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(後日談)すてきな聖女さま

 ここはとあるお菓子屋さん。この世界におけるお菓子作りのパイオニアにして今なお新たなレシピを開発し、各メーカーやに売り込むなどしている古参の転生者、《キリコ・マリギリ》__そんな彼女が街の片隅で人知れずひっそりと経営している、そんな感じのお店。


 今は一人の少女が店番をしていた。


__カラン


 扉につけたベルの音と共に、ダンボールを抱えた男が入店してくる。


「あ、海野!」


「よう、“マリー”。」


 少女の名前はマリー。色々あった後、海野のツテでこの店に住むことになった時にそう名乗るよう決めたのだった。


「やっときたかい、海野。」


 店の奥から現れたのは左足が義足のサングラスをかけた老婆__“お菓子の魔女”とも呼ばれる転生者、キリコ・マリギリその人だった。


「うっす!言われてたもん持ってきやした!」


 海野がダンボールを広げて見せる。

 大の甘味好きな海野は、こうして定期的に魔界だの僻地だので仕入れた食材や香料を渡して割れたチョコや焼き菓子の切れ端などと取引していた。


「…まあいい、上りな。ちょうどエアコンが壊れちまったんだ。ついでに直してき。」


「ええ!?そういうのは業者さんとかに頼んだほうが…。」


「聞くとこによるとあんたに渡してるような割れたチョコを袋詰めして売るビジネスがあるようじゃないかい。…どうしようかしらね、あんたじゃ金にならないしそっちに回すのも悪くないかね?」


「いえいえ!とんでもない!やります!やらせていただきます!!」


「ふぇっふぇっふぇ。」


 笑いながら店の奥に戻るキリコの後を海野がしょんぼりしながらついていこうとする。


「…あ、そうだ!マリー。これ、ちょっとしたプレゼント。もうだいぶ季節外れだけどな。」


「え?」


 先日、とある場所にあったクリスマスツリーが倒木していたことを知ったマリーはひどく悲しんでいた。その様子を見た海野はどこからかこっそり倒れたツリーの木片を手に入れていたのである。そして…海野としては先日襲われたことからあまり気乗りしなかったが、その木片がどうも望んでいる気がして“その形”に彫った。


「あ!サンタさん!」


 海野が渡したのは小さな木彫りのサンタクロースのペンダントだった。


「手に入ったぶんじゃこれが精一杯だったけど正真正銘あの木で作ったもんだ。」


「ありがとう!…ずっと見守ってくれてた気がしてたの。」


 マリーは海野の前でペンダントをつけて見せる。


「これでいっしょ!」


__メリークリスマス!


 海野の目に、マリーの満面の笑みと心なしか優しく微笑むようなサンタが映った。


-ほんとに終-

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