればいいんです。戦争は軍人さんの仕事です」
確かにな。
俺達が話をしながら歩いていくと、前方に剣が交差する看板が見えてきた。
「あそこか?」
「ええ。王都ほどじゃないですけど、そこそこ大きいギルドです。冒険者になった当初はここで頑張ってましたから顔馴染みですよ」
家出したから王都ではなく、割かし近いところでやってたんだな。
「じゃあ、任せる」
「任せてください。それでは行きましょう」
俺達はそのまま歩いていき、ギルドに入った。




