エピローグ~三つ目の真実~
…………………………。
観測者は口を開こうとしない。
真実を、語りたくない。
消えてしまう。
ただひたすらに、それが、恐ろしい。
消えゆく二人を眺める。
…………………………。
そこには、観測者ただ一人が残された。
物語が消えてしまう。
これ以上、抗うすべは残されていない。
共に消えてしまおう。
置土産に、真実だけを語り消えゆこう。
語り、蒐集する、物語を、観測し続ける、役割。
愛し、求め、堕ち、狂い続けたヒトたちを。
何もせずにただ、観測しただけ。
何も差し出していない。
そのように、ヒトは夢想した。
存在しない、あの店を、二人と共に噂として創り上げた。
語り屋は物語を産み出す役割を。
彼の優れた口上で、新しい物語がどこかにできる。
愛し、求め、堕ち、狂い続けたヒトたちの物語が。
そのような物語は底が知れない。
彼は、そのような物語の切っ掛けとなって存在する。
そして、さらに語り続ける。
蒐集家は私たちを維持する役割を。
彼は語り屋が産み出した物語を集め続ける。
愛し、求め、堕ち、狂い続けたヒトたちの物語を。
そのような物語はいつまでもあり続ける。
そうして、私たちが存在できる。
そして、さらに蒐集し続ける。
そして、私は、観測者は希望を見出す役割を。
語り屋が語る物語は絶望しか存在しない。
蒐集家が集める物語は美しくも残酷な物語。
そして、私は、そのような物語にほんの僅かな希望を見出す。
ほんの僅かな希望がヒトを狂わせる。
そして、さらに物語は繰り返される。
けれども、それも、これでお仕舞い。
語り屋が物語を物語らなくなった。
蒐集家が物語を蒐集しなくなった。
観測者が物語を観測しなくなった。
どこかで物語は繰返さなくなった。
噂話の終末が訪れる。
さようなら。




