81
僕たちは電車に乗って、いろーんな物がたーくさん売っているお店に繰り出した。
何がいる?何にしようかって、クリスマスグッズを色々見て回った。
「サンタさんの帽子!!」
「いっそ服じゃね?」
「誰が着るんですか?先輩着てくれる?」
「真尋着ろよ」
「えーーーやだ!!」
「やだじゃねぇよ」
「絶対やだ!!」
「絶対似合うって」
「恥ずかしいからやだ!!」
ふたりで騒ぎながら、あれでもないこれでもないって。
楽しくて。
本当に、楽しくて。
時間があっという間に過ぎて行く。
結局買ったのは、サンタさんの帽子が5個、衣装が1着、クラッカーにお菓子を色々。
ロシアンルーレットガムで、誰がサンタさんになるかを決めよう!!ってことにした。
「あ、真尋」
「ん?」
「せっかくだから写真」
「写真?」
街中のクリスマスツリーをバックに、真鍋先輩が来いよって僕を引っ張る。
荷物を足元に置いた真鍋先輩に、ぐいって頭を抱き寄せられて。
超密着しての、自撮り。
「先輩、ツリーうつってないよ?」
「うるせーよ。じゃあ次真尋が撮ってみ?」
「入るかな?」
スマホを受け取り今度は僕が構える。
やっぱり頭を抱き寄せられて、ドキドキしちゃう。
真鍋先輩はこういうの、ドキドキしないのかな。
「ちょっと入った!!」
「ちょっとだけじゃん。そんなに変わんねぇよ」
「自撮り棒ないと無理です」
「自撮り棒………。要らねって」
スマホを渡したら行くぞって、頭をぽんぽんされて、僕は真鍋先輩の隣に並んで歩いた。
「先輩、その写真僕も欲しい」
「あとで送っとく」
「やったっ」
真鍋先輩との密着ツーショットゲット!!
こっそりガッツポーズしたつもりがばっちり見られてて、恥ずかしかった。
次、どうするのかな。どこ行くのかな。もう、帰っちゃう?
「足、大丈夫か?」
「もう、ほとんど痛くないです」
「本当に悪かったな」
「全然、そんなの………」
「真尋?」
悪かったなんて、思わなくていいですって。
歩きながら。
「痛かったろ?それに試合だって出られなかったし」
「そうだけど、だって」
「だって?」
「ケガ、してなかったら先輩と今こうして歩いてないから………」
だから、どっちかって言うと。
これで良かったって、やっぱり僕は思うんだ。
「僕、ケガしなかった方が良かった?」
真鍋先輩を、見る。立ち止まって。
「だからさ」
真鍋先輩がまた口許を右手で覆って、僕から目をそらした。
「お前、それヤバイだろ」
「え?何でですか?」
「俺の理性試してんのかっつーの」
「先輩?」
ぽりぽりと、真鍋先輩がこめかみを掻いてる。
照れてる。
何で?
「痛い思いをさせたのは、悪かった」
「堂々と先輩にくっつけて、嬉しかったよ?」
「お前なぁーーー」
「ん?」
「ん?じゃねぇっつーの」
「だってもう治ってきちゃったから、あんな風にして歩けないもん」
あんな風に、常に触れて。
手を取ったり、肩を寄せて歩いたり。
普通にやってたら、変な目で見られちゃうもんね?
「お前、天然小悪魔かよ。俺をどうしたいんだ」
「何ですか?天然小悪魔って」
はああああって、真鍋先輩がすっごい大きなため息をついた。
困ったような、照れてるような、不思議な顔。
僕、何か変なこと言った?
「マジで、ヤバイわ」
「先輩?」
「…………お前、何でそんなにかわいいの?」
「え?」
かあああああって、顔に熱が集中するのが、分かる。
か、かわいいって。
僕、男だし。男だよ。男だけど。
真鍋先輩に言われると。
どうしても………嬉しい。
「行くぞ」
「………うん」
人混みの方へ向かう真鍋先輩と。
ちょっとだけ、手を繋いで、歩いた。




