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「鼻声ひどいな。お前マフラーと手袋は?」
「あ、忘れちゃいました!!取ってきます!!」
学校に行けるのが嬉しすぎて、すっかり外が寒いってことを忘れてた。
家にUターンしようとする僕を、真鍋先輩が止めた。
「俺のマフラー貸してやるよ。今日はそこまで寒くないから。手袋は………俺のポケットでいいだろ」
「え?で、でもっ………」
俺のポケットって。
また、あれやるの?真鍋先輩のブレザーのポケットに手を入れて、ぎゅって?
あれね、あれ。思ったよりくっついちゃうんだよ。
ブレザーのボタンがとまってるからね、ポケットが前の方で。
結構全力で、抱きついちゃうんだよ。
嬉しいけど。嬉しいんだけど。
ドキドキが、止まらなくて、胸が苦しくなっちゃう。
真鍋先輩好きって。言いたくなっちゃう。
「ほら、行こう。時間結構ギリ」
ふわって、僕の首に真鍋先輩のいいにおいがするマフラーが巻かれて、腕をつかんで支えてくれる。
僕が後ろに乗ると、真鍋先輩は僕の手を取って、自分のブレザーのポケットに、突っ込んだ。
「ちゃんとつかまってろよ」
「………はい」
そして、走り出す、自転車。
空気はもう冷たくて、ちょっとずつ冬が近づいてる。
クリスマスの飾りなんかも、あちこちで見かけるようになってた。
真鍋先輩にくっついてる。
背中にほっぺたを、ぎゅって。しちゃう。
そして明日は一緒にお出掛け。
嬉しい。
嬉しいな。
ずっとこのままでいたい、なんて。
僕はちょっとだけそんなことを、思ってみた。




