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ほそうで
噛みたくなる血管でさ
見るだけでソワソワしたよ
撫でたくなる血管でさ
ああ指を這わせたかったよ
なのにね胴体ごと
どこかに消えていった
その腕を見ることは
この先二度とないのか
違うのよ 下ばかり見ていたのはね
つまらなかったからでは ないのよ
少し遠い未来を
見すぎていたんだね
その場その場に
私は存在していなかったよ
腕より上の世界には
もっと輝きあるものが
溢れていた なのに
見ていなかった馬鹿だね
血管は好きなんだけど
血が好きな訳じゃないのよ
薄い皮膚の中に赤が
流れてると思うのが好き
それとね 歯のカタチを
皮膚につけることでね
私の遺伝子を刻みたい
それもあったな
駄目なの あれから目の留まる腕は
現れないの ホン卜に困るわ
少し遠い未来を
見すぎていたんだね
その場その場に
私は存在していなかったよ
愛せる腕はひとつだけ
過去にも未来にもひとつ
その時その時に
噛みついてたら良かった
マスクやサングラスを
していても分かるよ
あの浮き上がる血管は
唯一無二だったから
見つけたらもうその腕を
掴んで離さないからね
一瞬一瞬を掴んで離さないよ
いつかいつかいつか
あの腕の血管をまくらに
ぐっすりと眠りたいなって




