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自転車が僕の前に止まって、おすってマフラーに顔を埋めて真鍋先輩が言った。
初めて見る、真鍋先輩の私服姿。
いつもと違って、いつもよりカッコよくて。ふふふってなっちゃう。
そしたら真鍋先輩がくすって笑って。
「何ですか?」
「お前ってさ、やっぱその辺の女子より可愛いのな」
「え?」
か、かわいい?今僕にかわいいって、言った!?
昔はよく女の子に間違われて、結構それがトラウマで、かわいいって言われるとムカついて、断然カッコいいって言われたくて。
男だから当たり前なんだけど。
でも。
「変な男に声掛けられないように、ちゃんと俺につかまっとけよ」
「ぼっ、僕、男だしっ」
「関係ないよ」
「先輩?」
「関係ない」
真鍋先輩になら。かわいいって、言われても。
手を差し出されて、つかまって、荷台の所に跨がった。
関係ないって、どういう意味?
「ちゃんとつかまれよ」
「はいっ」
真鍋先輩の腰に腕を回して、いつものように背中に頭をくっつけた。
「先輩、今日って何か他に用事ありますか?」
「今日は………特に、ない」
「うちの母さんが、先輩と一緒に夕飯食べたいって」
「マジで?」
「マジです」
うーんって、何でか唸ってる。
用事、あるのかな?ダメかな?
僕はね、僕は一緒に居たい。
夜まで一緒に居たいよ。
何かしたいとか、そういうのじゃなくて。
ただただ、一緒に、居たい。
ドキドキして、返事を待つ。
「………いいの?」
「もちろん!!」
「じゃ、行かせてもらう」
「やったーーーー!!」
嬉しくて。嬉しくなっちゃって。
ぎゅって、回した腕に、力を入れた。
スマホケース買ったら、次はどこに行こう?何をしよう?お昼ご飯は何を食べる?僕の部屋に来てくれる?部屋で何をしよう?
ドキドキとワクワクで、落ち着かない。
「やったーって、お前」
「だって嬉しいんだもん!!」
速答したら、ぶって、真鍋先輩が吹き出した。
もうすぐ駅ってとこで、信号につかまって、止まる。
「お前、ちょっとさ………可愛すぎなんだけど」
真鍋先輩が前を向いたまま、僕の手を、握った。




