side story 彼に嘘をつかれた日
彼女視点も書いて見ました。
この小説は、ここで打ち切り新作の作成にあたってみようと思います。
ここまで読んでくださった方々に、感謝を!!
本当にありがとうございました!!
私は彼に告白され、幸せで胸がいっぱいでした。
喫茶店からの彼との帰り道、私はこの幸せが永遠に続くものなのだと、思いながら彼から貰った右手の指輪を軽く撫でていた。
するといきなり彼に抱き寄せられた、急にどうしたのだろう、何かあったのでしょうか?
「何があったんですか?」
少し不安な気持ちになったが、すぐに彼が
「大丈夫、何もなかったよ。
あぁ、僕はさっき喫茶店に忘れ物をしてきてしまったみたいだ。
君ともっと一緒に居たかったのに、ここからは一人で帰れるね?」
なんて優しい声でいってくるものですから、私は安心した、それと同時に彼に子供扱いされた気がして、少し頬を膨らませた。
「私を子供扱いしないでください、ちゃんと一人で帰れます。」
すると彼が
「それじゃあ、さようなら。
僕の愛しい人、寄り道せずにちゃんとお家に帰るんだよ。」
と戯けた声色で言ってきた。
少し言い回しに引っかかるところもあったが、「僕の愛しい人」なんて言われて思わず顔を綻ばせ
「はぁい」
と言って、私は駅の方へ幸せを胸に軽い足取りで向かっていた
ーーすぐに悲鳴が聞こえたーー
一抹の不安を胸に私は、人の気配が多い方へと向かった。
近くの人に、何があったのか尋ねると男性が刺されたようで、すぐそこに倒れているとのことだった。
そこは、私と彼が分かれたはずの場所だった。
私は全身の血の気が引く感じがした。
「・・・あ、あの!私を彼のところへ連れって行ってください!お願いします!」
多分私がものすごい剣幕で声を張ったことに驚いたのか、周りの人達が道を開けてくれたようだ。
彼の元にたどり着いて、彼の匂いに混ざって鉄の匂いがしてきた、むせ返るような匂いだった、息ができない、周りが急に静かになるような感覚に陥る、、、
しばらく自分がどうしていたのかは覚えていない、救急車に乗って、病院について彼がどうにか助かったと聞いてやっと、涙が出てきた。
彼が目を覚ますまで、ずっと私は泣き続けていたと思う。
思うというのは、ずっと心がここに無いようなそんな感じだった。
「ん?ここは、いったい?」
そんな、彼らしい一言が第一声だった。
よかった本当によかった
彼は私の顔に手を当てる、とても弱々しかった
彼は能天気にもすぐに結婚式の話をし始めた。
その時、私は気づいた、彼が私を気遣っていることに、このようなことは何度もあった、その度に私は彼の気遣い、優しさに甘えてきた。
今後もそれは変わらないのだろか、今回のように自分の身を危険に犯してまで、彼は私を気遣うのだろうか。
それは、とっても悲しいことだと私は思った。
多分彼は、わたしには見せていない違った顔があるのだろう、それでも構わない。
私は彼の優しさに救われた、今回の事の顛末を聞くと彼は私を庇って刺されたらしい、あぁ、私は彼にあと何度助けられれば気がすむのだろう、私はいったい彼に何ができるのだろう、私は彼の側にいていいのだろうか、そんな思案が頭の中をグルグルと回って何だか気持ちが悪くなってきました。
きっと、今私が考えていることを彼に全てぶつけたところで彼は優しく、私の全てを受け入れてくれるのだろう。
こんなことを考えている時点で、私はとても嫌な女なんだとフツフツとした思いがこみ上げてくる。
でも、
それでも、
もし、私が彼にしてあげることがあるとしたら、私がいることで彼の心に少しでも安らぎを与えられるとしたのなら、私は目が見えないそれでも彼の側に立つことならできる、彼の話を聞くことができる、彼の手を握れる、こんな誰にでもできて当たり前のことが彼のためになれるのなら、私はそれを全力でやろうと思った。
多分きっとこの先、私がしてあげられることより、彼がしてくれる事の方が多くて大きいだろう、それでも、私は彼の帰る場所を作って待っていてあげよう、彼を助けるなんてそんな大それた事は言わない、いや、言えない、だから私は笑顔をつくろう、彼が最期に見たかったと言った私の笑顔を、それで、彼が救われるのなら・・・ーーーー
そんなことを考えいると、私の頬を海風が凪いだ。
後ろの扉が開き、人が入ってくる。
「おまたせ」
その人がとびきりの優しい声で言うもんだから、私は意地悪したくなって
「もう遅いよ」
なんて言ってしまう、そんなことを気にも止めずに私の手を取り
「行こうか」
と教会の奥へと歩いていく。
一歩ずつ進むにつれて、比例するかのごとく顔が熱くなっていく。
「うん」
私はそう口にして、今の幸せに少し身を委ねることにしたのだった。
ーーーその日、珍しく海岸沿いの田舎の教会のカリヨンの鐘の音が町中に響いたーーー




