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不幸の訪れ

 



 さっきよりも人が少ない、ゆとりのある所へやってきた。

「……完璧、はぐれちゃったね」

「こんなに探してもいないなんて、ソウの父さんたちは何をしてるんだか、ね」

「ほんと、ほんと」

 自分を迷子だと認めたくないぼくたちは、やれやれと辺りを見回す。

「そういえば、カイウのお父さんたちは?」

「ああ、ソウと会う前にどっか行っちゃった」

「……!? それって、カイウはずっと迷――――」

「違う! 迷子なのはあっち!」

 カイウは、首が飛んでしまうかと思うくらい横に振った。どれだけ迷子だと認めたくないんだろう。

「わかったよ…それで、どうするの?」

 しばらくカイウは考え込んでいたけど。

「……とりあえず、祭りを楽しもうか!」

「え、ええ!?」

「いいじゃん、ちょっとくらい。探してももすぐに見つかるとは限らないしさ!」

「……カイウ、遊びたいだけでしょ」

「あははー。さて、どうでしょうか」

 彼は軽やかに、人の合間を上手にくぐって駆けていく。

「わあ、ちょっと! また迷子になるでしょー?」


 そんな幸せを感じた時間は、蝋燭の灯が消えるように儚く、一瞬で終焉を迎えた。


 気がついたときには、もう辺りは阿鼻叫喚の渦に巻き込まれていた。

「いやああぁぁぁぁぁ!」「助けて、助けてくれ!!」「うわあああぁぁぁぁああぁぁ!!」「軍だ、軍が来たぞ!!」

 頭の中で会ったことを整理する。まず地面が呻ってから大きく揺れて、バン、とか、ズドン、とか…音が……。軍ってことは、あれは、銃声……?

「カイウっ……!?」

 周りを見回しても、カイウはいない。人々は四方八方に逃げているため、カイウが行った方向どっちなのか解らなくなって、目が錯覚を起こして頭がおかしくなりそうだった。

 人と人の間からフッと手が伸びて、右腕を掴まれた。

「ヒッ……!?」

「ソウ、僕はここにいる!」

「カイウ……?」

 ぐっと腕を引っ張られて、よろめきながらも2,3歩前に進む。

 カイウを見つけた喜びよりも、彼の強張った表情に驚いた。いつも明るく陽気な彼が隠している、陰の部分だったのかもしれない。

「さっき向こうで、母さんの声が聞こえたんだ! 悲鳴みたいな、いつもより必死な声が!!」

「……え?」

声が震える。もしかしたら、カイウのお母さんは……。

「僕は一人でも助けに行く。ソウは? ついてくる?」

「ぼ、ぼくは……」




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