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「は?俺が、可愛い?」
「お義母様っ!」
うおう、しまった!口から殿下がかわいいって言葉漏れてました。そして、リードル、リードルもなんかやばい単語を口走っています。
「そうです、お義母様が、私たちの寝顔をいつも可愛い可愛いというもので」
エリエッタの言葉にうんうんと頷く。だって本当にかわいいんですもの。
「きっと、お義母様なら、殿下の寝顔も可愛いというのではないかと……ね?お兄様、そういう話ですわね?」
エリエッタが、こっそりとリードルの手をつねっているのが見えた。
「あ、そう、そうだ。殿下が屋根裏で寝ていた話を聞いたら、きっとお義母様は可愛いと言うに違いないから殿下が子供っぽいことなど、これっぽっちも家に報告はしていません。そうだよね、リア」
リードルが私を見た。
これは、頑張って誤魔化してくれようとしているのですね。
「そ、そうなんです。お義母様の口癖がつい映ってしまったようですわ。ポカポカして気持ちよくてつい寝てしまうなんて、本当にかわいいです殿下」
にこっと笑うと、リードルがひきつった顔をする。
エリエッタもちょっぴりムッとする顔をしている。
あれ?他の子を褒めたから嫉妬しちゃった?
「あーははは、いやあぁ、可愛いなんて年下の子に言われたのははじめてだよ。くくくっ。さすがリードルの義妹だねぇ。面白い」
はい。無事に誤魔化せたようです。不敬には取られてませんよ。ほっと息を吐きだす。
ごめんなさい、種明かしをすると、私は全然年下じゃないんです。だから面白くもなんともないんです。……言えませんが。
「気に入った!」
「殿下!気に入らないでくださいっ」
リードルが私を殿下から遠ざける。
「もう気にいっちゃったもーん。ああ、もちろんエリエッタちゃんも」
殿下がエリエッタに微笑みかけると、エリエッタはムッとした表情で冷たい声を出した。
「気に入らないでください」
んん?エリエッタは皇太子に気に入られたくないの?
……あ!まって!
もし、エリエッタが皇太子に気に入られて結婚したら、エリエッタはのちの王妃様。生まれる子供は王子様。
義孫が王子だった場合……。
簡単に会えないじゃない!義孫をかわいがる私の夢が、夢がかなえられないっ!
ってことは。
「殿下、あの、気に入らないでください」
リードルが一番先に口にしているので、この言葉は、言っても大丈夫なのだろうと判断してエリエッタに追従する。
殿下が驚いた顔をして、リードルの顔を見た。
「あっはは。そう言うところが好きだよ。リードルの家族は面白いなぁ。普通は俺に取り入ろうと必死なのに。気に入られたら喜ぶべきところを、気に入るなって……あはははは、やばい、本格的に気に入った」
え?
えええ?!




