幕間 魔法少女探偵アルカ
暗い夜の森、崖際にそびえる大きな旅館が月明かりに照らされていた。
旅館のとある部屋に数人が集まった。
部屋の中央には白い布が何かに被せられている。
布は所々赤く滲んでいる
それは人の死体だった。
この旅館では数時間前に殺人事件が起きている。
不幸か幸いか探偵を名乗る者が現れたので、犯人の調査が行われていた。
そして数分後、招集がかかった。
一人の少女は館にいた人全員が集まり終わったのを確認して、口を開く。
「皆さんにお集まり頂いたのは他でもありません。今回の殺人事件、犯人が分かりました。」
周囲がざわめく。
「ほ、本当か!?」
「ええ、本当です。もったいぶらずにさっさと教えてあげましょう。」
少女は天井に向かって人差し指を構えた。
そしてその腕を振り下ろし、一人の男に向かって指を差した。
「犯人はあなたです。レオさん。」
指を差されたレオという人物は一瞬動揺したが、すぐに落ち着いて話し始めた。
「ふ、馬鹿馬鹿しい。私には犯行時刻にアリバイがあるでしょう。」
男はやれやれといった表情で少女を見つめた。
「やはり、こんな子供に探偵何て無理だったんだ。」
少女は余裕の表情でレオに答えた。
「犯行時刻の偽装。」
レオの顔が引きつる。
少女はそのまま続けて言った。
「被害者は既に死んでいたんだ。」
少女は犯行時刻偽装のトリックを一同に説明した。
そのトリックは奇々怪々なものだったが、少女は犯行のすべてを丁寧に説明した。
「なるほど……」
「確かにそのトリックを使えば……」
立場が怪しくなったレオは焦りを見せ始めた。
「な、なら犯行に使われた凶器はどうなんだよ!!厨房にあった包丁だぞ!!私が持ち出せるわけがない!!」
少女は凶器の包丁を持ち出して言った。
「7月14日、12時34分。あなたはエリアA22区の包丁専門店に寄り、この旅館の厨房で使われている包丁と全く同じものを購入している。」
「な、なんでそんなことまで……」
少女は包丁の刃先を犯人に向けた。
「あなたは被害者を殺して、この旅館の料理人に犯行を押し付ける気だった。用意周到で下劣な犯行計画だったね。」
「く……」
レオは懐から銃を取り出し、少女に向けた。
「動くな!」
周囲に緊張が走る。
「わ、私は自由になりたかったんだ……」
レオは銃を少女に向けたまま、部屋の出口へ向かった。
「悪いけど、逃がすわけにはいかないな。」
少女は銃を向けられているにもかかわらず、椅子から立ち上がりレオに歩み寄った。
「止まれ!」
レオは叫んだが、少女は止まらない。
「う、うわああああああああああああ!!!!」
レオは引き金を引いた。
破裂音と共に銃弾は空を裂き、少女の遥か先の壁に命中した。
少女はどこからともなく剣の鞘を出現させ、それでレオの首元を打った。
レオは気絶する直前まで、少女の姿を見ていた。
どこの変哲もない探偵服、しかし帽子や服の一部で青色の炎がめらめらと燃えていた。
「おまえはいったい……何者……なんだ……」
「私の名前はアルカディアナ。魔法少女探偵よ。」




