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45 用意したもの

 この盤上における、最も信頼されている人物は、絶対的な権限を持つ国王ではなく、慈悲深く貴族のお手本となっている国母だと言われていると呼ばれる王妃でもなく、そして誰よりも信頼が篤い()家臣、王太子の補佐官であるクラウスでもない。いつのまにか、罰を受けさせるために呼び出したマリンソフィアへと、移り変わっていたのだ。


「ーーー、しょ、証拠?そんなもの持って来られるはずありませんわ。出まかせを仰るなら、実際に持ってきたらどうなのかしら?」

「あら、いいのですわね?本当に」

「え、えぇ」

「では、遠慮なく」


 マリンソフィアはそう言うと、胸元からとある小瓶を2つ取り出した。アルフレッドが伝手を使って入手してくれたとんでもない代物だ。正直に言うと、マリンソフィアは触れたくもない。


「これは親子検査キットという異国の皇国間で使われている、親子か否かというのを調べるキットですわ。ちなみに、この結果を疑うということは、その国の皇族を侮辱するということですから、そのことを分かった上で、これからの発言をしてくださいませ。何故なら、この検査キットは皇家の子供は全員必ず受けさせられるものなのですから」

「………皇族を馬鹿にするなど何が問題なのです。これはこの国の問題。他国の介入などございませんわ」


 ふんっと鼻を鳴らした王妃に、マリンソフィアは呆れ返って王妃に据わった視線を向けてしまう。なんというか、考えたらずすぎて、何故ここまで王妃をやってこられたのかという疑問しか抱くことができない。


「ーーー馬鹿ですの?大国、ローレンツ皇国を馬鹿にするなど、この国を滅ぼしてくださいと言っているようなものですわよ?」

「ろ、ローレンツ皇国!?」


 驚いた声をあげる王妃に、マリンソフィアはそこ以外にどこに近隣諸国に皇族が存在する国があるのだと溜め息をついた。


「えぇ、とある伝手で入手しましたの。ちなみに、これは皇家の備品だそうですわ」

「なっ、」

「ふふふっ、では、始めましょうか。第2王子殿下並びに、国王陛下は壇上から降りてくださいまし。わたくし、その上には上がれませんので」

「あ、あぁ、」「うむ」


 マリンソフィアは2人に願い、2人はそれに応じる。あるものは真の王族であることを疑われることに怒り、そしてあるものはもう1方が王族でないことを望み、神に対して(こいねが)う。


「それでは、始めますね」


 マリンソフィアの厳かな声に、室内の緊張感が一触即発のものへと変化する。王妃は真っ青な顔で震え上がり、王太子は敵が減ったと安堵し、クラウスはカオスと化した王家の醜い部分に、顔を歪める。

 マリンソフィアは、アルフレッドから教えられた通りの手順で、それぞれに抜いてもらった髪を液体につけて親子鑑定を進めていく。


「赤が出れば親子で、紫が出ればとても近い血縁。そして青が出てば、………赤の他人です」


 ふるふるとマリンソフィアが液体を降り、透明な液体がどんどん色づいていく。そして、ーーー………………。


「なっ!?」

「………………」


 液体が青混じりの紫に染まった。国王と王弟は似ていないから、妥当な結果だろう。マリンソフィアはつまらなそうに小瓶を見つめ、そして第2王子の方を見た。


「これで満足ですか、一応は王家の血が流れているとは言っても、本家でないのに王家を騙った愚かなお方(元第2王子殿下)

「うそ、だ………」

「嘘だとは言えませんよ」


 マリンソフィアはぱらりと扇子を広げ、そして口元を隠す。あまりの王家の醜さに、辟易としてしまったのだ。


「さあ、これで全員のやらかしが明らかになりましたわね。王太子殿下の、わたくしへの倫理に反した行いと、見えない布を見えると言って騙され、そして裸でパレードに出た件。()第2王子殿下の国王陛下とは親子ではない件と、国王陛下への謀反の可能性がある件。国王陛下の持つ庶子と、王妃さまの王弟殿下との間にあった、いえ、現在進行形で存在している不貞の件。まあまあ、全員見事なまでに、パパラッチの格好の餌食になりそう案件だこと。まあ、わたくしには関係ありませんので、せいぜい頑張ってくださいましね。それでは、ご機嫌よう」


 マリンソフィアの言葉を受け、全員が揃って絶句した。クラウス以外は、見事に全員が魂が抜けたかのような表情をしている。

 だが、次の瞬間、皆が一斉にマリンソフィアに向かって飛び出してこようと、謁見の間のそれぞれの椅子から立ち上がる。

 マリンソフィアの言葉を聞いて正気を失ってしまい、あまつさえ、マリンソフィアの忠告を忘れた王家の人間たちは、クラウスを除き、皆一様にマリンソフィアを殺しにかかろうとするのだった。


「あらあら、これは死んじゃうパターンかしら?」

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