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未開異世界ソロキャンプ ~旅とキャンプとのんびりスローライフ~  作者: 三毛猫みゃー


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第12話 魔法を使ってみた。あれ?

 異世界へ行く方法は簡単だ。行きたいとイメージをしながら入口を開けて通ればいい。それは扉でもいいし、テントの入口でもいい。なんならガレージのシャッターでも大丈夫なはずだ。今回は目的を果たしたらすぐに帰ってくるつもりなので手ぶらで行く。


「それじゃあ行くわよ」

「わかったわ」


 小さなワンタッチテントに入り入口を一度閉める。異世界へ、それも一度行った森の近くをイメージしながらテントの入口を開いて外に出る。


「んー、なんだかすごく久しぶりな気がするわ」


 シルフィーナが空中に浮かびながら伸びをしている。無事に思った通りの場所にたどり着いていた。草原と少し先には森。それ以外はなにもない場所だ。


「さっそくだけど魔法について詳しく教えてもらえるかな」

「いいわよ。と言ってもどう教えたらいいのかな? オトハは自分の魔力を感じられるのよね?」

「多分これかなっていうのはわかるようになっているけど」

「ならあとはこう火を出したいとか水をだしたいとか考えながら魔力を燃料のようにしてみるといいかな?」

「やってみるわ」


 手を前に出し、体の中にある昨日まで感じることができなかった何かを感じ取る。この何かというのが魔力だと仮定して、その魔力を燃料とする気持ちで水の玉を生み出すようにイメージする。


「…………」


 何もおこらない。そもそも魔力が体の外へ向かう様子がない。


「んー、それならアニメの魔法使いとか魔術師がやるように呪文みたいなのを物を声に出してみるのはどうかな? ただ水よ出ろとか、ファイアーボールとかね」

「それって昨日試したけど駄目だったじゃない」

「あれはまだオトハが魔力を感じられなかった時に試したことでしょ? 今は魔力も感じられるから違った結果になるかもよ」


 言われてみればそうだった気がする。とりあえずやれることから試していこう。再び手を前に出して、まずは魔力を手のひらに集めるようにイメージをする。


「水の矢」


 私は手のひらから水でできた矢が飛び出すようにイメージをしながら声を出した。すると先程まで全く体の外へ移動する気配がなかった魔力が手のひらから溢れ出すのがわかった。目を開けると手のひらの先に一本の水でできたように見える矢が浮いているのがわかった。


「できた?」

「できているわね」

「えっと、これからどうしたら」


 水の矢は手のひらに先で浮いているだけで、飛んでいく気配はない。


「それを飛ばすイメージをしてみればいいかな?」

「やってみる」


 目の前に浮いている水の矢が前方へ飛んで行くようにイメージをする。すると水の矢が飛んでいった。


「うまくできたようね。今度は今の行程をひとまとめにしてみるのはどうかな」


 つまりは矢の生成とその矢を前方に飛ばすことを同時イメージしたらいいのだろう。先程は作るだけしかイメージしていなかった。


「水の矢」


 声を出して魔法を使うのは少し恥ずかしい。私の中で水の矢という言葉は魔力を水で矢の形に作り出して、その矢を前方に飛ばすという行程をひとまとめにすることに成功した。


「意外とできちゃうものなのね」

「そんなものよ。わたしだって生まれたときから使えていたから」


 そもそも異世界渡りにしてもイメージするだけで使えているので、魔法というものも同じ感じでよかったようだ。前提として魔力を感じることができるかどうかという違いはあるけど、魔力が感じられるならそれを燃料代わりに使うと考えればわかりやすかった。


 あと呪文というものは、ショートカット登録のように考えるとわかりやすいかもしれない。最初にイメージだけで水を出そうとしたけどできなかったのは、ちゃんとしたイメージができていなかったからなのだと思う。


「他も試してみようかな」


 続けてウォーターボール、土の矢、風の矢、風の刃などなど、思いつく限りの魔法の呪文とイメージを組み合わせて魔法を打ち出していく。火系は危ないので今は使わないでおく。どこか水場が見つかったときにでも試してみようと思う。


「ねえシルフィーナ。私って結構な数魔法をつかったと思うのだけど、魔力って無くならないものなの? まったく減ったような気がしないのだけど」

「ん? ん? そんなことはないと思うのだけど? 魔力が減っていないの?」

「魔法使った後は一瞬だけ減ったなーって感じはするのだけど、すぐに元にもどるみたいよ」


 シルフィーナは私の話を聞いて首を傾げていた所で、ふいに上空へと視線を向けた。


「オトハ、アレクシアさまから伝言を受け取ったよ」


 どうやらアレクシア様は私のことを監視していたようだ。


「オトハの魔力が減ってもすぐに戻るのはオトハの倍化の力のおかげらしいよ」

「倍化? あっ」

「覚えがあるのね」

「うん、めちゃくちゃある」


 そうだ。私は倍化の能力を自分の体に使っている。どうやら倍化の能力は私が思っていたのとは別の効果を生み出してしまったみたい。


「あのね。倍化の能力を自分に使っているのよね。きっとそれが原因で使った魔力がすぐに戻っているのだと思う」

「どうして自分の身体に使ったの? 身体能力が増えているようには見えないけど」

「ああ、そうじゃないのよ。身体能力を倍化するために使ったのではなくてね。マイナスの倍化を自分の身体に使っているのよ」

「マイナスの? どうしてそんな事を」

「えっと、そのね。成長をマイナスに倍化したらどうなるのかなと思ってね」

「成長をマイナス……それって」

「今シルフィーナの思った通りよ」


 うん、まあ、あれです。私が自分自身にマイナス倍化を使った理由、それはもしかすると若くなれるのではないかと考えたからです。そう一日経てば一日若くなれるのではないかと思ったわけですよ。駄目で元々というのもあったけど、一年若返るのに一年必要なことを考えると実感できるまで最低でも五年くらいは必要だろうと思っていた。


 実際にまだ二日しか経ってない事から若返ったという実感はまったくない。その代わりに思っていたのとは違う効果、魔力の超回復とでもいえるようなものが得られたのは想像すらしていなかった。

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